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世論調査とは何か?隠れている5つのバイアスに注意しよう

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この記事の所要時間: 735

世論調査による内閣支持率は、政権与党が強引に国会を閉幕した2017年6月下旬辺りから軒並み急落しています。とはいえ世論調査はどのように実施されており、どこまで信用力があるのでしょうか。

政権が誘導するための「世論操作」だと揶揄する声も一部にはあります。もちろん民意の現れと思いたいですが、統計に隠れているバイアス(かたより)を正しく分析しないと、マスコミによる「誘導」を許すことになりそうです。

世論調査とは

世論(よろん、せろん)とは、世の中の人たちが抱く意識です。それを調べるのが世論調査です。昨今は政治関係の話題に集中する傾向もありますが、本来の目的は、様々な社会問題に関する国民の意見を集めることです。

世論調査といえば、テレビや新聞などのマスコミが実施していると考えがちです。とはいえ大学などの研究機関が独自に行うこともあります。ただしそれを発表するかは、調査者の自由です。

内閣府も世論調査を実施しています。政府が直接国民の素直な声を聞く、これこそが成熟した民主主義です。もちろん内閣支持率ではなく、政策として採用することを調べます。詳しくは下記サイトを参照してください。
世論調査 – 内閣府

サンプルの抽出法

1.層化抽出法

難しい話になりますが、調査をする際、調査対象である母集団をどのように限定し、そこからどのようにして実際の回答者(サンプル)を選び出すか?これが大きな問題です。ここにズレがあると、調査結果の信頼性に影響します。

そのため世論調査など広く意見を拾いたい場合には、国民全体を現わしたサンプルを選ぶ必要があります。
つまり

  • 男女比
  • 年齢階層比
  • 職業比

などが日本全体とほぼ等しくあるべきです。

たとえば中年男性に偏ったサンプルと、若い女性に偏ったサンプルなら、どんな話題であっても調査結果に明確な差が出るはずです。そうした事態を防ぐ方法が、層化抽出法です。

層化抽出法とは、考えられる様々な国民層を考えて、人口比で選んでいく方法です。信用性は高くなりますが、母集団のデータが正確に揃っている必要があり、コスト的にも難しいのが現状です。

2.RDD方式

本来の世論調査は、各家庭へ調査員が訪問し、直接意見を聞く方式です。しかし最近マスコミ各社が実施している世論調査は、電話を使います。こちらの方が調査員に支払う人件費や交通費、通信費などが安くなるため、現在では主流になっています。中でもRDD式が一般的になりました。

これはRandom Digit Dialing(乱数番号法)の略です。つまりコンピュータで乱数を作り、その順番で片っ端から電話をしていく方式です。具体的には下四桁0000、0001、0002・・・と順番に電話します。もちろん中には使われていない電話番号もあります。

ちなみに乱数やランダムとは、いい加減、適当、ではありません。たとえば1~10までの乱数と言った場合、同じ数が複数回出てはいけません。10個の数字を1回ずつ順番を変えることです。表計算ソフトExcelのRand関数で試してみることをおすすめします。

かつてはNTTの電話帳を基にしていましたが、今では電話帳に載せない人、そもそも固定電話を有していない人も多いです。そうした人たちを拾う意味でも、RDD式は優れていると考えられています。

調査に現れるバイアスをどう解釈するか

本来であれば、関係者全員に尋ねる全数調査が基本です。その代表が国勢調査であり、選挙も全数調査です。とはいえ国民全員に尋ねることは現実的ではありません。そこで上述したようにバランスよくサンプルを選ぶ標本調査が行われます。

ただしサンプルの選び方、調査の方法自体によって下記のようなバイアス(結果のかたより)が現れます。もちろんバイアスをゼロにすることは不可能です。そのため調査結果の分析に際して、誤差の範囲かどうかを検討する必要があるのです。

1.新聞バイアス

各種新聞社が毎週のように世論調査を行い結果を発表しています。とはいえ、新聞社ごとに調査結果が異なります。もちろんサンプル調査なので誤差があります。しかし、本当に誤差なのでしょうか。

たとえば内閣支持率を調べる際、読売新聞と朝日新聞では大きな差が出ると予想できます。
つまり新聞社の方向性として、

  • 読売はどちらかと言えば政権寄り
  • 朝日はアンチ政府的

このような印象が否めないからです。

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そのため調査員が電話口で「読売新聞の世論調査です」と言えば、朝日新聞の購読者は拒否するかもしれません。逆もありでしょう。さらに嫌いな新聞社の質問にはを言うかもしれません。世論調査で回答者が本当のことを言わなければならない義務はないからです。

