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塾講師が問う!中学受験の理科はどこまで科学的で正しいのか<化学編>

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この記事の所要時間: 655

理科は暗記科目ではありません。仕組みがわかればスムーズに理解できるはずです。とはいえ小学校の理科は現象だけ教えます。そこから生まれる「なぜ」に対して、学校や受験塾は明確に答えているでしょうか。質問がなければスルーしている?そうした面は化学分野でもありそうです。
参考「塾講師が問う!中学受験の理科はどこまで科学的に正しいのか<生物編>

専門家は監修していない

学習塾のテキストや受験参考書の作製に際して、専門家はどこまで携わっているのでしょうか。もちろん根本には出題する学校側の意図があります。それに抗うことができない現状がある点は否めません。

当該知識を持つ人がいれば違和感を覚えるはずですが、科学的に正しくても入試的にはアウト?そんな矛盾があっても良いのでしょうか。中学受験は科学の入り口です。そこで間違ったイメージや知識が植え付けられると心配です。

化学の問題点は何か

大人でも間違ったイメージがある点について紹介しましょう。

1.二酸化炭素の矛盾

別の記事でも指摘しましたが、二酸化炭素の解釈には矛盾があります。現状において小学生から突っ込んだ質問はほぼありません。教える側としては、そのままスルーする方が良いのでしょうか。誤解したままの方が、地球温暖化防止には追い風となる?
参考「地球温暖化に関する3つの誤解?本当に解決すべきなのか

(1)水に溶けるけど水上置換で集める

化学反応によって発生させた気体を捕集する方法には3通りあります。つまり空気より軽い気体を集める上方置換、逆に空気より重い気体を集める下方置換、そして水に溶けにくい気体を集める水上置換です。

二酸化炭素はどれで集めるべきなのか?基本的に空気より重いので下方置換です。しかし「水に溶けにくい性質」があるので水上置換でも集められる?

例えばO社の参考書では「水に少しとける」そのため「下方置換や水上置換で集める」と記述しています。またG社も「水に少しとける」空気より重いので下方置換法で集めるとあります。

一方B社は「水にとけやすい」そのため下方置換を第一に掲げています。ただし「それほど多くはとけないので、水上置換法で集めてもよい」とあります。さらにJ社は「水にとけやすい」ただし水上置換法を第一に、下方置換でもよいとの表現があります。

複数の参考書を並べて読むような家庭はないでしょうが、参考書の選び方で入試時の解答法が変わってくるのは否めない事実です。塾によっても教え方は変わります。

(2)空気より重いけど温室効果がある

上述の事例とも関係しますが、二酸化炭素の重さは空気の約1.5倍あります。つまり下方置換で集める所以です。ならば自然状態ならば、空気中のどこにあるのでしょうか。

いずれの中学受験用参考書においても地球温暖化の説明に際して、空気中に二酸化炭素が溜まった層があるような図が示されています。一般の人たちの抱くイメージも同じでしょう。とはいえ空気より重い物質が上空に層を作れるのでしょうか。

また温室効果を生み出す原因として二酸化炭素を挙げています。もちろん量の問題もあるでしょうが、メタンガスに触れている参考書はありません。子供たち、そしてその保護者達をミスリードしていないでしょうか。

(3)石灰水に入れると白く濁るが、入れすぎると透明に戻る

こちらも受験の定番ですが、石灰水に二酸化炭素を吹き込むと白く濁ります。その原理は、石灰水の成分である水酸化カルシウムが二酸化炭素と反応し、水に溶けない炭酸カルシウムが生成されて沈殿するからです。

中学受験ではここまでしか教えません。しかし高校受験の参考書を見ると、二酸化炭素をさらに入れると、今度は炭酸カルシウムが炭酸水素カルシウムに変化して透明になっていく!そうした説明があります。

最近は学校で実験をしなくなっているようなので、知識としての白く濁る!そこまで覚えていればよいのでしょう。とはいえ実際にやってみたら透明になった?それを知った子供はどうなるか?逆に興味が湧いてくれば幸いです。

