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2017年3月、海に囲まれている小笠原諸島の父島で水不足
3月25日現在でダムの貯水率が30%を切ったとか。
その理由は、昨年の台風が少なかったためと考えられています。
このまま雨が降らないとゴールデンウイークには生活用水が枯渇する!
周りが海なのに水不足とは、不思議な気もします。

実は、

地球上にある水の総量は14億立方キロメートルですが、その97%は海水

だと言われており、実際に使える水は数%でしかない?
だからこそ海水淡水化する技術が求められるのですが、普及していません。
どんな理由があるのでしょうか。

海水がそのまま使えない理由とは

小笠原諸島なら周りは海に囲まれています。
とはいえ海水はそのまま生活には使えません。
その理由を考えてみましょう。

1.海水の塩分濃度は3.5%

海水の塩分濃度は、平均して3.5%だとされています。

その主体は塩、化学的には塩化ナトリウムです。
これだけで約3.1%です。
とはいえ塩の状態ではなく、海水中では塩化物イオンとナトリウムイオンの形で電離しています。
その他にも硫酸イオン、マグネシウムイオンなどの化合物が溶けています。

海水をなめるとしょっぱいですね。
つまり塩水です。
海水浴の後、からだがベタベタしますね。
だから海水をそのまま生活用水としては使えないのです。

ちなみに水道水の基準では、塩分濃度に換算すると0.02%以下とされています。

まさに桁違いの濃さです。

2.大西洋の方がしょっぱい?

太平洋より大西洋の方がしょっぱい?
テレビCMでもありましたが、科学的根拠はあるのでしょうか。

海水が蒸発した際、水蒸気は西風に流されます。
太平洋の場合は、南北のアメリカ大陸西岸に高い山脈が連なっているため、陸地まで届かず海に戻ります。
逆に大西洋ではヨーロッパやアフリカ大陸内部まで入り込み大西洋に戻る水分が少ない!

こうして塩分濃度に違いが出るようです。

結果として大西洋の方が海水の塩分が濃くなり、体積当たりで比べると重くなるため深海に潜り込みます。
これが理由で大きな地球規模における海水の循環を生み出しているとも考えられています。

3.塩水を飲むとどうなるか

基本的な話として、塩水を飲むとどうなるのでしょうか。

人間の体液における塩分濃度は約0.9%です。
それより濃い塩水が入ると、体内で塩分濃度が高まります。
すると血液や体液を薄めるため、さらに水が必要です。

言い換えると高血圧状態です。

塩辛いものを飲み食いすると喉が渇きます。
これがその原理です。
この状態が続くと、脱水状態に陥り生命にかかわることもあります。
気を付けましょう。

同様のことは淡水魚でも起きます。
だから川魚は海で生活できません。
逆も真であり、海水魚を水道水で飼育できません。
そのため水族館では大量の海水が必要です。
魚河岸で海水が使われる理由です。
ただしサケやウナギなど一部の魚種は、淡水と海水の両方に対応できるようになっています。
これはうまく体内の塩分を体の外へ出すシステムが備わっているからです。

淡水化技術とは

人間にとって水は、生きる上で不可欠の物質です。
1週間絶食しても死にませんが、1日水を飲まないと脱水症状に陥り死ぬ可能性もあります。
だからこそ古くから海水の淡水化技術が考えられてきました。

1.蒸留水を作る

最も簡単な方法は、家庭でもできます。

つまり海水を沸騰させて水蒸気に変えます。

それを回収すれば化学的に純度の高い水、いわゆる蒸留水が得られます。
塩分は固体であるため蒸発しないからです。
この原理を利用して、逆に塩を作る伝統的な方法があります。

とはいえ大量の海水を沸騰させるには、こちらも大量の燃料が必要です。
その一方で蒸発した水蒸気を回収するのは大変だし、苦労する割にはたいした量が集まりません。
コスパを考えれば、緊急事態に陥らない限りやれないのが現実です。

