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アメリカ版はやぶさが目指している小惑星とは何か

この記事の所要時間: 645

現地時間の2016年9月8日、アメリカ航空宇宙局NASAは、
小惑星を目指す無人探査機オシリス・レックスの打ち上げに成功しました。
これはアメリカ版はやぶさと言われています。
つまり小惑星から試料を持ち帰り、太陽系や地球の成り立ちを探ります。
帰還は7年後の2023年ですが、今から期待は高まります。

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「はやぶさ」とは

今更ですが、おさらいをしましょう。はやぶさとは何か?
はやぶさは2003年5月9日、現在の宇宙航空研究開発機構JAXAの前身である
当時の宇宙科学研究所ISASが打ち上げた小惑星探査機の愛称です。
元々の名前は第20号科学衛星MUSES-C、これだと愛着が湧かない?
打ち上げの約2年後、小惑星のひとつであるイトカワに到着し、
表面からサンプルを採取しました。
途中すったもんだの事件事故、試料が本当に採れたのか?
様々なトラブルはありましたが、2010年6月13日、地球に帰還しました。
なお、はやぶさ2と呼ばれる探査機が2014年12月3日に打ち上げられました。
こちらは2018年夏、小惑星リュウグウに到着する予定です。
約18か月間滞在して観測および試料採取を行い、2020年末に帰還予定です。

オシリス・レックスとは

オシリス・レックスOSIRIS REx)とは、
Origins, Spectral Interpretation, Resource Identification, Security,
Regolith Explorerの略語です。
NASAがアリゾナ大学などと共同開発した探査機の名称です。
目的の天体は、ベンヌと呼ばれる小惑星のひとつです。
2017年9月17日に地球の力を利用するスイングバイを実施し、
2019年10月19日に現地ベンヌへ到着する予定です。
とはいえ着陸して落ち着くことはなく、サンプル回収用アームを使って、
タッチアンドゴー方式、すなわち動き続けながら表面のサンプルを採取!
上空から観測を続けたのち2021年3月21日に地球へ向けて発進!
2023年9月24日に採取試料を載せたカプセルが地球に帰還します。

小惑星とは

今回の探査目標である小惑星とはどんな天体なのでしょうか。

1.定義

小惑星とは、太陽を回る天体の一種であり、惑星や準惑星ではなく、
とはいえ拡散成分がない、つまり彗星の尾っぽみたいなのを出さない、
そうした天体の総称です。安定軌道を周回していますが、
惑星ほど大きくないことから小惑星と呼ばれるようになりました。
なお当時最大と考えられていたケレスは、今準惑星に昇格?しましたが、
直径950キロメートル、それでも月よりはるかに小さい天体です。
ちなみに天体と聞けば、球形をイメージしがちです。
しかしそれは一部の大きなものに限られます。
ほとんどの小惑星は、イトカワを含めて不規則形をしているようです。

2.場所

小惑星は、主に火星と木星の間に散らばっています。
太陽からの距離が約2~4天文単位の位置、ここをメインベルトと呼びます。
なお1天文単位とは、太陽と地球の距離、約1億5000万キロメートルです。
とはいえメインベルト以外でも多くの小惑星が観測されています。
例えばはやぶさが到達したイトカワは、火星より内側の軌道、
つまり地球に接近することがあり、地球近傍小惑星と呼ばれます。
最接近時には、地球と約370万キロメートルしかない位置に来ます。
ちなみに冥王星よりもずっと遠く、カイパーベルトと呼ばれる部分にも、
太陽系外縁天体と呼ばれる多数の天体が発見されています。
それらも小惑星と呼ぶことがあります。

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3.起源

軌道が確定しており小惑星番号が付けられているのだけで33万個あります。
かつては一つの惑星が何らかの理由により破壊された破片では?
そう推測された時期もありますが、現在では否定されています。
メインベルトにある小惑星の中には彗星から軌道を修正したパターンもあるし、
火星の衛星であるフォボスとダイモスは小惑星から移ってきた?
一方で星になりかけましたが、木星の引力が強すぎて合体できなかった?
様々な仮説と共に悲しい過去がありそうです。
なお太陽系外縁天体とメインベルトでは、起源が異なると考えられています。

