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ナマコ密漁団 暗躍」2017年5月10日の日本経済新聞夕刊に大きな見出しがありました。
ナマコと言えば故鶴見良行氏の名著『ナマコの眼』があります。東南アジアの研究をしていた際に、何度も読み返しました。

自分も何度かナマコを食べましたが、固いし、あまりおいしいと感じたことはありません。そもそもなぜナマコが高級食材なのでしょうか?見た目はグロテスク!最初に食べた人は、罰ゲームのノリだったのか?
そんなナマコ密猟されている、原因は何でしょうか。

ナマコとは何か

ナマコとは何か?食材としてはイリコと呼ばれることもあります。
海辺で出会ったら絶対に逃げ出したくなる相手ですが、人によっては、さまざまな意味でヨダレが出るようです。

1.ナマコはウニの仲間です

ナマコは棘皮動物(きょくひどうぶつ)です。大きく言えばヒトデやウニと同じ仲間です。

ナマコを正面?から見ると五角形?五放射相称と呼ぶ構造を持っています。ナマコは世界中に分布し1500種ほどいるようですが、そのうち食用になるのは30種程度とされています。

ナマコの体のほとんどはです。そしてすべてが海産です。細長い形をしており、体長は30センチ弱のものが多いです。しかし最大の種は4.5メートル!そこまで行くとヘビですね。とはいえさまざまな色、形の物がいます。すべてをナマコと総称してよいのか?そんな疑問も生まれます。

ナマコは明確な呼吸器系や消化器系を持ちますが、心臓がない!ただし循環器系は何のためにあるのか?そう考えると、特有な器官である水管系を持っているため問題はないのでしょう。
そもそも昆虫の心臓も脊椎動物とは異なります。あまり人間と比べてはいけません。

2.一部のナマコは絶滅危惧種になっている

絶滅危惧種と聞けば、事実上既に絶滅していますが、日本ではトキが有名です。これは環境破壊が原因です。一方で最近はクロマグロや二ホンウナギが食べられなくなる!話題になりました。こちらは食べ過ぎ!乱獲が問題視されています。

それらと同列に扱ってよいのか?逆に差別をしてはいけませんが、マナマコが絶滅危惧種に指定されているようです。
産地は主に中国や韓国です。昔から高級食材として中国料理に使われてきました。日本も貿易でいくらかの利益を得ていたようです。

ちなみに2013年レッドリストへ追加されたのは、

  • トゲクリイロナマコ
  • チリメンナマコ
  • マナマコ
  • イシナマコ
  • ハネジナマコ
  • バイカナマコ

などです。

3.ナマコは古事記にも載っています

ナマコを食材として利用する文化は、主に東洋で発達してきました。
日本最古の書である『古事記』にも記載があり「猿女の君」の節において、

神に「仕えまつらむ」と魚たちに命令したけどナマコだけが黙っていた?故に「この口や答へせぬ口」と言い、紐小刀(ひもがたな)で口を裂かれた!

それほど古くから親しまれていたのです。

ただし直接の食材というよりも薬味漢方としての利用が多かったようです。
後述しますがサポニンの一種が防カビ効果虫下し肝臓病などにも効いたと考えられていました。
さらに見た目が米俵に似ている?正月の縁起物に重宝されました。

ナマコの密猟が増える理由

普通の人が海水浴で遭遇したら、まず逃げ出すでしょうが、その価値を知っている人なら、ひそかに捕獲してしまうかもしれません。
しかし場所によっては漁業権が設定されています。安易に魚介類を捕獲してはいけません。

とはいえなぜ密猟が増えているのでしょうか。

1.ナマコの需要が増えている

海外で捕獲されるナマコも、最終的には中国へ輸出されるようです。つまりナマコは中国料理における高級食材として利用されます。少し下火になったかもしれませんが中国人観光客による「爆買い」をイメージすればわかります。

