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京都を支える水物語(第5話)蹴上発電所の水力発電と京都の発展

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この記事の所要時間: 515

桜満開の岡崎公園一帯に溢れ返る観光客や行楽客。

特に、哲学の道から南禅寺(なんぜんじ)までの疎水沿いを歩いておられる家族連れやカップルを見ると、実に穏やかに感じます。

しかし、それは京都を支える水物語(第4話)で明らかになったように、琵琶湖疎水の建設に当たり、当初予定されていた水車と工業団地の設置が流れたからこその結果です。

もし、予定通りに事が進んでいれば、あの美しい風景も数々の名園もなかった事を考えると、これからは電気の時代だというのは、神のお告げだったのではないかとも思えます。

電気屋は儲からない?

ならば、その電力は、京都の街でどのように発展して行ったのでしょうか?

日本初の水力発電所は厳しかった

京都でと言うより、日本で第1号となる本格的な水力発電所は、京都を支える水物語(第2話)でご紹介した蹴上(けあげ)インクラインにほぼ隣接するような形で建てられました。

その名もズバリ「蹴上発電所」。

送電開始は、疎水の完工から約1年半後となる1891年(明治24年)11月で、2台の発電機が作る電気は、煉瓦造りの建物から、京都市内へと送られて行きました。

とは言え、当初の最大の需要はインクラインで、他はと言えば、小さな時計製造工場だけ。

これでは、直轄の事業主だった京都市としては困ってしまいます。

何せ、京都を支える水物語(第1話)でご紹介したように、多額の資金を投じて作った琵琶湖疎水、ちょっとやそっとの稼ぎでは許されないのです。

火力発電から水力発電に

そんな折、救世主となるべく現れたのが、1888年(明治21年)に創立された日本で4番目の電力会社「京都電灯」です。

同社はすでに、1889年(明治22年)から、高瀬川(たかせがわ)の請願に立てた自らの社屋で石炭を燃やし、火力発電による送電を開始していました。

しかし、あくまでも直流による近距離低圧配電で、さらに広大なエリアに多量の電気を供給したいという願望を持っていたのです。

そこで、株主総会にて検討した結果、蹴上の電力を購入し、交流高圧配電を実現する運びとなりました。

京都市としては大口の顧客が確保出来、万々歳です。

新たな陸上交通の誕生

こうして1892年(明治25年)、火力発電を廃止した京都電灯により、琵琶湖の水で作られた電気は、京都市内の一般家庭にも送電される事になりました。

その発電量は従来の火力を遙かに上回るため、発電コストが安く、安価に供給出来るというメリットは、利用者にも大きかったものと思われます。

京都市内には電灯が一気に普及し、さらに、京都を支える水物語(第3話)で触れた、あの新たな陸上交通を生み出します。

ならば、自分たちで電気を使おう!

市営の発電所で作られた電気を民間の電力会社が販売する。

正しく官民一体のビジネススタイルで、当時としては画期的だったものと思われます。

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とは言え、これでもまだまだ!

1894年(明治27年)には上記の記事でご紹介した墨染発電所も加わり、京都市はとても採算が取れる状態ではありませんでした。

こうなると、上記の第4話で出て来た、水車設置計画から発電所設置計画に変更を促した米国視察隊の先賢の目が疑われます。

そこで、その視察隊の1人だった府議会議員の高木文平(たかぎぶんぺい)氏が立ち上がりました。

1894年(明治27年)、電力を大量消費出来る会社を設立したのです。

それが「京都電気鉄道」。

そう、なんと、電気を使って鉄道を動かそうという訳です。所謂「電車」と呼ばれるもので、正しく文明の利器です。

そうして1895年(明治28年)2月1日、日本初の一般営業用電気鉄道が京都の街を走りました。

その後、“チンチン電車”の相性で親しまれ、京都市電になる路面電車です。

電気と水のある街は強い

琵琶湖から潤沢な水が直接流れ込み、船が行き交い、電灯が明々と点り、電車が走り、邸宅が続々と建って行く明治時代後半の京都は、完全に息を吹き返したと言っていいでしょう。

本日運休?電車にもある定休日

取り分け、市街地を電車が走る光景は、いかにも文明都市という感じで、魅力的だったものと思われます。

ただ、当時の四方山話を見るとビックリ!

今では、ちょっと信じられないようなエピソードが記述されています。なんとこの電車、学校や工場・商店並に定休日があったと言うではありませんか!!

それと言うのも、京都市電は当時、蹴上と墨染、2ヶ所の発電所から送られて来る電気の力で動いていました。

そして、この2つの発電所は、琵琶湖疎水の水を使って発電していたのですが、月に2回、その疎水の藻を大々的に刈る作業が必要だったのです。

それが毎月1日と15日で、その日は給水制限が出されます。そこで、発電所は休止となり、電力を得られない電車も運休になったという訳です。

電気屋は大繁盛!

という事で、まだまだ一長一短の部分が拭えなかった電力都市ではありましたが、やはりその効果は大きかったのでしょう。

何せ、本格的な事業用水力発電所というのは、国内どころか、世界でも珍しく、高木氏らが見たアメリカのものすら希少な存在でした。

その恩恵を被ろうと、わざわざ関東から移転してくる企業もあったとかで、20世紀に入ると、京都は東京や大阪を抜く産業都市となりました。

紡績工場や伸銅工場、機械工場、タバコ工場など100前後の工場や作業所があったと記録されています。

また、5,000軒を超える一般家庭が電力源を導入し、明るい生活を送っていたのだとか・・・。

今度は電気が足りない!?

お陰で京都市の電力業は一気に栄えました。もはや疎水収入の大半を十分賄える状況だったと言います。

それどころか、近々蹴上発電所を増設し、供給量を増やさなければ足りない状態です。

ただ、これ以上電気事業の拡大を進めると、今度は水不足の心配が出て来ます。

それでは今後の発展は望めません。

そこで京都市は、新たな手に打って出ます。

その手とは?

その答えは次回、京都を支える水物語(最終回)で・・・。

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yamamoto
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おしゃべり大好き!お節介大好き!!の典型的関西人おばちゃんです。 趣味で京都の観光ボランティアガイドをしています! 言いたい事はズケズケ言うけど、結構面白かったり、時々ホロリとさせたりもしまっせ~( `pq´)ゥシシ 地元関西地区の食や趣味嗜好的な情報を中心に、自分の最大の課題であるダイエットの情報なんぞも、バンバン発信していきますので、よろしゅうおたのもうします(*^_^*)

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