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2017年2月14日、文部科学省は2020年から導入される学習指導要領改訂案を作成し公表しました。そして国民から広く意見を求めるパブリックコメントを始めました。意見応募の締め切りは3月15日です。詳細は、下記サイトを参照してください。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/02/1382218.htm

2016年夏に同案が中央教育審議会から提出された際にもポイントを解説しましたが、最終的に文部科学省が何を狙っているのか?今回の改訂案を見つつ、同省が教育で重視している事項に関してまとめてみましょう。
参考「2020年度から始まる新学習指導要領の要点は5つです

学習指導要領とは

そもそも学習指導要領とは何でしょうか。

つまり学校教育法に基づいて文部科学省が、各学年における教育内容を定めた基準です。

主に小学校、中学校、高等学校に対するものです。

基本的に公立、私立の別を問いません。当該年齢においてふさわしい学力、知識を身に付けさせることを念頭に置いています。言い換えるなら、暗黙の了解として年齢別と考えており、一定レベルに達しなくても義務教育期間であれば留年を想定していません。
参考「義務教育期間中でも留年させるべき3つの理由

1958年以降、約10年に1度のペースで改訂されています。中でも話題となったのは2002年に始まった、いわゆる「ゆとり教育」です。学校が週5日制になりました。とはいえ学力低下が国際的な基準で見ても顕在化したことを鑑み、次回の改訂からは授業時間数を増やすことを中心に検討が進められ、現在に至っています。
参考「日本人の読解力が弱いと言われる3つの理由

文科省が掲げる重点項目

最終案の原文は100ページを超える大著です。具体的な部分もありますが、ちょっと読みづらいです。これを素人が精査して意見するのは無理がありそうです。すなわち意見を述べるのは、教育の有識者に事実上限定されるのでしょう。

そこで文科省が別途提示している「改訂のポイント」から抜粋してわかりやすく解説してみましょう。

1.言語能力の確実な育成

時代と共に言葉は変化します。それは古文を読めばわかります。また明治の文豪である夏目漱石の小説を読んでも、たかだか100年ではありますが、文体がまったく違うことに驚きます。そういう意味では、言語に正解はないのかもしれません。

とはいえ今回の案では「発達段階に応じた、語彙の確実な習得」を重視しています。

これも重要なことです。変化しているなりに相応の言葉遣いができることは、社会性という視点でも大切なことだからです。

そもそも母語を正しく理解できていないと、外国語の学習など論外です。

2.理数教育の充実

日本人によるノーベル賞ラッシュが続いていますが、それでも将来的な日本における理系人材の不足が指摘されています。もちろんノーベル賞や宇宙ステーションなどの話題によって科学に対する国民的関心は高まっています。とはいえ子供達の理科嫌いも少なからず散見されます。
参考「中学入試が子供の理科嫌いを助長している?5つの問題点とは

そこで理科や算数・数学に関する内容を充実していきます。

具体的には身近な問題を題材として理科と数学を統合した、データの収集や分析方法などを学んでいきます。

観察や実験を多用しデジタル教材を活用することで楽しく学習できる工夫が期待されています。

また日本は自然災害の多い国です。

小さい時から自然の仕組みを学ぶことによって、災害が起きた際の対処法を会得するように努めます。

自然災害は恐れるものではなく、上手く付き合っていくことが大切だからです。

3.伝統や文化に関する教育の充実

時代の流れではありますが、正月や地域の祭りなどの伝統行事が失われる傾向があります。除夜の鐘がうるさい?なまはげは児童虐待!変な風潮が少なくありません。とはいえそれは伝統や文化への理解が足りないからなのかもしれません。

日本の古典文学(国語)、地域の文化財や年中行事(社会)、和楽器(音楽)、武道(体育)、和食や和服(家庭)などを学ぶことにより日本文化を再認識してもらいたいようです。

自分を知ることから異文化理解が始まり、国際化につながるからです。

4.道徳教育の充実

科目として採用することに賛否はありますが、道徳教育自体は大切なことです。昨今は常軌を逸した行動を起こす若者が増えています。SNSの扱い方を含めて人の倫について考えるべきなのでしょう。