庶民の所得が増えれば、ぜいたくな食事をするようになる、明確な経済原理です。

おかげでナマコの流通単価がここ10年ほどで5倍以上になっているとか。一説には黒いダイヤとも呼ばれています。

もうかるとわかれば違法操業もいとわないでしょう。一部には密漁したナマコの売上が暴力団の資金源になっているとか?それほど高く売れるなら、ナマコを密猟してちょっと小遣い稼ぎをしたい人も現れるでしょう。

2.ナマコの供給量が減っている

上述のようにマナマコが絶滅危惧種に指定されました。
産卵期は春から夏にかけてです。原始的な動物かもしれませんが、爆発的に増えるわけではありません。基本的に泳がず海底をはって歩きます。そのためまさしく一網打尽されたら終わりです。

一部にはナマコの養殖も進んでいますが、やはり稚魚?をどう育てるか。完全養殖は難しいようです。技術的に確立したのも、ここ10年程度の話です。
安定供給を目指すなら養殖に頼るべきですが、ウナギなどと同様に天然ものと違うのか?技術進歩に期待するしかなさそうです。

3.密漁の警備が追いつかない

海は広いです。もちろんナマコが多く生息する漁場は決まっているでしょう。
とはいえ24時間365日見張っているわけにはいきません。夜間に小さな船でナマコを密猟されれば、捕まえることはほぼほぼ難しいでしょう。

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ナマコが高級食材と言われる理由

そもそもなぜナマコが高級食材なのでしょうか。生なら酢の物なのでしょうが、多くは保存が利くように干して流通されます。
とはいえあんな体(失礼!)のどこにうま味が隠されているのでしょうか。
しかし高い栄養価からナマコには「海の朝鮮人参」との呼び名があり「海参」という名前もあるようです。

1.ナマコはビタミンが豊富です

ナマコは動物です。そのためビタミンB群Eが豊富です。またミネラル分もカルシウム亜鉛などのバランスがよいと言われます。さらにコラーゲンコンドロイチンも多いとか。

昨今のサプリメントとして注目される成分がすべてそろっている感じです。
基本的にナマコは海底にいます。

通常は泥に紛れている微生物や魚介類の排せつ物などをこして食べています。

そこから海の掃除屋!そんな異名もあります。5年以上生きると言われるので、微々たるエサであっても栄養が凝縮されていくのでしょう。

2.ナマコには薬効成分がある

ナマコにはホロトキシンと呼ばれる物質が含まれています。これは防カビ効果があるとうたわれており、実際に水虫薬が作られています。

なぜナマコにそんな成分が含まれているのでしょうか。

もちろんナマコに尋ねてみないとわかりませんが、ホロトキシンはナマコとヒトデに多いとか。つまりあまり活発に動けないため防衛能力を備えたのでしょう。これは植物が有毒成分を作り出すのと同じ原理かもしれません。

3.ナマコは強精剤として使われる

ナマコの体のほとんどは水、そしてゼラチン質ですが、ゼラチンはタンパク質です。

言い換えるとアミノ酸にも富んでいます。

この点からも健康食と言えるでしょう。とくにアルギニンが多いと言われており強精剤として使われることもあるようです。

なお敵に襲われると、肛門から粘り気のある内臓を吐き出します。

相手がひるんだすきに逃げるようです。これがエラにこびりつくと魚は窒息するとか。しかし内臓は数カ月すると再生されます。そうした生命力も、ナマコが重宝がられる理由かもしれません。

ナマコはおいしいのか

セレブになれば舌も肥えてくるのでしょうが、ナマコが高級食材と言われても、私は積極的に食べたいとは思いません。
本当においしいですか?
ではなく良薬口に苦しなのか。
もちろん千年の歴史がある食材なので、そう簡単に廃れることはないのでしょう。

絶滅が先か、養殖技術の確立が先か?それでも天然ものを欲しがる人たちはいるのでしょう。
ナマコが何を考えているかわかりませんが、掃除屋であるナマコが絶滅すれば海の生態系は大きく変わるかもしれません。
「ナマコの眼」を通して、わたしたちの生活を見直すべきではないでしょうか。

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