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2018年度の私立大学における入学定員が増えるようです。2017年4月10日、松野文部科学大臣が大学設置・学校法人審議会に諮問しました。ほぼそのまま認められるでしょうが、少子化が進む現段階で何故さらに定員を増やすのでしょうか。

学校の認可はギリギリに行われる

森友学園問題で気付いた人も多いでしょうが、学校の認可というのはギリギリになって決まります。とはいえ当該校では着々と準備が進められています。その進行状況にあわせて最終的な認可が下されるのです。

もちろん同時並行的に学生の募集も行われています。ほぼ既定路線になるのでドタキャンは、よほどのことがない限り基本的にありません。そうしないと受験を希望していた生徒たちが困るからです。予定していた先生たちが路頭に迷ってもいけませんからね。

どんな計画になっているのか

18歳人口が減っている現状において大学の定員を増やす。ちょっと理解に苦しみます。もちろん子供たちにとっては嬉しいことでしょう。受験地獄から解放される!とはいえ現実的なニーズに応えているのでしょうか。具体的な計画を覗いてみましょう。

1.2018年度は5700人増加

日本経済新聞の2017年4月11日版によれば、2018年度は今年より約5700人分の定員を増やすそうです。ちなみに今年、2017年度は7354人の定員増があったとか。2年間で1万人以上増える計算です。とはいえ子供が増えているわけではありません。

もちろん多くの子供たちに学ぶチャンスを与える!これは国として大切なことです。貸与型奨学金の創設も進んでいます。貧しい家庭に育った子供でも高等教育が受けられる!ただし私立大学が増えても意味なない?現実的な解決ではなさそうです。

一方で社会人や留学生へ門戸を開くこともあるでしょう。各大学は、18歳人口に限りがあることを承知しています。それでも経営を安定させるには、生徒を集める!ならば日本人の18歳に限る必要はありません。しかしそれって、堂々巡りのような気もしますが。

2.都市部の大学に集中している

実際にどのような大学の定員が増えるのでしょうか。例えば明治大学では1000人以上増えるようです。また日本大学や同志社大学でも300人以上増えます。言い換えると都市部の大学に定員増が集中しています。
参考:平成30年度からの私立大学等の収容定員の増加に係る学則変更認可申請一覧

この傾向から何が言えるのか?つまり大きな大学はもっと大きくなる!地方にある定員割れしている大学は、より厳しくなる現実が見えてきます。とはいえ大学を積極的につぶすことは基本的に考えていないようです。

保育所不足問題でもあるように、日本の課題は都市部への人口集中です。地方に若者がいない!だから余計に地方の活気がなくなります。地方創生を謳う一方で、その担い手を奪う?矛盾した政策になっていないのでしょうか。

地方へ学部などを移転したら定員増を認める?そうした制度にすべきなのでしょうが、現実は?東京であっても、交通が不便な多摩地域から23区内へ学部を戻す大学が増えています。文科省は何をしたいのか?まったく見えていません。

3.国立大学と統合する案がある

定員割れの大学を直接潰すことはなさそうです。とはいえ相応の対策は考えているようです。特に国の諮問委員会に参加する民間委員は具体的な提案をしています。例えば国公立の垣根をなくし、私立を含めて大学を統合する案です。

地方の国立大学法人を中心にしたアンブレラ方式?つまり持ち株会社のような形式で私立大学や公立大学などをまとめてしまうパターンです。そうすれば学科の重複などを調整できるので生徒が集まりやすくなるかもしれません。

ただしこれは当分先の話になりそうです。私立も背に腹は代えられないでしょうが、私学の理念が失われる?本末転倒の議論があります。

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立場別の言い分は何か

大学の定員が増えることについて、それぞれの立場で考えると、どうなっているのでしょうか。

1.文科省の言い分

時代に逆行しているようにも思えますが、文科省の言い分は何でしょうか。つまり現状において大学進学率は約5割です。言い換えると半数はまだ大学へ進学できていないということです。この進学率がさらにアップすれば、大学の定員を増やす余地がある!