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2.水は特別な物質です

地球で生活していると、水が当たり前のような物質に思われます。水があったから生物が進化した!そう解釈すべきなのでしょう。だからでしょうか、水を一般的な物質として扱う事例が多いようです。とはいえそれはちょっと危険かもしれません。

(1)水道水は水ではない

日々の生活で水と言えば、水道水をイメージするでしょう。しかし理科でいう水と水道水は違います。化学的な水は、水素と酸素が結びついたH2Oです。実験では蒸留水と呼ばれる99.9%以上H2Oが含まれている純粋な液体を使います。

水道水には消毒薬の塩素を含めて様々な物質が混ざっています。ある意味では水溶液です。もちろんミネラルウォーターを実験に使ってはいけません。マグネシウムやカルシウムなどが水道水以上に含まれているタイプもあるからです。

小学校レベルの実験では問題ないからでしょうか、水道水と蒸留水の違いを明確には説明しません。とはいえ誤った解釈をしていると、中学以降で失敗する可能性がありそうです。注意しましょう。

(2)固体になると体積が増える

一般的な液体は、冷えて固体になると体積が小さくなります。逆に温められて気体になると体積が大きくなります。とはいえ水が氷になると、体積が1.1倍に増えます。とても珍しい現象です。

これは分子の結合方法に原因があります。氷になると隙間が空いてしまいます。逆に液体になるとその隙間が埋まるため、体積が縮まります。水はあくまでも例外的な物質です。

固体である氷が液体である水に浮く!当たり前のように考えますが、化学的に捉えると不思議な現象です。ちなみに地球温暖化とも関係しますが、北極海の氷がすべて融けても海水面は上昇しません。こちらも誤解してはいけません。

(3)温まりにくく冷えにくい

私たちの身体の約7割は水でできています。そのため、逆にだからでもありますが、水は温まりにくく冷えにくい!体温調節に役立つ物質です。同系列の物質と比べると融点や沸点が100度以上も違います。

この性質は反応性としても現れています。常温で様々な物質を溶かすので多くの水溶液が作れます。例えば食塩は本来液体に溶けにくい物質ですが、水とは相性が良く、簡単に食塩水が作れます。良くも悪くも私たちの体調に影響します。

3.都市ガスにプロパンガスが使われている

たまたまある塾が実施した全国模試の問題を見たのですが、そこで気になる文章がありました。「メタンとプロパンは、どちらも都市ガスにふくまれている可燃性の気体です」どこがおかしいかわかりますか。

都市ガスとは、東京ガスなどのようにパイプラインを各家庭までつなげて供給するタイプを意味します。その主成分はメタンです。こちらは空気より軽いガスです。

一方でプロパンは、LPガスの主成分であり空気より重いガスです。なおLPガスとは、大きなボンベを運んで家庭まで供給するタイプです。俗称としてプロパンガスと呼ばれることもあります。

安全を考えた際、都市ガスにプロパンが含まれていたら大変です。つまりガス漏れセンサーの設置場所が変わってしまうからです。基本的に空気より軽いメタンを探知するには天井近く、逆に空気より重いプロパンを感知するには床近くに!都市ガスに両方とも含まれていたら、2つ設置しなければなりません。

上述の問題は「都市ガス」ではなく「家庭用ガス」と書くべきだったのでしょう。ほとんどの小学生、主婦も知らないかもしれませんが、著名な塾は間違えない?それを信じ込むと危険です。

原子の仕組みを先に教えるべき

日本の理科教育は掘り下げ型です。小学校では現象だけ教えます。理屈は中学、高校と進むにつれて学んでいきます。とはいえ化学の分野は、先に原子の仕組みを理解させた方がわかりやすいと思います。

つまり電気も磁気も、そして化学反応もすべて原子の仕組みから解説した方が理屈がわかるためです。化学が嫌いになってから原子の勉強をしても、よけいに理解できません。理科嫌いをなくすためには、順番も大切かもしれません。
参考「元素の周期表を理解すれば化学がよくわかります

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たくと
たくと
著者サイトたくとすく~る
生まれつき無関心な子供はいない! そう信じ、学習塾や講習会などで、 科学を楽しく解説しようと日々奮闘しています。 半世紀生きていますが、 気持ちは、今でも夢見る少年です。

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