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体外受精児が5万人!しかし胚培養士さん次第でもある

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この記事の所要時間: 646

日本で初めて体外受精児が生まれたのは1983年です。
不妊で悩んでいるカップルにとって救世主でした。
試験管ベビーなどと揶揄された時期もありましたが、
今では当たり前の技術になったようです。
そしてその裏では、胚培養士さんが活躍しています。

2014年には47,000人

日本産科婦人科学会は2017年9月16日までに、
国内の医療機関で実施された体外受精の結果を発表しました。
総実施数は39万3745件、うち生まれたのが4万7322人です。
成功率にすると12%です。高いとみるか低いとみるか?
これは後述するような問題点があるからです。
なお同年における新生児の数は約100万人です。
ここから計算すると、新生児の21人に1人が体外受精児!
単純に言えば、クラスに2人程度いる計算になります。
年度毎の出生数は年々増加し続け、累計しても43万1626人です。
もはやスタンダートな技術になったのでしょう。
ちなみに実施件数全体の4割は40歳以上でしたが、
出産に至る割合は、30歳で20.6%、35歳で18.1%、ただし
40歳では8.8%と激減します。高齢出産には適さないのかも。

体外受精児とは

まず体外受精とは何か。女性の体外、つまり精子と卵子を取り出し、
顕微鏡下で受精させ、受精卵を子宮に戻す不妊治療の一種です。
晩婚化などで妊娠しづらくなっているケースが増えています。
一方で仕事や病気の関係から卵子や受精卵を凍結しておき、
それを使う場合もあります。
技術としては確立していますが、上述のように成功率は高くありません。
もちろん女性側に問題があることも多いでしょうが、
男性側の精子に活力がないパターンも稀ではありません。
良質の精子を選び出す!そういう意味でも体外受精は重要です。
そして体外受精によって生まれた子供が体外受精児です。

胚培養士とは

どんな仕事でも裏方さんがいます。だからこそ上手くいくのです。
体外受精の場合には、胚培養士と呼ばれる技術者がいます。
つまり卵子と精子を受精させる仕事を受け持つ人です。
単純な体外受精は、単に精子と卵子を取り出し、
受精する場所が違うだけであって、自然に任せます。
上手く受精すれば、それを子宮に戻します。
とはいえそれほど簡単なことではありません。
体外受精とは言いますが、ほとんどは人工的に精子を卵子へ挿入します。
その技術を顕微授精と称し、それを担当するのが胚培養士です。
健康そうな精子と卵子を選び、結び合わせる、
お見合いのようであり、キューピッド役でもあります。
言い換えると、胚培養士の腕次第で成功率が変わるようです。

体外受精の問題点は何か

体外受精が一般化したとはいえ、まだまだ問題点はあります。

1.高齢出産では未だ難しい

体外受精に至る理由は様々です。一つは物理的な問題があります。
例えば卵管が狭くて通れないこともあります。
一方で高齢出産の事例も増えています。
すると卵子の老化というリスクも避けては通れません。
基本的に精子は、中年すぎても常に作られ続けています。
しかし卵子は生まれた時に数が決まっており、それが年齢と共に成長し、
月経周期ごとに1つずつ卵巣から出る、すなわち排卵されます。
成人に達したとしても新たに卵が作られることはありません。
そのため若い間の方が、卵子の鮮度はよい?否めない事実のようです。
晩婚化傾向が続けば、生物学的には妊娠が難しくなります。
体外受精によって多少の改善はありますが、
上述のように、40歳を超えると厳しいのが現実です。

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2.男性側の問題点が少なくない

かつて不妊の責任は女性に100%押し付けられていました。
しかしよくよく調べてみると?男性側の問題点も少なくありません。
かの豊臣秀吉も、種なしだった可能性があります。
江戸時代を築いた徳川家康とは大違いです。
実際に日本産科婦人科学会の調べによると、
配偶者ではない男性から提供された精子を使って生まれた子供が100人
まったく精子が作れない病気の人もいますし、
精子が弱くて卵管まで到達できないケースもあります。
そうした場合には、顕微授精によって卵子に入れる必要があります。
それでも元々活力がなければ、受精卵として成長しません。
根本的な治療が求められるようです。

