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塾の夏期講習も無事に終了し、新学期の準備が始まります。
そこで近年気になることを書いてみたいと思います。
つまり小学校理科のテキストには残っているけど、
日常生活から消えてしまった物たちのこと
です。
逆に、時代を反映して新たに登場してくる物もあります。
科学は常に進歩している!教育現場でも実感します。

生活が大きく変わっています

日常生活が大きく変わっています。
第一に今の小学生は、生まれた時からインターネットがあります。
既にスマホを使いこなしている子供たちも多いです。
調べものを指示すると、必ず質問されることは、
ネットで調べていいですか?
もはやネットなしでは考えられないくらいです。
逆に身の回りから消えてしまった物も多いですね。
もしかしたら小学生の親世代も、知らない物がありそうです。

日常生活から消えてしまった物とは

理科を教えていて困ることは、テキストや入試問題には残っているのに、
身の回りから消えてしまった物たちです。

例えば次のような器具、道具類があります。

1.栓抜きや缶切り

テコの原理を教える際に出てくるのが、栓抜きや缶切りです。
瓶ビールは、居酒屋などでもありますが、
小学生が飲めるような瓶ジュースは売っているでしょうか?
また手で回すようにして開ける缶切りも見当たりません。
こちらは開けた後のギザギザが危険ではありますが、
それを安全に扱うのも勉強のひとつでしょう。
もちろん缶ジュースのプルタブや手で開けられる缶詰も、
結局はテコの原理を応用しています。
授業で教えるには使えますので、教師の工夫次第でしょう。

2.ばねばかり

おなじくテコの計算に登場してくるのが、ばねばかりです。
こちらは完全に、日常生活から消えたでしょうか。
今は、すべてデジタル式の秤に一掃されたようです。
学校の理科では、使っているケースもあるようですが、
実物を見たことのない子供たちも多いですね。
ただしネットで検索してみると、
意外なほど様々なタイプのばねばかりは売られています。
使う場面は残されているみたいですね。
ちなみに秤と言えば、キッチンにあった台秤もない?
どんぶり勘定のお母さんが増えたのか?
さらにヘルスメーターは死語!知っている人は古い人です。

3.水銀体温計

こちらもデジタルの波に押されてしまいました。
かつてどの家庭にもあった水銀体温計は、ほとんど見当たらなくなりました。
おばあちゃんの家にある!そんな言葉を聞くと、自分はそんな年になったのか?と思います。
なぜ33度から42度までしか目盛りがないのか?
人体の不思議を教えるのに重宝したのですけどね。

もちろん水銀の有害性という点も避けられません。
ちなみに100度まで測れるガラス製棒温度計は健在です。
しかし学校で実験をする際だけなので、生活とは無関係です。
子供たちの家にある気温計も、デジタル化しているようです。

4.とっくりの形

小学校理科の定番は、モンシロチョウの生態です。
そこで卵の形は「とっくり」の形に似ている!記述があります。
しかしとっくりとは何か?もちろんお酒を入れる徳利です。
日本酒離れという時代背景もあるのでしょうが、
紙パックが主流になったので、一升瓶も子供たちは知りません。
時代劇に出てくる!そうやって教えるしかありません。
コメを合(ごう)で測る?一斗缶などもわからないようです。
そのため最近の参考書は、米粒、トウモロコシの形!
そうした表記に変える傾向があるようです。

5.ネオンサインって何だ?

東京などでは夜、星を見ることが難しくなっています。
その理由を尋ねると、
空気が汚れている!
コンビニなどの電気で明るいから!
正しい答えが出てきます。
そこでこちらから、ネオンサインがあるから!と追加すると、
ネオンサインって何ですか?
一瞬教室が固まります。
夜になると店の看板が光っているやつだよ!
そう言ってやっと納得してくれますが、今はLEDランプです。
ネオンという言葉も死語になっているのでしょうか。

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用語が変わっている

理科で使う用語も、いくつか変わっているようです。

1.双葉から子葉へ

アサガオを栽培することは、今でも行われているようです。
とはいえ最初に出てくる葉は何か?
かつては双葉(ふたば)と言っていました。
しかし最近は、子葉(しよう)と教えています。

これは単子葉植物と双子葉植物の区別をするためです。
もちろん中学生になれば理解できるようになるのでしょうが、
中学入試の定番でもある有胚乳種子と無胚乳種子の説明をする際に、
両者において子葉の役割が違うので多々混乱が起きます。

2.リットルが小文字から大文字になる

リットルは、単位表記の原則からすれば、
人名からとっていないため、小文字を使うのが常識です。
これまではl、ℓ、mlなどが使われていました。
しかし小文字のエルは、数字の1や大文字のアイと混同します。
そのため大文字のエル、L、mLを使うようになりました。

古い人間としては、違和感があります。
とはいえ皆が使用するようになれば、従うしかないのでしょう。
ちなみにデシリットルは、日常生活でほとんど聞きませんね。

3.カシオペアかカシオペヤか

古い星座の本を読むと、カシオペア座と表記されています。
私もカシオペア座と習ったような気がします。
調べてみると、1960年頃、カシオペヤに統一されたようです。
そのため今はカシオペヤと教えています。
とはいえ英語表記ならCassiopeiaなのでちょっと微妙です。
同じようにペガサス座かペガスス座か?
英語表記はPegasusなのでペガススに軍配が上がりそうです。
ちなみに今使っているワープロソフトでは「ペガス酢」と変換されました。

4.冥王星は惑星から外れました

用語ではありませんが、冥王星が惑星から準惑星に変わりました。
子供たちに対して常に、
科学は進歩します。今日学んだことが必ずしも正しいとは限りません。
そう教えています。その代表例として、冥王星は使えます。
私が小学生の時、冥王星は惑星でしたが、
2006年、冥王星の定義から外れることになりました。
同じように宇宙の概念も、大きく変わっていますね。

5.モノグリセリドとは何か

同じように、研究が進んだことによる変化です。
つまり人体の消化器官を教える際に、脂肪が分解されると、
かつては脂肪酸とグリセリンに分かれる!そう教えていました。
しかし今は、脂肪酸とモノグリセリドになります。

iPS細胞が一般化したら、もっと違うことも起きそうです。

新登場した物も多いです

最後に、新しく登場してきた物についてです。

1.LEDやコンデンサ

最近の入試問題では、LEDに代表されるダイオード
電気を一時的に溜めることができるコンデンサなども登場します。
また光電池の実験に触れる学校もあります。
著名な学校が入試問題に載せると、
それがスタンダードになってしまう傾向があります。
塾としては教えざるを得ないので、ある意味で迷惑ですが、
世の中の変化という意味では、常にチェックすべきですね。

2.ゴーヤのカーテン

地球温暖化の影響もあるのでしょうが、
植物の栽培に関して、ゴーヤのカーテンを作る子たちが多いです。
一部の学校でもやっているようです。
部屋を涼しくできて、かつ収穫後は食べられます。
苦味があるので好き嫌いは分かれますが、良い教材です。

宇宙の話は盛り上がります

子供たちは最新の科学に興味を持っているようです。
ノーベル賞を受賞したiPS細胞やLEDに関心を示します。
2016年の夏は、宇宙の話をすると、どこも盛り上がりました。
しかし火星移住計画の話をすると、皆嫌がりますね。
内向き志向は続いているのでしょうか。
一方で相変わらずなのは「完全変態」「水上置換」「メスシリンダー
この言葉を口にすると、多くの男の子たちが笑い、反応します。
いつの時代も、男の子の琴線は変わらないのかも。

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