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集計ミスを理由に発表が遅れていた2016年度学力テストの結果が、
2017年9月29日に公表されました。
全体として北国上位は変わりませんが下位県との差が縮まった?
主な特徴と、統計の見方問題点などをまとめてみましょう。

学力テストとは

学力テストとは、正式には「全国学力・学習状況調査」と呼ばれ、
2007年以降、文部科学省が教育の成果を知るツールとして実施しています。
大切なことは、テストではなく、文科省による調査だということです。
だから結果で一喜一憂しないでください
文科省としては、結果の公表も本来はしたくないようです。
2016年度は4月19日に、震災の影響があった九州の一部地域を除いて
小学6年生と中学3年生を対象に国語と算数・数学を実施しました。
当初8月25日に結果を公表する予定でしたが、
中学校のデータに集計漏れがあったことを理由に、発表が遅れていました。
もちろん人手のいる作業ですが、結局は業者任せなのが実態です。
参考「学力の定着度は何で測るべきなのか?可能性のある5つの方法

2016年度の特徴

全体的に大きな変動はないようですが、特徴をまとめてみましょう。

1.北国上位は変わらず

正答率の上位5都道府県を上げてみましょう。

(1)小学校の国語
A:石川78.6%、広島78.4%、青森と秋田77.4%、高知77.2%
B:秋田64.0%、石川63.0%、福井62.7%、愛媛60.9%、富山と広島60.5%

(2)小学校の算数
A:石川と福井82.4%、秋田82.0%、沖縄80.7%、富山と愛媛80.5%
B:石川53.5%、秋田51.8%、福井51.5%、富山51.4%、東京49.8%

(3)中学校の国語
A:秋田79.1%、石川78.1%、富山78.0%、福井77.9%、群馬77.4%
B:秋田72.4%、石川70.8%、富山70.5%、福井70.1%、静岡69.9%

(4)中学校の数学
A:福井69.3%、秋田66.6%、兵庫65.7%、石川65.6%、富山65.4%
B:福井50.8%、富山49.1%、石川48.8%、秋田48.4%、静岡と愛媛46.6%

ここからわかることは、いずれにも石川と秋田が入っており、
福井と富山もほぼ常連ということです。
相変わらず東北や北陸の北国上位は変わりません。
なおこの理由として、同地域は私立中学受験率が低いので、
公立学校での学習に力を入れていることがあげられます。

2.県格差が縮まる

2016年度の結果として文科省が注目している点は、
下位常連だった県が改善していることです。
改善した理由として、上位県と連携を始めた、
または上位県のシステムを積極的に取り入れていることです。
例えば高知は、上位常連県の福井に教員を派遣して
指導力の改善につなげたりモデル校作りを採用しました。
沖縄県は、秋田県と教員の人事交流を続けています。
一方で大阪府は、検査結果を入試に生かしたい!
とはいえ文科省が「待った」をかけました。
そのため、使えないならまじめにやらない?
子供達も消極的になったとの指摘があるようです。

3.主体的教育の結果が出た?

こちらも文科省が大々的に主張したいことのようですが、
主体的・対話的で深い学び」との関連性です。
つまりテストと同時に様々なアンケートをしていますが、
小学6年生に、
「これまでの授業で、自分たちで立てた課題などに対し、
自ら考えて取り組んでいたと思うか」と尋ねています。
その回答と正答率をリンクさせてみると、
「取り組んだ」と回答した子供の算数Aの正答率は82.3%
「取り組んでいない」と回答した子は同63.9%でした。
明らかに差がある!
ただし「取り組んだ」と答えた子は30.8%のみです。
また取り組んでいなくても64%正解しています。
統計は、クロスのさせ方解釈の仕方で結果が違います。

