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宇宙航空研究開発機構JAXAが計画していた宇宙ゴミ処分実験は、2017年2月6日事実上失敗したようです。2月7日朝刊の社会面に小さな記事で掲載されていました。とはいえ同日夕方の日本経済新聞1面トップには「宇宙ゴミ官民で掃除」威勢の良いタイトルが出ました。

ちょっと悲しいニュースはありましたが、宇宙ゴミの処分は喫緊の課題です。官民が協力して宇宙の安全利用を目指すという意味では、頑張ってほしいものです。そうした技術が既にあるのですから。

宇宙ゴミとは

1.人工衛星などの破片です

宇宙ゴミとは、地球の周りで漂っている様々な物体のことです。その正体は、使い終わった人工衛星本体やその破片などです。

フランス語由来のデブリdebrisと呼ばれることもあります。とはいえ何が危険なのでしょう。
参考「人工衛星は、そのあとどうなる?宇宙はゴミがいっぱいです

2.高速で飛び回っています

勘違いしやすいですが、人工衛星や宇宙ステーション内でも地球の引力は働いています。そのため通常であれば地球へ落ちてくるはずです。しかし宇宙空間で漂っていられる理由は、遠心力を生み出すようなスピードで飛び回っているためです。

引力と遠心力の釣り合った状態が、いわゆる無重力状態です。言い換えるとスピードが弱まれば飛行機が失速するのと同様に、大気圏へ落ちていきます。その限界が秒速7.9キロメートルです。これを第一宇宙速度と呼びます。
参考「無重力状態とはどういうことか?人や物はどうなるか

3.非常に危険です

宇宙ゴミは1秒間に8キロメートル飛んでしまうスピードで漂っています。時速に換算すると28800キロです。そのため漂うという表現もおかしいですが、この速さであれば、どんな小さな物であっても危険だということが想像できるでしょう。それがわかっているだけでも2万個ほどあるようです。

もし宇宙ステーションや使用中の人工衛星に当たったらどうなるか。考えただけでも恐ろしいことです。早急に対策を施すべきであることが素人でもわかります。今まで事件が起きなかったのは、単に偶然が重なっていただけなのです。

民間企業の出番です

これまで宇宙開発の分野は、どこの国でも国家が主体になってきました。その理由は、資金的な問題です。莫大なお金が必要なため民間企業単独では手が出せなかったからです。もちろん民間との技術協力はあります。例えばロケットは三菱重工、小型衛星などは三菱電機やNECなどが担当してきました。
参考「三菱電機が2019年度までに月面探査機を造るそうです

とはいえアメリカのスペースシャトル計画が終了しました。コスト削減を目的に再利用型を採用しましたが結果的にコスト高になってしまったとか。そのため昨今ではスペースX社を代表とする民間の宇宙航空企業がアメリカで増えています。
参考「火星に向けた有人宇宙船をスペースX社が始めるようです

日本も少しずつですが民間企業による宇宙産業への進出が見られるようになりました。関連法案も2016年末に成立しています。採算が合わないからやらないのではなく、採算を合わせる!そうした工夫が、民間だからこそ期待できるのです。
参考「法案通過!日本の宇宙開発も民間の時代へ!

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失敗が目立つ日本勢

宇宙の分野では、ちょっと失敗が目立っています。もちろん難しいことは承知していますが、他国に後れを取ってしまうと、日本の宇宙産業が衰退する危険もあります。せっかくの盛り上がりに水を差してはいけません。

1.JAXAは2勝2敗

2016年12月20日にJAXAは小型ロケットであるイプシロンの打ち上げに成功しました。また2017年1月24日に事実上の偵察衛星である「きらめき2号」をH2Aロケットにて打ち上げました。こちらも成功です。とはいえ衛星の性質上、詳しい報道はありません。

一方で2017年1月15日、民生品を利用したミニロケットの打ち上げ自体は成功しましたが、途中で通信が途絶えたため、安全を優先して自爆させました。民間活用という意味では期待されましたが、原因究明が待たれています。
参考「X線天文衛星「ひとみ」が絶望的?想定される3つの原因

