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2020年から始まる大学入学共通テストの英語を民間に委託して大丈夫か

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この記事の所要時間: 643

文部科学省は2017年5月16日、2020年度から始まる大学入学共通テスト(仮称)の具体的な問題例を公表しました。
国語と数学では記述式の問題を始めます。
その分試験時間が延長されます。
じっくりと取り組めるのでしょうか。

一方で英語は民間の検定試験に丸投げする?

そんなことをして大丈夫なのでしょうか。
メリットとデメリットについて考えてみましょう。
本当に受験生のための改革なのか?
そこが重要なポイントです。

英語は民間の検定試験を利用する

まず文部科学省から示された内容についてまとめておきましょう。
2020年度に現在の大学入試センター試験から変わることは確定しています。

英語に関しては知識量を見る方法から実用的な英語力を測れる手法に変更します。

とはいえA案とB案が出されています。

つまりA案は、2020年から文科省が認定する民間の検定試験へ完全に丸投げする方法です。
一方でB案は、2023年度までは共通テストと民間検定との併用です。

今後意見を公募して最終的な方針を6月に示す予定です。

なお民間試験は一発勝負ではありません。
高校3年生の4月~12月の間に2回受けられます。
ある意味で受験生の負担は減りますが、受験準備を早める必要もあります。
今の中学3年生から対象です。
それによって受験する高校も変わってくるでしょう。

民間に委託するメリットは何か

今回の改革はかなり思い切っています。
民間団体に英語の試験を丸投げします。
もちろん相応のメリットを想定しています。
具体的には次の通りです。

1.民間にはノウハウがある

民間の英語検定にはいろいろあります。
代表的なのは英検と呼ばれる実用英語技能検定です。
現在でも高校の推薦入学に際して内申をアップさせるポイントとなっています。
また留学する人にとって必須なのがTOEFLです。
さらに社会人の昇進基準にもなっているのがTOEICです。

それぞれに一長一短はありますが、相応の英語力を判定することは可能です。
最終的に文科省がどれを認定するかわかりませんが、長く続いてきた民間の検定試験にはノウハウが蓄積されています。
実用的な英語を測る指標として適しているのでしょう。

2.手間が省ける

共通一次試験として始まった現在のセンター試験は、当初の目的が国公立大学用でした。
しかし現在では多くの私立大学も活用しています。

その理由は、問題を作る煩雑さです。

過去に出題された問題は二度と出せません。
また採点ミスがあるのも厄介です。

そういう意味で試験を丸投げする!手間が省けます。

そもそもマークシート方式を採用した理由も、採点ミスを防ぐ人手を省く!

メリットを重視しました。
面接したりすれば、時間もお金もかかります。
外部委託する理由として、これが一番大きいかもしれません。

3.実用的な英語力を判断できる

センター試験の英語はリスニングを採用しています。
単なる暗記だけでは身に付かない能力も測れるようになっています。
とはいえ日本人の弱点は?会話力です。
特に自分の考えを英語にして表現できない!
これが外交下手の一因でもありそうです。

民間の検定試験は、個人面接によって会話力も測ります。

ネイティブの面接官を採用する団体もあります。
ネイティブにしかわからない微妙な違いもあるので、実用的な英語力を判断できるでしょう。
その対策をすれば、生徒の能力も上がります。

デメリットはないのか

メリットだらけということはありえません。
蛇足ですがデメリットについてもまとめておきましょう。

1.地域による公平性が保たれるのか

東京に住んでいると、今回の制度変更に関して違和感がありません。
しかし地方に住んでいれば、危機感を覚えているかもしれません。

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つまり大都市以外で民間の検定試験を受けようとすると、意外に大変です。

第一に受験会場が限られます
県庁所在地でしか受けられないケースも多いでしょう。
そこまでの旅費はだれが払うのか?
北海道みたいに広い一方で公共交通機関が未発達だと移動が難しくなります。
自ずと地域格差が生まれます。

東京や大阪には検定に特化した受験対策をしてくれる専門塾もあります。
とはいえ地方にいれば市販のテキストを使って独学するしかなさそうです。
公平性は保たれるのでしょうか。

2.検定団体によって差はないのか

文科省がどの団体を指定するか?興味が持たれます。
上述しましたが団体によって一長一短あります。
例えば現在の学校教育には英検が適しているでしょう。
一方でTOEICはビジネスシーンの問題もあります。
高校生に状況を理解できるのか?
さらに使われる単語も違います。

地域によって受けられる検定が限られるかもしれません。

全国規模で実施できる団体しか認定されないのでしょうか。
そこでまた格差が生まれる構造は否めません。

なお受験生とは関係ない部分の争いもあります。
つまり文科省に認定されたなら、当該団体には莫大(ばくだい)な利益が転がり込むからです。
対策本も売れるでしょう。
利害関係が生まれ、贈収賄や天下り!
新たな火種です。
外された団体はリベンジに燃えるのか?

3.面接官ごとに差は出ないか

同じ団体内であっても、面接官ごとの差は出ないのでしょうか。

私的な感想ですが、面接官による違いは大きいでしょう。

日本人と外国人という根本的な部分もあるはずです。
日本で学ぶ英語はアメリカ語なので、ネイティブであってもイギリス人には違和感がある?

さらに同じ人であっても、その日の体調があります。
あってはならないのでしょうが、長時間やればイライラします。
最初の生徒と最後の生徒では対応が異なるかもしれません。
極端な例ですが、チャラ男やギャルメイクの生徒が面接に来たら、第一印象で評価されないか?

そういう意味ではマークシートこそ客観的です。
将来的には人工知能(AI)に面接させる方法が検討されるでしょう。
極端に言うと、すべてをAI入試にする!何年か後にはまた変わるでしょう。

4.対策できる点は同じ

塾業界を甘くみてはいけません。

どんなテストに関しても過去問を入手すれば対策を作れます。
極端に言えば、英語力はないのに英検に合格する!
十分に可能です。

問題には癖があるからです。

英語に限らず資格試験で本当の能力は測れない!

前提として考えるべきでしょう。

これはあくまでも私見ですが、早い段階で試験を受けた方がハードルは下がります。
例えば同じ英検2級を受ける場合、中学生と社会人では、自ずと面接官の対応が変わります。
あってはならないことですが、実感としてありえた話です。

5.そこまで英語は必要なのか

英語を含めた語学は、理科や社会などと同列に扱ってよいのでしょうか?

あくまでも英語は手段です。
言語学を専門的に学ぶなら別ですが、日本にいる限り、英語を知らなくても科学的な研究はできます。

2020年の東京オリンピックを機に、翻訳機が今の電卓並みに普及するでしょう。
現在でもスマホのアプリで簡単かつかなりの精度で翻訳、通訳が可能になっています。
ならばどこまで個人が英語を学ぶ必要があるのでしょうか?

ドラえもんの世界は近づいています。
次の入試改革が行われる時、英語は試験科目として残っているのでしょうか?
もちろん論理力や思考力を問う教材として語学は使えます。
そういう発想に文科省がなっているか?疑問ですが。

本当の英語力とは何か

日本人の英語力が低い理由は?
教育制度ではありません。
単に使わないからです。
使えば自ずと英語力は高まります。
そもそも正しい英語とは何か?
だれがそれをしゃべっているのでしょうか。
これを機に、英語絶対主義を改める時期なのかもしれません。

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たくと
たくと
著者サイトたくとすく~る
生まれつき無関心な子供はいない! そう信じ、学習塾や講習会などで、 科学を楽しく解説しようと日々奮闘しています。 半世紀生きていますが、 気持ちは、今でも夢見る少年です。

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