2.逆浸透膜を利用する

こちらは相応の装置が必要です。
つまり、逆浸透膜と呼ばれる特殊な膜を使います。
英語のReverse OsmosisからRO膜と称されることもあります。
この膜は、水の分子は通しますが塩素やナトリウムなどの原子や分子は通しません。
そこに強い圧力をかけて海水を通します。

この技術は淡水化もできますが、一方で細菌やウイルスなどもろ過できます。
そのため水の殺菌という意味でも使われています。
一部のウォーターサーバーやミネラルウォーターなどでも活用事例があります。

当然ですが特別の装置、そしてコストがかかります。
とはいえサバイバルキットやキャンプ用品としての簡易グッズが売られています。
興味のある人は、探してみましょう。

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淡水化が進まない理由は

上述のような技術はありますが、それでも水不足が少なからず発生しています。
淡水化が進まない理由には何があるのでしょうか。

1.エネルギー的な理由

ひとつは技術的な問題です。
上述のように、蒸留水を作るにはとてつもないエネルギーが必要です。
雨が多く降る日本では、あまり現実的な方法ではありません。
そのため緊急時以外では活用するべきではないでしょう。

ただし発電所など大量の熱エネルギーが発生する場所では、不要な熱(廃熱)を利用して海水の淡水化が行われています。
実際に海沿いの原発、中東地域などで必要になる水は、大型装置を使った淡水化プラントを通じて作られています。

2.経済的な理由

エネルギーの問題と同じですが、経済的な理由もあります。
つまり現状の技術ではコスパが劣るからです。

簡単に言えば、水道水を使わず、風呂やトイレを含めたすべての生活用水をウォーターサーバーに依存する生活ができますか?

そういうレベルの話です。

企業はニーズがあると考えれば淡水化工場を作るでしょうが、日本の場合には、水はただ!
そうした信仰が未だ強いのは、否めない現実です。
言い換えると、島などで常時水不足のリスクがある場合には、検討すべきでしょう。

3.味覚的な理由

洗濯や掃除などの生活用水として使うならば、どんな水でもよいのでしょう。
つまり後述するように浄化した生活排水や雨水を利用する方法もあるからです。
とはいえ食事や飲料水に使うなら、味の問題も重要です。

どんな方法を利用するにしても、海水を淡水化する過程において不純物が抜かれます。
いわゆるH2Oの濃度が高まります。
すると味がマズくなると言われます。

すなわち不純物があるから、水はおいしい!

微妙な塩加減がうまみを増すのも事実でしょう。

他に水を作る方法はあるのか

海水を使わない方法で、生活用水を得ることはできるのでしょうか。
現状では、こちらの方が安価に作れるのかもしれません。

1.生活排水を浄化する

飲食に利用しないのなら、生活排水を浄化する方法があります。
こちらは現在の下水処理場で行われている技術が使えます。
つまり、浄化されていない汚水を河川などに流せないため汚水を浄化している技術です。
掃除やトイレ、庭仕事などに限定すれば、まったく問題ないレベルです。

2.燃料電池を利用する

昨今普及しつつある燃料電池を利用する方法もあるでしょう。

つまり水素と酸素を使い、電気分解の逆の原理で電気エネルギーを生み出しますが、副産物として水が作られます。

この水を使うのです。
現状では水素を作るのにお金がかかりますが、技術的に改良されれば、発電所で水を作る!
あり得る話です。

3.雨水を利用する

海外では、雨水をためて飲食を含めた生活用水に利用している事例はあります。
日本でも雨どいから流れる水をタンクなどにためておけば、トイレや庭の水まきなどに使えます。
ちょっとした工夫で、水道代が節約できるかもしれません。

水不足の不安を解消できるのか

お金持ちの地域である中東では、海水の淡水化は半ば常識的なものになっています。
とはいえ地球上で水不足を訴える地域は、経済的に厳しいのも事実です。

一方で日本は、雨が多いので淡水化するにはコスパの点で劣ります。
水不足が常態化しない限り、日本で淡水化技術が普及することはないでしょう。

もちろん安価で淡水化できる技術が確立すれば、より安全な水として普及するでしょう。
さらに海外へ輸出できる!
ビジネスチャンスも広がります。

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