そして2017年2月6日、宇宙ゴミの除去実験は、装置の不具合から失敗したようです。こちらも今後の活躍が期待されている技術であるだけに、失敗したことは心配です。こちらの原因究明も早急にすべきでしょう。

2.三菱も大丈夫か

日本の宇宙および防衛産業の発展は、やはり重鎮である三菱の働きが大きかったことは否めません。とはいえ三菱と言えども、自動車部門の不正が発覚したり、初の国産ジェット旅客機MRJの開発も遅れています。さらに大型クルーズ船の製造も滞っているとか。

H2Aロケットは三菱重工ですが、先のイプシロンロケットはIHIエアロスペース社です。宇宙ゴミ除去用の小型衛星は川崎重工が担当するようです。ここで世代交代が待っているのでしょうか。奮起を期待したいところです。
参考「イプシロンの打ち上げ成功!「あらせ」が宇宙の謎を探ります

三菱の代名詞はゼロ戦、そして現在でも戦闘機や戦車を作っています。しかし第二次世界大戦後、武器を輸出できなかったという過去があります。自衛隊だけをお客さんにしている状態では技術の向上に限界があります。そうした弊害もあるようです。
参考「偏見を取り除こう!日本が独自に戦闘機を開発すべき理由とは

ゴミを掃除する技術とは

今回は失敗しましたが、どんな方法によって宇宙ゴミを除去するのでしょうか。具体的な方法を解説しましょう。

1.見つける技術

10センチ以上あり既に危険視されている宇宙ゴミは2万個あります。もっと小さいものは数十万個あると推定されています。とはいえ地上から数百キロメートルも離れた場所にある10センチの物体を見つける?それだけで大変だと思いませんか。

宇宙ステーションから見えるのでしょうか?しかし上述したように秒速約8キロで飛んでいます。見える範囲にあれば危険です。宇宙ステーション自体もそんなスピードで動いています。もしぶつかれば、自動車事故どころではありません。

そのため事前に危険を察知することが不可欠です。世界中に監視機関はありますが、日本は新たに施設を作る予定です。岡山県にNECが地上レーダーを設置します。三菱電機も協力します。軌道計算は富士通が担当するとか。総事業費は100億円!それでも見合う成果はあるでしょう。

2.重力を使う

川崎重工の計画は、専用の小型衛星がゴミを直接掴んで大気圏へ突入させる方法です。

2万個もあるゴミをひとつずつつぶしていくやり方です。気の長い話ですが、危険な物から確実に処理することが大切なのでしょう。

基本的な原理として、地球を周回する物体のスピードが弱まれば、重力の働きによって地球へ落ちていきます。その際に空気との摩擦で小さい物なら燃え尽きます。地上に破片が落ちてくる危険はありません。

ちなみに宇宙空間では摩擦がほぼありません。そのため動いている物体は、外から力が加わらない限り、同じ速度で動き続けます。中学の理科で学んだ慣性の法則です。言い換えると力を加えれば、スピードアップ、もしくは弱まる仕組みです。

3.ローレンツ力を利用する

JAXAが今回やろうとしたことはローレンツ力を利用する方法です。こちらも一度物体を掴みます。そして電気を流します。地球の周りには磁場があります。電流と磁力があれば、ローレンツ力が働きます。簡単に言えば、中学の理科で学んだフレミングの左手の法則です。

詳しい方法に関しては、下記サイトを参照してください。わかりやすい映像もあります。
JAXA|デブリ除去システム

喫緊の課題です

今まで何事もなかったことが不思議なくらいです。小さなゴミでも人工衛星に当たれば、まず軌道が外れます。GPS衛星などは使い物にならなくなります。ひとつが壊れるだけならよいですが、ビリヤードみたいに当たった弾みで別の衛星にぶつかる!否定できません。

今後も人工衛星を各国が打ち上げるでしょう。日本も独自のGPS衛星を活用する予定です。宇宙開発の波は止められません。ならば交通整理も不可欠です。国際的な決まりを作り遵守することが求められます。節度ある利用に努めたいですね。

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