4.記述式ができないのも変わらず

今まで国語や算数のAやBという言い方をしています。
つまり実際のテストは、国語のAとB、算数・数学のAとBを実施しています。
ではAとBの違いは何か?
簡単に言えば、Aは基本問題で、Bは記述や解釈などの応用問題です。
全国の平均正答率で見ると、小学生は
国語Aが73.0%に対し国語Bは58.0%、算数Aが77.8%に対し算数Bは47.4%
中学生も同様に
国語Aが76.0%に対し国語Bは67.1%、数学Aが62.8%に対し数学Bは44.8%
明らかに、考えて自分の意見をまとめて回答することが不向きです。
中には文章を読むのが面倒だからやらない!そんな子も多いでしょう。

5.中学の勉強で差が出ている

文科省とは違った見方ですが、小学算数Aと中学数学Bの点を比べます。
つまり小学校の基本から中学校の応用への変化です。
すると福井は61.7%、愛知61.2%、そして富山61.0%です。
次いで岐阜59.8%、静岡59.4%など、東海地域が目立ちます。
ちなみに石川59.2%、秋田59.0%とまずまずではあります。
中学の数学は難しくなりますが、おおむね6割は正解している。
全国平均では56.7%なので、上位県では中学の勉強も整っているようです。
一方で気になるのは、沖縄が45.8%、高知が49.9%と半減します。
数学で後れを取ってしまう子供達が少なくないようです。

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問題点もあります

文句ばかり言ってもいけませんが、テストに関する問題点もあります。

1.まじめにやらない県もある

先に紹介したように、大阪では、どこまで真剣に対応しているか?
4月に実施していますが、小学6年生や中学3年生は受験学年です。
だから文科省も教育の達成度合いを知りたいのでしょうが、
子供たちにとって、そんな勉強をしている暇はない?
同じ労力をかけるならば、受験対策をしたいでしょう。
空白の解答欄が目立った?そんな話も伝えられています。
文科省の学力テストに従う義務はあるのか?難しい課題です。

2.本当に信じてよい結果なのか

理数系離れと言われて久しいですが、
小学算数Aの正答率は77.8%、中学数学Aの正答率も62.8%です。
素晴らしい結果ですね。数学王国日本の復活も期待できそうです。
とはいえ原則として児童や生徒全員を対象にテストしています。
自分たちの経験を思い出してみて、
算数や数学の平均点はそんなに高かったでしょうか?
もちろん基礎学力を判断するためなので簡単な問題なのでしょう。
それにしても平均点が高すぎるような気もします。
考えたくないですが、成績の悪そうな人は当日休ませる?
かつてはあったと噂されています。
数学Bでも平均正答率は44.8%です。
0点や一桁点の子も多く出そうな問題のはずですが、
本当に信じてよい結果なのか?
間違った教育政策に結果が使われないよう願うばかりです。

3.過去問に取り組んでいる

今回成績がアップした県が取り組んだ方法として、
受験と同様に過去問対策をしていたこともあるようです。
文科省としては、止めてくれ!教育委員会に通知したようですが、
現場の先生方にはプレッシャーがあります。
毎年下位県では、保護者からの信頼を失います。
傾向分析のプロである塾が協力すれば、正答率アップも難しくない?
そういったテストが本当に意味があるのか。

4.使い方が限定される

税金を使った調査なので、結果を公表する義務はあるでしょう。
もちろんプライバシーの問題があります。どこまで公にすべきか。
また自由に活用できないのも、協力した学校としては悩みです。
児童や生徒も含め、少なくない労力をかけています。
それなりの見返りを文科省は現場へ還元すべきでしょう。
実際の公立校入試や定期テストで測ってはいけないのか?
学校毎に授業レベルも異なるのが現実です。
そうした問題へ対処する方策として使ってもらいたいですね。

何のためのテストなのか

問題点もありますが、子供たちの現状を知る意味では有効なのでしょう。
少なくとも目安にはなります。
文科省と現場の先生、それぞれが、何のためのテストなのか
今一度考えるべきなのでしょう。
先生の対応次第で、子供たちの取り組みも大きく変わるのは事実です。

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