3.胚培養士次第で決まる

体外受精による単純成功率は12%程度でした。
数字だけ見れば、それほど期待できないのかもしれません。
とはいえゼロに比べれば、かなり進歩した数字です。
その向上を支えるのが、胚培養士の技術です。
現状では、培養士さんのテクニック如何で成否が決まります。
そのため有能な培養士さんをヘッドハンティングすることがあります。
つまりクリニックにとっては、成功率が経営に直結するからです。
そういう噂、口コミは、広がりやすいですから。

胚培養士にも問題はある

裏方であってもスター的な存在である胚培養士さんですが、
そのさらに裏側にも、少なからぬ問題があるようです。

1.資格が曖昧である

胚培養士は、医師ではなく、国家資格でもありません
厚生労働省も国家資格化を検討していないようです。
現状では、関連学会が認定する民間資格に止まっています。
とはいえ資格がなくても、事実上は行うことができます。
ちょっと曖昧な仕組みになっています。
一方で乱発にならないよう、毎年資格試験の応募枠を限定しています。
それでも将来性のある仕事なので、応募は直ぐに埋まるとか。
もちろん資格があるからといって有能なわけではありません。
逆にブラックジャックのような人がいるかもしれません。
職人は、肩書よりも実際の腕です。そちらの方が重要です。
経験がものを言う世界でもあります。

2.経験を積みにくい

胚培養士の資格を得たとしても、そこからが大変です。
ひとつのクリニックに止まっていると、事例が少なく経験を積みにくい?
例えば日本産科婦人科学会に所属する医療機関は国内に約600施設あります。
うち実際に体外受精を行っているのは574施設です。
そこに1300人ほどの胚培養士さんがいるようです。
単純計算では、1施設に2人程度の割合です。
もちろん10人以上の胚培養士を抱えるクリニックがあります。
患者さんが多ければ、必然的に数を増やすしかありません。
逆にあまり患者さんが来ない施設であれば、胚培養士さんも暇になる?
技術は経験で磨かれます。未熟な人は成功率が低い?
成功率が低いと噂になれば、患者さんは遠のいていしまう?
悪循環に陥ってしまうのは、火を見るよりも明らかです。

3.バックグラウンドも多様

培養士を志す人は、どのような人なのでしょうか。
昨今増えているのは、畜産系学科を卒業した人です。
つまり現在、ウシの繁殖は人工授精、受精卵移植が主流です。
受精卵を扱うことに違和感がないのでしょう。
原理的にはウシも哺乳類ですから、卵子や精子は同じです。
一方で全く関係ない工学系教育系の人たちもいるとか。
バッググラウンドも多様になっているようです。
もちろん職業選択の自由があります。
真面目に取り組んでくれるのであれば、大歓迎でしょう。
とはいえ治療を受ける側は不安があるのか?
しかしどんなことであっても、裏事情を知らない方が幸せです。
結果がすべての世界でもあります。

本当の問題は何か

不妊で悩むカップルにとって、体外受精は最後の頼みです。
とはいえ人為的操作である点は否めません。
これが行き過ぎると、男女の産み分け、優生思想?
遺伝子操作は現実的なレベルにまで発展しています。
そもそも健康そうな精子や卵子を選ぶことになります。
神の領域に入っているのではないのか?
中には受精卵を無断で持ち出し研究に使う事例もある?
胚培養士を含めて倫理面をどこまで徹底できるのか
変な脅しが入らないようにしたいですね。

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たくと
たくと
著者サイトたくとすく~る
生まれつき無関心な子供はいない! そう信じ、学習塾や講習会などで、 科学を楽しく解説しようと日々奮闘しています。 半世紀生きていますが、 気持ちは、今でも夢見る少年です。

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