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前回のおせち料理の不思議(前編) 何ともビックリな1300年の歩み!で学んだように、おせち料理の始まりは奈良時代であると言えるでしょう。

しかし、実際のおせち史には、古代史と近代史があります。そして、正しく今は、戦後に確立された近代おせちを伝統的日本文化と定めていると言えます。

ただし、それはあくまでも外観や形状の話!例え現代風おせちであっても、中には昔ながらの思いがたっぷりと詰め込まれているのです。

おせち料理の構成

そんなおせち料理は、地方によって素材やメニューが異なるものの、基本的には、祝い肴(いわいざかな)・酢の物焼き物煮染めで構成されています。正に典型的和食です。

ところが、昨今は中華風おせちや洋風おせちのように、お正月料理なのか、クリスマス料理なのか分からないものも多数見られます。

勿論、それはそれで楽しく、子供たちも大喜びと言ったところなのでしょう。

けれど、せっかく日本の家庭に生まれたのです。少なくとも成人するまでに一度くらいは、「これぞ、日本のおせち!!」というものを見せておく事も大切なのではないかと思います。

そして、一品一品に込められた願いや意味を教える事が、親から子への思いを伝える事に繋がるのではないでしょうか?

祝い肴

祝い肴とは、その名の通り、祝いの席でお酒のお供となる所謂おつまみ的存在!正真正銘の祝い肴と指定される3種類の料理と、口取りと呼ばれる数種類の前菜とに区分されます。

いずれも、お父さんがお屠蘇を飲みながら美味しく食べられるもの、という事になるでしょう。

とは言え、実際には甘い味付けで、むしろお母さんや子供たちの方が大好き!というものもあります。

祝い肴3種

前述の通り、地方によって素材が異なるおせち料理ですが、所変わっても変わる事のない、いわゆる王道と言われるものが最低3つは存在します。それが祝い肴3種と呼ばれるものです。

それを一言で表せば、これさえあれば、取り敢えずおせち料理の価値は出る!とまで言われるほどの大御所。どこの、どんなおせちにでも入っている、というものなのです。

ですから、例え洋風おせちや中華風おせちであっても、しっかりと盛り込まれている事は珍しくありません。

むしろ、フレンチの中にも違和感なく詰め込む事こそ、日本で活躍するシェフたちの心意気であると言えるでしょう。

そして、その3種が下記の通りです。

  • 数の子・・・子孫繁栄!
  • 黒豆・・・真っ黒に日焼けするまで元気にまめに働けますように!
  • 田作り・・・五穀豊穣!

田作りと黒豆の秘密

確かに、数の子は見るからに子孫繁栄という感じで分かりやすいでしょう。

でも、何故イワシの稚魚の佃煮が田作りと呼ばれ、五穀豊穣に繋がるのか?不思議に思われる方もいらっしゃるかも知れません。

けれど、これはある伝説が由来です。それは、カタクチイワシを肥料として田んぼに撒いたところ、5万俵もの米が出来たというもの。以来、お正月にはなくてはならない正しく祝い肴の地位を得たのです。

また、田作りは関西ではごまめと呼び、黒豆同様、まめに頑張って働けば豊作が期待出来るという意味も持ち合わせています。

こんな話を聞くと、やっぱり関西人はシビアだなぁと言われそうですが、どうしてどうして!!

関西では、お正月の黒豆はシワにならないように、いかに綺麗に炊きあげるかというのが腕の見せ所になっていますが、関東では逆!むしろ、シワシワに炊きあげる事で、シワだらけになるまで達者で働けますようにという願いを込めているというのです。

いかがですか。こちらの方がずっとシビアなのではないか、と思うのは私だけでしょうか?

口取り

という事で、おせち料理の主役は、何と言っても先の3種です。けれど、実際にはさらに何品かの祝い肴を添えるのがオーソドックスになっています。これらは前菜という意味を持つ、口取りと呼ばれています。

口取りは通常、奇数と定められていて、以下の中から5品もしくは7品チョイスします。しかし、昆布巻きは煮染めの枠に入れられる事も珍しくありません。

また、関西ではたたきごぼうを祝い肴3種に位置付け、数の子を口取りとする事もしばしば!

