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8月16日は京都五山送り火です(最終回) 妙法の秘密

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この記事の所要時間: 722

『京都五山送り火』のご紹介、最終回は、前回の8月16日は京都五山送り火です(第2回)各送り火の紹介で一つだけ残ってしまった『妙法』について、まずは詳しくご紹介しましょう。

『妙法』・・・・松ヶ崎(まつがさき)

漢字もしくは図柄一つ、これが五山送り火の基本です。
しかし、『妙法』だけは、漢字2文字で1つの送り火とみなされます。そこで、この形式を『二山二文字で一山一文字』と呼ばれている訳ですが、実は、最初からワンセットとして扱われていた訳ではありません。それどころか、この2つの送り火は、かなりの時代差をもって始まったものと予測されるのです。

『妙』が先、『法』が後

事の始まりは、鎌倉時代末期の1307年、松ヶ崎の村民が、涌泉寺(ゆうせんじ)の僧侶だった日像(にちぞう)の教えにより、天台宗から法華宗に改宗した時の事。それを祝して、西山に『妙』の文字が描かれました。
その後、妙泉寺の末寺に当たる下鴨大妙寺(しもがもだいみょうじ)の僧侶だった日良(ひりょう)が、東山に『法』の文字を描きました。
ただし、日良が生存していたのが1500年から1600年の間とされていて、その時代は室町時代もしくは安土桃山時代なので、明らかに起源が異なるのです。事実、当時の日本語のルールから言っても、もし、セット物として提案されたのであれば、東山に『妙』、西山に『法』を位置付け、向かって右から左に読ませるのが正当でしょう。それが正反対になっているという事を見ても、発端は異なるものである事が分かります。
とはいえ、起源が違うかも知れませんが、今では、2つの山を合わせて『妙法山』と呼ばれています。ともに鉄製の火床を使用し、その上に松割木を井桁に約1メートルばかり積み重ねるという共通点を持っていて、2文字とも涌泉寺の檀家たちが送り火を主催していて、正しく二山二文字で一山一文字となっていると言えるでしょう。

『妙』・・・京都市北区松ヶ崎西山(万灯籠山)

という事で、『』は、松ヶ崎の西山こと高さ135メートルの「万灯籠山(まんどうろうやま)の斜面に描き出されます。火床は103ヶ所、縦横の最長は約100メートル!
毎年町ごとに順番に火床の担当を回すように決めていて、近くに京都市水道局松ヶ崎浄水場の配水池があるため、必ず2基は浄水場の職員たちの手で担当される事と定められています。
また、送り火当日は、涌泉寺の住職が、妙の送り火の麓まで唱題行脚し、現地到着後、法華経の教えに出会えた事を感謝するとともに、檀家一同の先祖を敬う読経を挙げるのが習わしです。それと同時に、山麓の境内では、「送り火題目踊り」が奉納されます。

『法』・・・京都市北区松ヶ崎東山(大黒天山)

一方、『』の方は、松ヶ崎の東山こと、高さ186メートルの大黒天山(だいこくてんさん)の斜面に描かれます。火床は63ヶ所、縦績の最長は約70メートル!
こちらは各火床ごとに担当する檀家が決まっていて、年ごとに変わる事はありません。代々受け継がれる家宝の一つのようなものになっているのです。

護摩木の奉納方法と観賞スポットは?

まず、護摩木については、両山とも、関係者以外からの奉納は受け付けていません。こちらはあくまでも、地元の人々のための盂蘭盆会で、だからこそ、住民たちの手で支えられているのです。
次に、観賞スポットですが、上記の通り、『妙』の字付近は浄水場の敷地となっているため、一般人の立ち入りが禁止されています。
とは言え、実際問題、2つの文字を一緒に綺麗に眺めるには、ある程度離れたところからがベターで、この点は、浄水場の敷地自体に大きな価値はないと言えそうです。ところが、困った事に、この両山は、ともに京都の市街地から見ると、少々奥まったところに位置していて、どちらか一方を全貌出来る場所は多数あるものの、2文字まとめて見るとなると、どうしても、京都御所の周辺の高い建物の屋上という事になるでしょう。
例えば、『妙』の字なら、北山通の特にノートルダムという名門女子校の辺りが最高ですが、そこからでは法が欠ける事が多く、『法』に特化したスポットとなると、高野川の堤防、取り分け、高野橋の上からが一番確実に全貌出来るのです。しかも、高野川からなら、『妙法』という形で明確に現れる確率も高く、何がなんでも写真を撮りたいとおっしゃる方は、こちらで早目に場所取りされる事をお勧めします。

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各山の点火時間

ところで、そんな京都五山送り火は、5つの山全てで午後8時ちょうどに点火されると思っておられる方が少なくないようですが、実際には少しずつ時間差で灯されます。
8時ジャストに点灯されるのは左京区浄土寺の大文字山こと『如意ヶ嶽(にょいがたけ)』のみです。後は5分ずつずらすような形で松ヶ崎の『妙法』→西賀茂の『舟型』→金閣寺の裏手にある『左大文字』の順に着火され、最後に嵯峨野の『鳥居型』に火が付くのは8時20分なんですねぇ!!

