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生物とは何か?「生きている」とはどういうことなのか

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この記事の所要時間: 719

哲学的な話ではありません。科学的に「生きている」とはどういうことなのか?

具体的には

  • ウイルスは生物なのか?
  • どういう状態なら生きていることになるのか?
  • 生命体として分類されるのか?
  • さらには地球外生命体は存在するのか?

これらを考えてみましょう。

生物の定義

古くから論争が続いています。つまり生物もしくは生命体とは何か?おおまかな定義はできますが細かい点を探っていくと、どうしても例外が現れます。とはいえ一般的な定義を考えてみましょう。

1.独立した存在である

私とあなたを区別するには、二人の間に物理的なつながりのないことが重要です。そういう意味では「独立した存在であること」が生物に関する第一の定義になります。

厳密に言い換えると生物の基本単位は細胞です。わかりやすいのはバクテリアなどの単細胞生物です。それらは1個の細胞ですべてを賄っています。そして細胞膜により外界と遮断できる。膜の内側が自分で外側は他者、これは大切な定義です。

一方で人間は、約60兆個の細胞からできていると言われます。しかしその1個を分離すれば、生殖細胞を例外として、生き続けることはできません。つまり多細胞生物は、細胞同士が連関し機能分担した集合体を作っています。それで独立した一つの生命体になります。

では母体内にいる赤ちゃんは独立した存在なのでしょうか?法的には堕胎罪があるので人格が認められています。しかしこの話は違った意味でややこしくなりそうなので、除外して考えます。

2.自分を維持できる

1個の細胞、もしくは個体として外界から遮断できたとしても、自分を維持できるのか?これも重要な定義です。熱力学第一法則から導かれるように、永久機関は作れません。そのため外部から常時エネルギーを得る必要があります。

例えば植物は、自ら光合成によりエネルギーを作り出すことが可能です。動物は、植物もしくは他の動物を捕食することによりエネルギーを得ています。この違いから植物を独立栄養生物動物を従属栄養生物と呼ぶことがあります。

間違えやすい点として、キノコやカビは、動物でも植物でもバクテリアでもありません。菌界という別の分類になります。植物とは異なり光合成できません。したがって主に他生物へ寄生してエネルギーを摂取する従属栄養生物です。

いずれの方法かによって得られたエネルギーを使って自分を維持することができれば、一つの生命体として認められます。単細胞生物は一つの細胞ですべてを賄いますが、多細胞生物は捕食、消化吸収などを異なる細胞で分担し個体を維持しています。

3.繁殖力がある

さらに大切な生物の定義は、繁殖力があることです。単細胞生物であれば分裂などによって数を増やすことが可能です。言い換えると自身の遺伝子を持った子孫を生み出す能力、自己複製力こそが、独立した生命体であることの証です。

ここでもちょっとややこしい話があります。つまり雑種を作ると繁殖力のない個体が作られます。具体的には雄のウマと雌のロバを掛け合わせると、繁殖力のない子供、ケッティが生まれます。これは生物ではないのか?一種の人工物ではありますが。

セントラルドグマとは

生物の定義として繁殖力および自己維持力があると述べましたが、言い換えると自身が持つ遺伝情報を活用することが、生命体における重要な仕事なのかもしれません。つまり使わずに保管しているだけならば、単なる倉庫と同じです。

そこで登場するのが、セントラルドグマです。日本語にすると「生物学の中心原理」です。すなわち生物であれば遺伝子を持っています。それがDNAもしくはRNAの形で保存されています。
参考「遺伝子とは何か?運命なのか、変えることはできるのか

セントラルドグマとは、個体もしくは細胞が有する遺伝情報を発現させる基本原理です。具体的には細胞の核内でDNAを「複製」(設計図をコピーする)、DNAからRNAに「転写」(作業場へ設計図を運ぶ)、タンパク質を作る「翻訳」(設計図通りに物を作る)を行う一連の過程です。

基本的に生物と認められる存在であれば、個々の細胞内で日々この作業を続けていることになります。それが自身の維持、もしくは子孫を残すことにつながるのです。

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ウイルスは生物なのか

細かいことを気にしなければ、上述の定義で生物と無生物を区別できました。とはいえ様々なことがわかってくると、例外的な存在が見えてしまいました。つまりウイルスとは何か?生物なのか?そうした疑問です。
参考「この冬に気を付けたいウイルス病とその予防法!5つずつ紹介!!

