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自動運転車にも保険適用?交通事故の示談交渉が解決しやすくなるか

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この記事の所要時間: 635

人工知能AIの進化は目覚ましいものがあります。新聞には連日のように関連記事が掲載されています。そこでついに日本経済新聞2016年11月8日の一面トップで報じられたのが「自動運転 保険で補償」です。

これまでの議論として、AIなどを使った自動運転車で起きた事故は誰が責任を持つか?侃々諤々の議論がありました。しかし東京海上が一定の基準を作りそうです。交通事故の示談交渉で不利益を蒙っていた人達には朗報かもしれません。
参考「交通事故の示談交渉をどうする?まずは弁護士へ相談しよう

自動運転車とは

自動運転車とは言いますが、そこには次のような4つのレベルがあります。

レベル1

単独型とも呼ばれるタイプであり、アクセル、ブレーキ、ハンドル操作のいずれか1つの操作だけを自動で行うものです。すでに自動ブレーキシステムなどとして実用化されています。

レベル2

システムの複合化とも呼ばれるタイプであり、ブレーキとアクセルなどのように複数の操作を同時に車が適宜判断して行うものです。日産自動車のセレナで一部実用化しています。

レベル3

システムの高度化と呼ばれるタイプであり、すべての操作をシステムが行い、緊急時のみ運転者が対応します。そのため運転免許を持ったドライバーが運転席に座っている必要があります。こちらはまだ実験段階です。

レベル4

完全自動走行と呼ばれるタイプであり、いわゆるSFにも出てくる、すべてお任せする車です。緊急時でも、事故があっても、そもそも免許証を持つ運転者を必要としていません。もちろん実験段階でしかありません。

これまでは個人が訴訟を起こした

現在実用化している自動ブレーキシステムであっても完全ではありません。気象状況等によってモニターやセンサー類が感知できないこともあります。そのため自動運転機能のある車であっても、事故が起きれば原則は運転者の責任です。システムがなければどうなるか?運転者のミスであり不注意であるはずだからです。

ただし機械の誤作動?個々の運転手はどこまで正当性を主張できるのでしょうか。同様に保険会社はどこまで補償してくれるのか。その点が明確になるまでには、時間がかかるのも事実です。であれば交通事故の被害者は泣き寝入りすることもありがちです。

1.自動車会社に責任はあるか

自動運転を謳う車であれば、ユーザーはそれを信じて購入します。そのため機械の誤作動などがあれば、自動車会社に責任があるはずです。

実際問題として、ほぼ毎日の如く自動車に関するリコールは起きています。新聞の片隅に小さな記事でしか報道されませんが、そうしたトラブルがドライバーに正しく伝わっているのか。不具合を隠すような事態は起きないのか。ユーザーが守られる状況がないと、自動運転で不利益を蒙るのはドライバーでしょう。

ただしセンサー部分が汚れていて感知できなかった?メンテナンスが悪くてブレーキオイルが漏れていた?そうした微妙な点をどう区分けするか、裁判になるかもしれません。ただし一個人がメーカーと単独で戦うのは難しいでしょう。

2.ソフトウェア会社の責任を問えるか

自動運転は、ソフトウェア次第でもあります。ハードであるカメラやセンサーは、ただ状況を調べるだけです。その情報を基にしてAIなどを使い、瞬時に判断して操作することになります。

このソフトにバグがあった場合はどうなるか。パソコンの誤作動などでもありますが、最悪はエンジンを切る!乗っている誰かがソフトを黙らせるような判断をする必要が出てくるでしょう。すると物理的にブレーキ操作が必要となりますが、それはレベル4の車でも装備されるのでしょうか。

このような際は、誰が責任をとるのか。もちろんソフト会社を訴えることになるのでしょうが、プログラムが膨大となるに従い、ソフト会社自身も把握できていないことが発覚するかもしれません。

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3.ハッカー?

