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2017年3月22日の夕刊に衝撃的な記事が掲載されていました。

匿名の第三者から提供された卵子を使って受精させた子どもが既に出まれていた!

これは初めての事例だそうです。

少子化という現実がある一方で、不妊治療に関するトラブルも絶えません。
今回の場合は法的な問題も絡んでいます。
そこで現状の生殖医療が抱える課題についてまとめてみましょう。

ことの概要

卵子提供登録支援団体(OD-NET)という組織があります。

これは匿名の第三者から卵子の提供を受け、それを欲している誰かに仲介する業務を行うNPO法人です。

卵子の提供者も基本的にはボランティアです。

不妊の原因には様々ありますが、今回は女性の側、正常な卵子が作れないケースに適用されます。
とはいえこれまでは姉妹や母親、もしくは友人から提供を受けていました。
しかしまったくの第三者という事例は初めてです。
誰だかわからない匿名です。

一方で不妊治療を専門とするクリニックらが集まる組織に日本生殖補助医療標準化機関(JISART)があります。
ここがガイドラインを作成すると同時に倫理委員会を設けています。
今回の事例は、そこで承認されたとか。

子宮を借りる代理母とは異なるので、提供側がトラブルを起こすリスクは少ないと予想されます。
そもそも使われた事実もわからないからです。
それでも後々気が変わったら?
逆に母を尋ねて来られたら、どうなるのでしょうか。

生殖医療が抱える課題とは

子どもを本当に欲している夫婦に対して、可能性があるならば、不妊治療を提供して子どもを授けてあげたい!
これは多くの人から賛同を受けるでしょう。
とはいえよくよく考えてみると、感情論では片付かない解決すべき課題がいくつかあるようです。

1.技術的課題

今回は成功しましたが、技術的にクリアすべき課題があります。
そもそも不妊治療を受けるということは、既に何らかのトラブルがあるということです。
そこへ最新技術であるとしても、受精、着床、胎児の発育、それぞれが順調に行くのでしょうか。

理論的には確立していますが、それでも成功率は高くありません。
体外受精する場合も、テクニシャンの技量に依存するのも事実です。
着床後に母体内で不適合反応が生じないのか?
他人の卵子ですから、異物に対する免疫作用が働く可能性も否めないからです。

なお匿名の第三者ということで心配されるのは、子どもが事実を知ってしまうのでは?
わかりやすいのは血液型です。
不謹慎な話ですが、不倫でできた子どもも血液型で判明してしまう事例があります。
そのためこれが理由で仲介が難しいとも言われています。

2.倫理的課題

血液型の問題もありますが、

子どもにいつ事実を伝えるのか?

倫理的な問題もあります。
小学生だと理解できないでしょう。
とはいえ思春期になると、違った意味で複雑になります。
成人すればよいのか?
裏切られた!そんな思いを抱かないのでしょうか。

 

親が真剣に伝えれば納得するのかもしれません。
しかし第三者から漏れ伝わってしまったらどうなるか?
秘密は絶対にばれないのでしょうか。
親戚や知人、悪意のある第三者が現れないことを祈るしかありません。
ヒヤヒヤしながら一生過ごすのでしょうか。

一方で子どもがおかしいと気づく?
母親とは遺伝的なつながりがないため、外見などを含めて似た点がないかもしれないからです。
もちろん長年連れ添っていれば、仕草などは似てくるはずですが、違和感を抱けば、それを拭い去ることは難しいでしょう。

3.法律的課題

今回問題視されている点は、法的な課題が残されているからです。

つまり生まれてきた子は、誰の子どもになるのか?

