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京都を支える水物語(第3話)琵琶湖疎水で栄える水上輸送

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この記事の所要時間: 445

古都を支える水物語(第2話)でご紹介したインクラインの完成により、古都を支える水物語(第1話)で計画された琵琶湖疎水は、見事に京都の主流「鴨川」に到達しました。

時は1890年(明治23年)、滋賀と京都が1本の水路で繋がったのです。

目指せ大阪!

鴨川まで無事に到達した琵琶湖疎水はその後、いよいよ最終目標となる宇治川を目指します。

そこで建設されたのが、鴨川運河。

ですが、そこにもまた落差15メートルほどの難所がありました。

しかし、蹴上(けあげ)の36メートルという大きな壁を乗り越えたのです。

ここでは自信を持って2つ目のインクラインを設置。

1894年、(明治27年)、ついに琵琶湖から京都の鴨川と宇治川を経由し、淀川に出て、大阪まで船で向かう事を可能としたのであります。

伏見インクライン

京都の中心部「洛中」と京都の南部、さらには、大阪を結ぶのが「洛南」。

その中心を担うのが伏見(ふしみ)の街です。

そして、伏見と言えば、太閤殿下こと豊臣秀吉(とよとみひでよし)が城を築いた事で有名。

明治時代には多数のお堀が残っていました。

そこで、琵琶湖疎水を延長するに当たり、その伏見城の外堀を利用する事にしたのですが、そこに現れたのが、落差15メートル強の難所です。

という事で、ここにもまた延長290.8メートルのインクラインが設置され、その動力源を確保するべく、発電所が設けられました。

インクラインは「伏見インクライン」。

発電所は、その所在地名から「墨染(すみぞめ)発電所」と命名されました。

しかし、伏見インクラインは、戦争中の1943年(昭和18年)に休止。再起動する事なく、1959年(昭和34年)、その動力源であった電気設備とレールが撤去され、事実上の廃止を迎えます。

そのため、伏見インクラインについては、今では殆ど史跡も残されていない状態です。

しかし、墨染発電所の方は、未だバリバリの現役!ここで作られた電気は、最寄りの変電所から全国に供給されているのです。

盛り上がる水上輸送

この大津から大阪までの琵琶湖疎水の貫通を機に、古都の水文化は一気に発展して行きます。

まず何より、庶民の足が一つ増え、それも、安価に大津←→京都間を行き来出来るようになった事は、多くの人々に喜ばれました。

新たな人々の足の誕生

我が国の鉄道の歴史そのものと言っても過言ではない東海道本線は、明治時代初期に開通しています。

滋賀県の大津駅と京都駅の間が開通したのが1880年(明治13年)。

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その後1889年(明治22年)には、東海道本線が全線開通し、東京←→神戸間が約20時間で一気に移動出来る状態にありました。

それに対し、琵琶湖疎水の旅客船が就航したのは明治時代中期の1891年(明治24年)です。

従って、この時すでに鉄道があり、且つ、馬車輸送も確立されていました。

しかし、鉄道は高価で、お米1升を5銭で買えた時代に、片道50銭もしたのです。

また、馬車も8銭という事で、庶民にはやっぱり歩きが一番という状況でした。

そこに打って出たのが、琵琶湖疎水を行き交う船です。大津から京都までの下りが4銭、京都から大津までの上りが5銭と、鉄道の10分の1!

片道8銭だった馬車よりもリーズナブルだったのですから、正しく救世主です。

たちまち需要は増加し、明治時代終盤には、年間2万艘以上の船が日々水上を行き交い、10万人以上の人を運んだと言われています。

上り4銭・下り5銭の謎

と、ここで素朴な疑問。

何故、上りと下りで料金が違うのか?

不思議に思われる事でしょう。

けれど、これは水流と船の関係を考えれば、すぐに察しが付きます。

先の記事でご紹介した保津川の遊覧船、下りはあっても上りはありません。

亀岡を出発し、嵐山に到着した船は、昔は陸を引っ張って帰っていました。今はトラックで返送されていますが、エンジンのない船で川を上るのは大変だという事です。

幸いにも、人工的に作られた琵琶湖疎水は、保津川ほどの高低差はありません。

とは言え、勾配がある以上、普通に船を漕いでいるだけでは埒が明きません。

そこで、沿岸に張ったロープを手繰りながら上って行ったのです。

そのため、下りは所要時間約1時間20分でしたが、上りは約2時間20分と、1時間も余計に掛かっていたのです。

少々お高いのも致し方がないところでしょう。

琵琶湖疎水を行き交う船たち

また、貨物船の方も明治末期には年間1万艘を超え、米や油、炭・砂利・木材・煉瓦など、多くの物資が京都に運ばれて来ました。

一方、京都の方からは、焼き物や織物・染め物など、素晴らしい伝統工芸品が湖畔の町に送られて行ったのです。

特にこうした貨物については、鉄道よりも安価で振動の少ない船輸送は重宝され、近江商人にとっても、なくてはならない輸送手段でした。

ただし、元々富裕層相手に速さを売りにしていた鉄道は、いくら舟運が商売繁盛していても、さほど気にはならなかったようです。

けれど、馬車輸送の方は、船に乗客を取られ、大ピンチ!!ついに6銭にまで値下げし、必死で旅客の争奪戦を繰り広げていたと言います。

ところが、やがてこの両者を揃って脅かす全く新しい陸上輸送が誕生します。

しかも、それは京都の水文化が発達したからこそ確立された新たな交通で、何とも皮肉な話です。

それは何処の何者なのか?

それは次回のお楽しみです。

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yamamoto
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おしゃべり大好き!お節介大好き!!の典型的関西人おばちゃんです。 趣味で京都の観光ボランティアガイドをしています! 言いたい事はズケズケ言うけど、結構面白かったり、時々ホロリとさせたりもしまっせ~( `pq´)ゥシシ 地元関西地区の食や趣味嗜好的な情報を中心に、自分の最大の課題であるダイエットの情報なんぞも、バンバン発信していきますので、よろしゅうおたのもうします(*^_^*)

京都を支える水物語(第2話)琵琶湖疎水の見所、インクラインとは?

【ネタバレあり】舞台 弱虫ペダル【箱学篇・インターハイ篇】

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