ウイルスは、膜状のもの、もしくはカプセル状の構造によって外界とは遮断されています。そのため物理的に独立した存在です。しかしエネルギーを自ら作り出すことはできません。そして自己を維持および繁殖することも、自分だけではできません。

ではどうするか?生きた細胞に潜り込み、その細胞が持つ仕組み、いわゆるセントラルドグマを利用して自己を再生、増殖させます。見方によっては従属栄養生物と言えなくもないですが、他者内に入り込まないと存続できないのです

ウイルスが生物でなければ何なのか?インフルエンザやノロは単なる物体なのか?未だに明確な答えはありません。だからウイルス病への対策が難しいのです。

生命の起源は何か

視点を変えて、生命の起源について考えましょう。そこから生物とは何かが見えてくるかもしれません。

1.ミラーの実験

地球上でどのようにして生命体が生まれたのか、明確なことはわかっていません。仮説がいくつかありますが、どれも決め手に欠いています。とはいえ有名なのはミラーによる実験です。

つまり地球は約46億年前に誕生したと考えられていますが、その時はまだ地表面にマグマなどが露出しており高温な世界でした。そこでは常に雷が鳴っていたようです。
参考「小学生でもわかる!雷の仕組みについて学ぼう

そんな中、いくつかの無機物が集まって分子を作り、さらに結合を繰り返して単純な生命体が生まれたとする仮説です。これを実験的に確かめたのが1953年、当時まだ大学院生だったアメリカのミラーです。

ミラーは、原始地球の環境を想定しました。具体的にはメタン、アンモニア、水素、水蒸気からなる大気を作りました。そこに熱を加え6万ボルトの電気を1週間流し続けました。すると、アミノ酸や尿素などの有機物ができました。

アミノ酸は生命体を構成するタンパク質の成分です。アミノ酸があれば、あとは時間の問題です。時間は十分にありました。地球誕生から約8億年後、つまり38億年前の岩石中に、最古の生命の痕跡が発見されています。

2.隕石によって飛来した

一方で地球外から生命体がやってきたとする説もあります。つまり地球が成立して以来、多くの隕石などが地球に突入しているからです。その一部に何らかの生命体が存在しており、長い期間を経て現在のように進化したのかもしれません。

もちろん古い時代に宇宙人が飛来して、何らかの生命体を残していった?考えられなくもありません。南米ナスカの地上絵は、宇宙船に対する合図だった?立場を変えると、人間が探査機によって月や火星に菌をばらまいている可能性も否めません。

ただし外部から来たとしても、その生物はどうやって作られたのか?根本的な問題は解決されないままです。

さらに月や火星にも隕石は届いています。しかし生命体の痕跡は、未だ発見されていません。加えて現在も落ちてきている隕石を分析しても、生命体は発見されていません。これらの疑問をどう説明するか、難しいようです。

地球外生命体の可能性

これまで生物種の分類は、見た目や器官の働きなどを基に行われてきました。しかし最近はDNAによる分類が進んでいます。こちら方が、種同士の近縁度を客観的に調べることができると考えられています。

とはいえ人間の主観であることに変わりはありません。DNAという基準を勝手に作っているだけです。カモノハシに見られるように、人間の基準からは例外的な生物が存在するのも事実です。

ならば生命体とは何か?「生きている」とはどういうことなのでしょうか。明確な定義ができなくても不思議はないのかもしれません。生物と無生物の差は、本来ないのかもしれないからです

一方で地球外生命体に関しても、地球上における生命の定義とは異なる、セントラルドグマを利用しない生物がいても、おかしくはないのでしょう。もちろんそれを生物、生きていると呼ぶかどうかは、人間の主観によって決まります。
参考「ついにCIAがデータを公開!宇宙人は存在するのか

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たくと
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著者サイトたくとすく~る
生まれつき無関心な子供はいない! そう信じ、学習塾や講習会などで、 科学を楽しく解説しようと日々奮闘しています。 半世紀生きていますが、 気持ちは、今でも夢見る少年です。

すすんで優しくされよう!素直に思いやりを受ける優しさすすんで優しくされよう!素直に思いやりを受ける優しさ

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