とはいえ道徳とは何か?国家が変な押し付けをしてもいけません。これこそアクティブラーニングを利用して、子供たち同士で会話しながらお互いを思いやる心を育むべきなのでしょう。もちろん担当する大人たちの道徳感こそ問われます。
参考「アクティブ・ラーニングの効果を高めるためにすべき3つのこと

5.体験活動の充実

詰込み授業の反動でゆとりになる。それも極端ですが、座学に止まらず、広く社会を知ることは大切です。もちろん昔から社会科見学や遠足がありました。

そこから世間が見えていましたが、具体的に体験活動の機会を増やすようです。

自然の恵みを実感するための集団宿泊体験、一方で職場体験などの場も作ります。世の中にはどんな仕事があり、どう役立っているのか。それを知ることによって各個人が具体的な将来像を捉え、目標を持てることが期待されています。

6.外国語教育の充実

賛否両論あるのが外国語、事実上英語教育の低学年化です。

小学5年生から科目化し、体験的な外国語教育を3年生から始めます。

私の個人的意見としては、小学校での英語教育には疑問を感じますが、大多数の国民が考えているならば必要なのでしょう。

今回のポイントは、小学生から文法が始まることです。中一ギャップを減らすためなのでしょうが、日本語も十分に理解できていない子供に外国語の文法は入ってくるのか?チャレンジであることは否めません。結果を待ちましょう。
参考「英語の中一ギャップを埋める5つのポイント

7.その他の重点事項

その他として文科省が重視したい点について簡単にまとめておきましょう。

(1)幼稚園教育要領

今回は幼稚園の学習内容に関してもコメントしています。義務教育ではないし保育園にしか行かない子供も多いはずです。既に小学校就学前で格差が広がりそうです。

幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を明確にするとは言いますが、誰にとっての希望なのか、心配される部分です。

(2)初等中等教育の一貫した学びの充実

私立では既に中学と高校の6年間、また高校と大学の7年間を一貫して学ぶ場があります。それに対抗するように公立でも中高一貫校が登場しています。今後は小中の一貫校、さらに幼稚園と小学校をつなげる試みも行われるようです。
参考「今だから問う!中学受験が持つ3つのメリット

相乗効果や学習効率のアップが期待される一方で、受験機会がなくなることによる「気のたるみ」も心配です。

(3)主権者教育、消費者教育、防災・安全教育などの充実

社会人として求められることを小学生の間から始めましょう!つまり税金の役割やお金の使い方政治とは何か少子高齢化や情報化への対応です。さらに領土に関する話も入るようです。それぞれ担当科目は異なりますが、生きるために重要な内容です。
参考「参議院選の結果から見て主権者教育は成功したのか

(4)情報活用能力

小学生からプログラミングが始まります。これは世の中が各種のプログラムによって動いていることを実感させるためと言われています。これからの人たちはデジタルとは切り離せません。正しい付き合い方を学ぶ必要はありそうです。
参考「プログラミングが必修化?家庭でやっておきたい5つのこと

(5)部活動

こちらも何かと話題になっているのが部活動です。あくまでも教育の一環です。勝利至上主義、体罰などが問題視されています。とはいえ勝つ!そういう気持ちこそ、社会で生きるためには必要な気もします。徒競走なのに手をつないでゴールする?どちらが望ましのでしょうか。もちろん賛否あるところです。
参考「学校の部活が教育の上でも必要な3つの理由

(6)子供たちの発達の支援

軽重を問わず障害を持った子供たちに対する支援についても言及しています。機会の均等は大切なことです。また発達障害などに対する社会的な認知が遅れています。人は違って当たり前!そうした視点に立つことで、いじめ問題も解決に近づくのでしょう。
参考「発達障害は病気なのか?誰もが知っておくべき3つのこと

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現場の先生は大変です

大きく変わることはありませんが、それでも現場の先生は大変です。特に小学校では英語やプログラミングなど負担が増えます。一億総活躍社会と併せて外部人材の登用を考えるべきでしょうが、それで教育の質が保たれるのか?10年後が楽しみです。

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