4.小惑星探査の歴史

宇宙に関する研究が進展したのは、20世紀後半のことです。
望遠鏡や分析手法など観測技術の進歩が大きく貢献しています。
小惑星探査についても似たような話であり、
実際に1990年以前は、天体があることはわかっていましたが、
具体的にどのような物体なのかは確認できませんでした。
しかし1990年以降に打ち上げられた数多くの探査機
または地球の大気外に設置されたハッブル望遠鏡などによって、
少しずつ概要が掴めるようになりました。
そして2003年、はやぶさが打ち上げられるまでに至ったのです。

5.地球への影響

小惑星が一定の場所に落ち着いていれば、天体観測にはよいでしょう。
しかし地球近傍小惑星の場合、地球へ衝突する可能性も否めません。
例えば2013年にロシアのチェリャビンスク州に落下した物体は、
元々の直径が17キロメートルもあった小惑星だった?
約6500万年前に落ちた、恐竜絶滅の原因ともされる巨大隕石も、
直径10キロメートルもあった小惑星だったのではないか?
似たような話が、今後もないとは否定できないようです。

6.見つければ命名できます

小惑星は、小さい物体も多くあります。
これまでに30万個以上が確定され、まだ20万個以上が確認作業中、
観測技術が発達すればさらにまだまだ発見される可能性もあります。
そこで新しく発見すれば、発見者に対して命名権が与えられます。
例えば英国の著名なロックバンドであるクイーンのボーカルだった
フレディ・マーキュリーさんが1991年に死去しました。
その年に発見された小惑星に対して、
2016年9月5日、同バンドのギタリストであり天体物理学者でもある
ブライアン・メイさんが、フレディさんの生誕70周年であることにちなみ、
Freddiemercuryと命名したそうです。

7.ベンヌとは

NASAが目指すベンヌとは、どんな天体なのでしょうか。
直径は約500メートルと推定され、東京スカイツリーよりも小さいですね。
とはいえ有機物の存在が指摘されています。生命体がいるかも?
採取した試料を分析すれば、生命発生の謎が解明できると期待されています。
一方で地球近傍小惑星のひとつなので22世紀には1/2500の確率で地球に衝突する?
遠い未来ではありますが、今後の軌道を計算する目的も、
今回の探査機打ち上げにはあるようです。

小惑星を研究して何になるのか

アメリカでの話ではありますが、日本でもはやぶさ2があります。
そのようにして小惑星を研究して、何になるのでしょうか。
第一に地球と衝突するか否か?直接的な利害関係が絡みます。
とはいえぶつかると決まったら、核兵器を使ってでも阻止するのでしょうか?
一方で小惑星の起源が太陽系と一致するのであれば、
地球の成り立ち生命の謎が解明されるかもしれません。
もちろんメインベルトまで探査機を飛ばせればよいのですが、
上手く帰還させる技術は難しいのでしょう。
先日ようやく、木星探査機ジュノーが到着し観測を開始しました。
火星の探査計画もありますが、まだまだ時間がかかります。
ならば近くに来てくれる小惑星を利用するのが賢明な判断です。

ゆっくり結果を待ちましょう

不思議なことではありますが、多少の試料、
遠くから撮影した写真などから、様々なことがわかるようになりました。
そうした事実を積み重ねることによって宇宙の仕組みが解明され、
私たちがなぜいるのか?そうしたことも理解できるようになるのでしょう。
急いではいけません。ゆっくりと結果を待ちましょう。

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たくと
たくと
著者サイトたくとすく~る
生まれつき無関心な子供はいない! そう信じ、学習塾や講習会などで、 科学を楽しく解説しようと日々奮闘しています。 半世紀生きていますが、 気持ちは、今でも夢見る少年です。

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