という事で、各山の点灯時間は次の通り


 大文字  ・・・午後8時00分
 妙法   ・・・午後8時5分
 舟    ・・・午後8時10分
 左大文字 ・・・午後8時15分
 鳥居   ・・・午後8時20分

なるほど、流石という感じで、大文字から始まる送り火は、反時計回りで5分ずつ送らしながら順々に点火されていく訳です。勿論これは、観光イベントとしての価値を高めるための仕掛けだと言って過言ではないでしょう。

昔は大が最後、今は大が最初

事実、正真正銘のお盆会として行われていた1962年までは、このような時間指定は一切なく、午後8時を目処に、地元の保存会などが各々のタイミングで着火していました。そのため、当時は点灯される時間も順番もまちまちでした。ですが、ただ一つ、大御所である如意ヶ嶽の大文字だけが最後に浮き出るようにと心掛けられていたと言います。
されど、主役の大文字が最後に灯されるというのは、観光客にとっては、ちょっぴり頂けません。やはり、これを見るために早くから頑張って場所取りをしている人も大勢いる訳で、逆に言うと、大の字が点灯しないために、他の送り火が一切見られないという事にもなりかねないでしょう。
そこで、1950年代終盤くらいから、取り敢えず大文字を点火し、その後に他の山を点火する、という方針が採られるようになりました。

新しくなった点灯時間に要注意!

さらに、やはり全ての山の点火時間が定まっている方が分かりやすいとの指示が観光協会から出され、1963年に

 大文字  ・・・午後8時00分
 妙法   ・・・午後8時10分
 舟    ・・・午後8時15分
 左大文字 ・・・午後8時15分
 鳥居   ・・・午後8時20分

と設定されたのです。
しかし、2014年に半世紀ぶりに見直され、先に記述した5分毎の点火に改められました。よって、昔の地図と時間割を持っていらっしゃる方は要注意です。実際、観光協会の案内ですら、未だ旧時間割になっていますので、くれぐれもお気を付け下さい。

京都五山送り火への思い

以上、最初の8月16日は『京都五山送り火』です!という記事の中でご紹介したように、京都五山の送り火の起源については、残念ながら不明確で、詳細が明らかに分かるのは江戸時代以降と思われますが、そもそも日本におけるお盆の様々な風習が定着したのが江戸時代に入ってからなのですから、大文字の存在がその頃から広く認識されたのは、ある意味自然な流れなのかも知れません。

京都市民の手で愛されて来た五山送り火

しかし、都の夜空を彩る五山の送り火は恐らく、1000年近くに渡ってずっと絶える事無く燃え続いていた京都の盂蘭盆会の大切な大切な炎であって、それを支えて来たのは多くの地元市民です。その証拠に、灯火管制の出されていた戦時中でも、山麓の小学生たちが白い服を着て、大文字の点灯されるはずの如意ヶ嶽(にょいがたけ)に登り、人文字で『大』の字を描き出していたという記録が残されています。
そして今でも、護摩木は主催するお寺の檀家や地元住民の手で山上へ運ばれ、火の守をする習わしが続いています。
また、市街地の飲食店や商店では、心地よく送り火を拝んでもらうために、1時間もの間、自慢のネオンサインや電気看板、さらには、余分な街灯まで消灯するのです。
故に、単なる観光資源としてではなく、都の伝統と信心の意に敬意を表し、神妙な面持ちで是非拝んで頂きたいと願わずにはいられませんね。

前の記事はこちら
8月16日は京都五山送り火です!(第1回)
8月16日は京都五山送り火です!(第2回)各送り火の紹介

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おしゃべり大好き!お節介大好き!!の典型的関西人おばちゃんです。 趣味で京都の観光ボランティアガイドをしています! 言いたい事はズケズケ言うけど、結構面白かったり、時々ホロリとさせたりもしまっせ~( `pq´)ゥシシ 地元関西地区の食や趣味嗜好的な情報を中心に、自分の最大の課題であるダイエットの情報なんぞも、バンバン発信していきますので、よろしゅうおたのもうします(*^_^*)

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