そういう意味では、地域や家庭による柔軟な対応が最も見られるところと言えるでしょう。

では、口取り7品をご紹介します。

  • たたきごぼう・・・古代中国において全ての生き物の長とされた瑞獣(ずいじゅう)を表すもので、豊年の象徴!
  • 紅白かまぼこ・・・日の出の象徴!
  • 伊達巻き・・・巻物という事で、学問や教養を身に付けるとともに、伊達な人生を送れますように!
  • 錦卵・・・黄身と白身のコントラストを金と銀に例え、錦織り成す艶やかな人生を!
  • 昆布巻き・・・完全な語呂合わせで、よろこんぶ→喜ぶ!
  • 栗きんとん・・・勝ち栗と金色の団子のコラボで、金銀財宝ザクザクの金運祈願!
  • お多福豆・・・文字通り、福多い1年になりますように!
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煮物

なるほど、流石に祝い肴には、それなりの意味があるのだという事が分かりました。中には完全なダジャレもありますが、それはそれで、昔の人の伊達な発想ととらえるべきでしょう。

ならば、煮物や焼き物、さらに酢の物はどうでしょうか?

煮物の選抜メンバー

特に煮物は、この際何でも好きな根菜類や特売の野菜を入れればいいでしょう、というものではないようです。

やはり、意味深い厳選された食材がコラボする場でなければならない、とされています。

という事で、レギュラーは次の通り!

  • クワイ・・・最初に大きな目が1本出るところから、芽の出る人生を!
  • 蓮根・・・先が見通せるように!
  • ごぼう・・・地中にしっかりと根を張り、細く長く幸せに!
  • 頭芋・・・頭に立てますように!

この4つの具材は、必ず一つの鍋で炊き合わせ、煮染めとして仕上げられます。

ただし、今は頭芋ではなく、子芋となる里芋を使う方が多くなっています。これは、頭芋が高価で入手しにくい事や、大きすぎて調理し辛いという事があるのでしょう。

加えて、一つの親芋から多数なる子芋は、子宝を願う気持ちが強く、少子化の現代社会にはフィットしているのかも知れません。

さらに加えて、今では花形にカットしたにんじんも、準レギュラーの地位を確保していると言えます。

煮物のサブメンバー

煮物のサブメンバーとしては、昔の武家社会の名残から、頭の部分を陣笠に見立てた椎茸手綱こんにゃくなどが上げられます。

また、焼き目を付けて楯に見立てた一口大の豆腐も入れるといいと言われていますが、これについては、今は高野豆腐を用いるのが一般的!

後は、きんかんですね。当て字で金冠とすれば、正に財宝の象徴。且つ、最後にうんが付く最高の食材として、好んで入れられます。

ただし、こうしたサブメンバーは、先の煮染めと一緒に調理されるところもあれば、それぞれ単体で作られる事もあります。

特にきんかんは甘く、こんにゃくはピリリとという事は珍しくありません。

焼き物と酢の物

それでは最後に、焼き物と酢の物部門の主力選手たちをご紹介しましょう。

焼き物

取り分け焼き物は、待ってましたとばかりの豪華食材が並び、むしろこちらの方が祝い肴に見えそうです。

  • ・・・なんと言ってもめでたい!
  • 海老・・・腰が曲がるまで長生き出来ますように!
  • ・・・正に“鰤はいい、生きてるだけで出世する!”という事で!
  • ・・・うなぎ登りの人生を!

酢の物

一方酢の物はと言うと、一見地味ながらも、箸休めとして結構人気を集める事が少なくありません。

しかも、根菜類のオンパレードで、栄養価が高くても低カロリー!おまけに消化がよく、歯も丈夫になる事から、本気で美と健康を願うのなら、ここに注目すべきでしょう。

  • 大根とにんじんの紅白なます・・・祝い膳を飾る水引!
  • 菊花下部・・・紅白の菊の花で祝い膳を彩ります!
  • 酢蓮根・・・見通しの良い人生を!
  • ちょろぎのしそ酢漬け・・・「長老木」や「千代呂木」、あるいは「長老喜」の字を当てて、長寿祈願!
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