そもそも生殖医療に関する法律はありません。
あるのは医療専門家らが作るガイドラインだけです。

 

出産を依頼する代理母のケースとは異なり、提供者に母性が目覚めることはないと思われます。
基本的に卵子の提供者は、既に子どもがいることを条件にしているからです。
実際の出産も「育ての母」が行うため、知らない人が見れば、普通の出産かつ親子に見えるでしょう。

一方で子どもには本当の親を知る権利も発生するでしょう。

しかし匿名の第三者であれば、もはや探すことは難しいのかもしれません。
提供者側のプライバシーもあります。
忘れた頃に「お母さん」と言われても、困るでしょう。

 

4.経済的課題

生殖医療には、上述のような技術的課題があります。
成功する確率が高いとはいえません。
その一方で、莫大な費用がかかります。
場合によっては仕事を休むことにもなります。
その分の収入が減るリスクもあります。

もちろん少子化という喫緊の課題があるため、国や自治体は不妊治療に対する経済的な支援をしています。
とはいえお金で解決できる話なのか?
多額をつぎ込み成功しなかった場合、精神的な負担も大変そうです。

5.不条理な話

子どもが欲しい夫婦がいる一方で、不本意な妊娠?虐待などで育てられない!様々な事件が起きています。
神様は不公平なのでしょうか。
サイコロを振っていないと言い切れるのでしょうか。
その辺を上手く融通すれば、解決できそうな気もします。

とはいえ先日も、養子縁組を斡旋する組織が逮捕されました。
悪い人はいるものです。
人の弱味につけこみます。
そうした不条理なことも受け入れなければならない!
それこそ生殖医療に関する最大の課題なのかもしれません。

言い方は悪いですが、生殖医療を試すのは親のエゴではないのか。
子どもはペットではない。
これも失礼な話ですが、生殖医療によって授かった子どもを虐待しないと言い切れるのか?
絶対に離婚しないのでしょうか。
生まれてくる子どもが困ることは、本当にないのでしょうか。

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親子とは何か

親子とは何か?
古くて新しい問題があります。
科学が進歩しすぎて、複雑になってしまいました。
不謹慎な事例ですが、浮気してできた子どもは、誰の子?
かつては知らなくても済んだことが、今ならDNA鑑定によって明らかにされてしまうからです。

1.DNAがすべてを決めるのか

生物学の分野では、DNA配列を調べて新しい分類をする試みが進められています。
DNAには外見からはわからなかった類似性が示されています。
とはいえそれが本当に正しいことなのでしょうか。
つまりDNAですべてを決めてもよいのでしょうか。

血統の問題は古くからあります。
今話題の天皇制についても同じ話です。
女系天皇ではいけない理由とは?
男性だけが持つY染色体をつないでいる!
そうした意味があるからです。
とはいえ武士の世界では、養子という形だけの系統が少なくなかったのも事実です。

そう考えると、日本人は親子に関してどこまで真剣に考えているのでしょうか。
都合の良い時だけDNAを引き合いに出してはいけないのでしょう。

2.育ての親ではいけないのか

産みの親より育ての親!
そんな言葉もあります。
一方で長い間取り違えて育てられた子どもがいます。
お互いに違和感を覚えつつも、成人した、その後本当の親を探してみたら?

とはいえそれは本当に幸せなのでしょうか。
もちろん「育ての親」は貧しく「本来の親」は裕福な暮らしをしていた。
それによって大学進学ができず人生が大きく変わってしまった?
そんなドラマのような現実もあります。

第三者だから言えます。
それも運命だと。
言い換えるなら、知らぬが仏でもあります。
育ての親ではいけないのでしょうか。
お金持ちだから幸せになれるのか?
疑っているから幸せになれないのでは?
もちろん匿名の第三者だから言えることです。

子どもは親を選べない

生殖医療に関しては、触れてはいけない話が多すぎます。
そもそも命の選別にならないのか?
血のつながりとは何か?
親子とは、ネットで炎上しがちなテーマのオンパレードです。
とはいえそうした点を先送りにしてきたからこそ、面倒になるのです。

法律面を含めて、一度公の場で、議論を尽くすべきなのでしょう。
そうしないと一番困るのは、まったく罪のない、生まれてきた子どもになってしまうからです。

子どもは親を選べないからです。
それが理由でいじめられたら、誰が責任をとるのでしょうか。

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