2.オペレータバイアス

本来世論調査は、各家庭まで調査員が出向いて尋ねる、訪問調査が基本でした。しかし金銭的、労力的に大変です。また今は電話が当たり前の時代です。そのため電話調査が主流になりました。もちろん回答側も、家に来られると迷惑ですね。

さらに進んで現在の電話調査は、オペレータが直接電話する場合と、プッシュボタンを押させる自動応答型も登場しています。これによっても回答者の意見が変わると考えられています。

たとえば直接オペレータと話す場合は、かっこいい回答をしがちです。これが先のアメリカ大統領選でみられた隠れトランプ現象です。自分を良く見せたいようです。そのため自動応答式の方が本音が現れるとも言われます。

またオジサンが電話するよりも、綺麗な声の女性の方が素直に回答する?だから自動応答式は、女性の声になっていますね。小さなところで結果が変わるバイアスには気を付けるべきでしょう。

3.質問の仕方によるバイアス

オペレータバイアスにも通じますが、質問の仕方によるバイアスもあります。つまり微妙なイントネーションで回答者が誘導されてしまいます。

たとえば「内閣を支持しますか」強い口調で言われると、思わず「はい」と言いそうです。逆に「内閣を支持するんですか」的に言われると、「いいえ」と言った方が良いかな?そんな気になってしまうようです。

さらに選択肢の作り方も重要です。具体的には「内閣を支持しますか」と「内閣を支持しませんか」ほぼ同義ではありますが、特に日本人は「いいえ」と言いたくない民族とも指摘されます。そうした誘導尋問は少なくありません。

4.回答者バイアス

電話で世論調査と言われると、忙しい時は断りますね。言い換えると、暇な人しか回答しない!回答者バイアスがあります。電話営業と同じで、聞いている時間がもったいないです。もちろん平日の昼間であれば、一般的なサラリーマンの声は聞けません。

一方で、文句が言いたい人ほど回答する!たとえば選挙の投票率で示されるように、政治に無関心な人は回答しません。政治に興味を持ち意欲的な人ほど回答する?それが国民全体の意見を反映しているのか?難しい話です。

これはインターネットを使った調査だと顕著になります。匿名式になるので言いたいことを言う!ほぼSNSの世界と同じです。選択肢を制限しない自由回答の場合には、暴論が飛び出すことも珍しくありません。

5.回答率バイアス

世論調査の回答率も大切です。とはいえ良くて2割でしょう。一般人を対象にした電話調査で回答率が10%あれば大成功です。低すぎるように思うかもしれませんが、最近は答えない、そもそも知らない電話番号なら出ない人の方が多いです。

回答者バイアスと同様に偏りが出る部分です。中でも最近は、回答数が1200を超えたら終了!そんなやり方もあるようです。もちろん1000を超えれば統計的には有効なのでしょうが、集め方によって偏りが出るリスクは、かなり高いでしょう。

自動応答タイプは詐欺もある

世論調査に限らず自動応答式のアンケート調査が昨今は増えています。しかし注意が必要です。詐欺に使われるケースが報告されているからです。

たとえば無言電話タイプがあります。
自分が出ると、直ぐに切れるタイプ。これは電話番号が使われているかをチェックしています。上述のようにランダムに電話をかけています。有効な電話番号であることの確認です。

次に男女だけ尋ねて切れるパターンもあります。
これは家族構成を探って、営業する、もしくはオレオレ詐欺に利用するパターンです。さらに電話に出たら今在宅している証拠!空き巣が住人のいる時間帯を探っていることもあるようです。

どこまで信じるか

世論調査をどこまで信じるか?日本の調査は比較的信ぴょう性が高いと考えられています。つまり日本人は正直に答えるからです。そのため選挙の出口調査を使って直ぐに当落情報が出せます。しかしあなた自身は正直に答えていますか。

大切なことは、ひとつの結果だけで判断するのではなく、複数の調査を併せて総合的に判断することです。少なくともサンプル調査だということを念頭に置けば、間違った判断をしなくて済むでしょう。

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たくと
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著者サイトたくとすく~る
生まれつき無関心な子供はいない! そう信じ、学習塾や講習会などで、 科学を楽しく解説しようと日々奮闘しています。 半世紀生きていますが、 気持ちは、今でも夢見る少年です。

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