機械の初期不良、ソフトのバグ、一方でユーザーがいい加減な操作をした?これらが明確にわかっているならば、問題解決は難しくないでしょう。とはいえ今心配されているのは、テロリストやハッカーなどによって乗っ取られることです。

自動運転車はコンピュータを乗せて走っています。そのソフトに外部から侵入して何らかの操作を加える、理論的には十分ありえます。今後は車がネットでつながるIoTが一般化します。運転データをサーバーに集約します。そのデータで保険の等級なども決まってくるでしょう。このシステムに侵入されたらどうなるか。
参考「IoTでAV機器は生き返るのか?有効な使い道を考えよう

セキュリティソフトの導入を義務付けるのか?しかしソフトも絶対ではありません。ネットにつながっている以上、侵入されるリスクを想定すべきです。ではそこまで車会社、ソフト会社などは責任をとるのかどうか。

そもそもハッカーに対して裁判をすることは、事実上不可能でしょう。結果的にユーザーや事故の被害者が泣き寝入りすることになるのかもしれません。パソコンのように、最終的には自己責任として。

東京海上が無料特約を作った

誰もが心配していましたが、誰にも名案がありませんでした。そこで今回の報道です。東京海上日動火災保険が、自動運転中の事故に対しても補償する!そうした自動車保険を2017年4月から販売するようです。
参考:自動車保険「被害者救済費用等補償特約」の開発

実質的には、自動運転時の事故を特約として補償に加える保険商品のようです。つまり現状では責任の所在が明確になるまで保険金が払われていません。長期にわたることもあります。取り急ぎ事故の被害者を救済するための措置です。

これまでは、自動運転車に乗っていて、機械の誤作動などが原因だとしてドライバーに責任がないと判断された場合、自動車保険が使えなかったからです。事故で被害に遭った人は、お金をもらえませんでした。もらいたいなら自ら車会社を訴えるしかなかったのです。とはいえこれは理不尽な話です。

東京海上の試みによって、これまで救済されなかった被害者の多くが救われることになるでしょう。もちろん実際にどうなるか?初めてみると新たな問題が出てくるかもしれません。しかしそうやって試行錯誤していくことが大切なのです。

ちなみに形式上は、一時的に保険金を支払うことによって、事故の被害者が有していた損害賠償請求権を保険会社に移譲することになります。以後保険会社が、各メーカーに損害賠償請求を行うことになるようです。

他社も追随するか

ある意味ではチキンレースです。つまり最初に手を上げた企業が損をするかもしれません。ある程度ルールができた後に参入した方が、得をするかもしれません。言い出しっぺだからこそ批判を受けることもあるでしょう。

とはいえ誰かが言い出すことが大切です。結果の良し悪しは別問題として、まずは東京海上を称えたいものです。そして他の保険会社が追随するか見てみたいですね。それによって保険会社の誠意が汲み取れる?保険を選ぶ基準になるでしょう。

ちなみに東京海上は、自動車保険契約数の約1/4を占めているとか。言い換えると業界のリーダーとも言える存在です。ここがまず動き、ディフェクトスタンダードとすべきなのでしょう。あとは保険業界としてどうするかです。

とはいえ油断は禁物です

自動運転になった、保険が補償してくれる、とはいえ油断は禁物です。レベル4の完全自動にならない限り、あくまでもドライバーに責任はあります。最後まで事故を回避する努力が、義務付けられるはずです。

AIがどんなに賢くなったとしても、機械に誤作動はつきものです。人間が完全ではないのと同じく、機械も不完全です。それを補うのが、保険の役割です。それぞれが相応の義務と責任を負うことで、世の中は良くなっていくはずです。

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たくと
たくと
著者サイトたくとすく~る
生まれつき無関心な子供はいない! そう信じ、学習塾や講習会などで、 科学を楽しく解説しようと日々奮闘しています。 半世紀生きていますが、 気持ちは、今でも夢見る少年です。

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