例えば高卒者の約8割はそのまま就職していません。中には大学へ行きたかったけど、専門学校などへの進学を余儀なくされている生徒もいるのでしょう。大学の定員を増やせば、そうした子供たちを救えるのかもしれません。
参考「18歳人口の8割は仕事に就かない?進学する5つの理由とは」

2.企業の言い分

大学に行く価値はあるのか?大卒を資格と考えれば必要でしょう。つまり大手企業のほとんどは、応募条件に四大卒を謳っているからです。逆に今時、大学を出ていないと、何故?疑われてしまうでしょう。

とはいえ企業も思っています。今の大学は何をやっているのか?つまり昔は大卒イコール即戦力でした。しかし今はほぼ使えないような学生ばかりが入ってくる?企業も社員研修をやっている余裕がなくなっています。一方で数カ月で止めてしまう新入社員もいます。

ただし企業が採用基準を変えない限り、すなわち本当の意味で学歴不問を訴えないと、今の大学を含めた教育制度は変わらないのでしょう。

3.保護者の言い分

かつての親は、自分は行けなかったから我が子には大学へ行ってもらいたい!とはいえ平成の世になれば、親も大卒が増えてきました。そのため自分も行かせてもらったから子供も行くのが当然!そんな風潮があります。そういう意味では、定員増は嬉しいかもしれません。

一方で金銭的に子供を進学させられない家庭もあります。親にとってこれほど悲しいことはありません。大学まで教育費を無料にすべし!賛否両論ありますが、保護者にばかり責任を押し付けてほしくない!これが世間の本音です。

4.子供の言い分

電車に乗っていると大学生の会話が耳に入っています。就活の時期なので、関連した話題がありますが「10社受けたうちの1つでも残ればいいね」つまり特定の企業ではなく、どこかに入れればラッキーという感覚です。大学もそういう感覚で選んだのでしょう。

また志望動機として福利厚生を重視しているようです。もちろん過労死の問題もありますが、何をしたいか、ではなく休みや給料を重視しているみたいです。これでは社会の現実を知った瞬間に、退社するのも理解できます。

個々人が何のために学ぶのか?将来何をしたいのか?そうしたことを問いかけていかないかぎり、大学は変わらないし、世の中は変わらないのでしょう。

5.大学の言い分

大学としても自分は生き残りたい!そのためには生徒を集める!定員増が良い方向へ進んでほしいですが、現実は、一部の有名校だけが優遇されている状況があります。定員割れ常習大学で起死回生の一発はありえるのでしょうか。

受験も、一部の大学だけが厳しい!半分以上は、形式的な受験に終わっています。点数で決めると後々問題になるから面接だけ?一芸入試!そんな涙ぐましい工夫が見られます。そうして何とか生徒を集める!だからレベルが下がる?悪循環もあります。

地方に止まりたい人もいる

大学生になって上京する!ドラマになりそうな話です。もちろん様々な経験を積むためには地方から東京などへ来ることは、当人にとっても有意義でしょう。とはいえ東京で独り住まいをすればお金がかかります。

子供への仕送り額は増えていないようです。長引くデフレで、親にも余裕はありません。一方でアルバイトに明け暮れて勉強をしない?本末転倒の事態も起きています。そのため地元の大学へ通いたい!そうしたニーズは少なからずあります。

医学部と教育学部は原則として一県一大学ありますが、地元では勉強できない学部がある?そうしたことを理由として泣く泣く上京することもあるのでしょう。すべての都道府県に全学部を設置するのは非現実的ではありますが、そうした配慮を第一に考えるべきでしょう。

大学全入を目指すべきか

2020年度から大学入試制度が大きく変わります。とはいえそれで大学自体が変わることはなさそうです。諸外国で見られるように、入るのは簡単にして出るのを難しくする!そういう意味での定員増ならば有意義でしょう。

しかし根本的な解決をしなければ日本の大学レベルは、世界的に見てどんどん低下していくだけです。大学を出ても英語が話せない?誰にとっても恥ずかしい事態は避けたいですね。

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