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日本原子力研究開発機構大洗研究開発センターで2017年6月6日、日本国内における過去最悪の事故が起きました。
燃料研究棟(PFRF)における作業員の身体汚染に伴う立入制限区域の設定について|日本原子力研究開発機構
ひととおりの報道はありましたが、民放テレビでは重要視されていないようです。
そもそも「22,000ベクレルを被ばく」と言われても、素人にはわかりません。
本来なら大騒ぎするべきなのですが、何らかの意図があるのでしょうか。

私たちは放射線に関する正しい知識をもつべきです。
風評を含めた福島第一原子力発電所の二の舞は避けましょう。

事故の経緯

具体的な事故の経緯を説明すると、核燃料サイクルに使う燃料を保管していた容器を点検する際に起きたできごとです。その容器は、平成3年以降26年間放置されていました。それだけでも驚きです。途中にチェックしたか、その記録も残っていないようです。ずさんです。

特殊な装置で容器を開けようとした時、燃料が入っている樹脂製の袋が突然破裂しました。それで中にあった粉状の物質が飛散したのです。周辺には5人の作業員がいたようですが、直接操作していた職員の鼻から放射性物質が吸い込まれたようです。

鼻から?顔を露出して放射性物質を触ろうとしていたのでしょうか?6月7日の記者会見で日本原子力研究開発機構はマスクを着用していた旨を報告していましたが、正しく装着されていたか?確認はされていないようです。

ちなみに事故の原因は?放射線の一種であるα線からできたヘリウムガスがたまり、気圧が上がったためと考えられているようです。

なお、6月8日現在において、テレビや新聞でもあまり重視されていません。新聞のテレビ欄を見ても、事故の報道をするとは書いてないのです。ただしNHK昼のニュースで続報が流れました。とはいえあくまでも経過を伝えただけです。民放で伝えない理由があるのか?
もちろん、施設内で起きた事故は一般市民への影響は少ないからあまり報道されないのでしょう。それでも旧動燃が再び事故を起こしたことは重大な事実です。後述するように体質が変わっていません。

放射性物質とは

放射性物質は顕微鏡を使っても見えません。そうしたレベルの話です。ならば関係ないのか?逆に、小さいが故に私たちの細胞内にある遺伝子を傷つける可能性があります。がんを誘発する危険性が否めないのです。

用語がわかりづらい面もあります。基本的なところから整理しましょう。

1.放射能とは

まず放射能と言われますが、これは放射線を出す性質のことを意味します。言い換えると放射能は物質ではなく、直接害を与えるものを指していません。

ゴジラは放射能を浴びて生まれた?放射能を口から吐く?科学的にはナンセンスな言い方ですが、当時としてはあまり理解されていなかったので文句を言ってはいけません。とはいえその後の影響を考えると、娯楽映画ではあっても表現には注意が必要になりそうです。

2.放射線とは

次に放射線ですが、下記に説明するこれらが実際の「もの」です。かぎかっこで囲った理由は、放射線は明確な物質とは言えないからです。具体的には次の3種類があります。

(1)α線(あるふぁせん)

α線は最も大きい放射線です。事実上は陽子2個、中性子2個を持つヘリウムの原子核です。なお原子の構造に関しては、下記を参照してください。
参考「夏休みに克服しよう!イオンとは何か?中学校理科の難題です

α線は、マイナスの電荷をもつ電子を有していません。そのため電気的にはプラスの状態です。とはいえ重さがあるので物質に対する透過力は弱いとされています。紙1枚で遮断することが可能です。だから袋内にたまったのかもしれません。

(2)β線(べーたせん)

β線は、いわゆる電子です。光の速さの90%程度で動き回っています。ちなみに光速は秒速30万キロメートルです。1秒間に地球を7周半回る速さです。

β線は電子なのでマイナスの電荷を持っています。とても小さいので透過力は強いですが、アルミニウムの薄い板があれば遮断することが可能です。つまり電子は金属に吸収されてしまうからです。

(3)γ線(がんません)

最もとらえどころのない放射線がγ線です。質量を持たない電磁波の一種と考えられています。光なので、粒子であり波である?実感のしづらい「もの」です。
参考「電磁波とは何か?波長や周波数も理解しよう

電荷もないため磁場や電場の影響を受けません。したがって透過力が極めて強く、薄い金属では遮断できません。厚さが4センチの鉛の壁を使ってもγ線の0.01%は通り抜けてしまうようです。

3.放射性物質とは

本題である放射性物質とは、上記の放射線を出せる原子のことです。とはいえ、ほとんどの原子は安定しているため放射線を出しません。しかし中には陽子と中性子のバランスが悪く、分裂もしくは融合しやすい状態があります。それを放射性同位体と呼びます。

よく知られた放射性同位体は、水素です。原子核に陽子1つだけあるのが普通の水素です。また原子核に陽子1個と中性子1個、結果的に質量2になる水素が重水素、デューテリウムとも呼ばれます。そして陽子1個と中性子2個で質量3になる水素が三重水素です。トリチウムと呼ばれます。

今回の事故で問題になったのは、核分裂を起こすタイプです。具体的にはアメリシウム241またはプルトニウム239がα線を放出したと考えられています。なお物質名の後ろにある数字は、陽子と中性子を足した数、原子量と呼ばれるものです。

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被ばくに関する具体的な基準は

ばくぜんと数字を言われてもわかりませんが、具体的に人体へ影響を与える基準はどの程度なのでしょうか。福島原発の事故に際してもさまざまなことが言われました。明確な線引きができないのも事実です。

1.平常時は年間1ミリシーベルトです

とはいえ一般的に言われる数値はどの程度でしょうか。国際放射線防護委員会(ICPR)によれば、平常時は年間1ミリシーベルト以下、事故などの一時的には20~100ミリシーベルト以下と定めています。

ただし自然界からも年間1ミリシーベルト程度の被ばくを受けています。またレントゲン撮影をしても3ミリシーベルト以上を被ばくします。そういう意味ではあまり細かい数値を気にする必要はなさそうです。大切なのはミリが付くかつかないか、桁数の問題です。

2.ベクレルとは

報道によれば、50歳代の作業員の肺から最大で22,000ベクレル、総量として36万ベクレルの放射性物質が検出されたようです。もちろん放射性物質の種類によって危険性は異なりますが、プルトニウム239の可能性が高いようです。

ちなみにベクレル(becquerel:Bq)とは、放射能の強さを示す単位であり、1秒当たりに崩壊する原子の個数を現しています。つまり今回の値である22,000ベクレルは、1秒間にプルトニウム239が22,000個崩壊しα線が出たことを意味します。

22,000とは大きな値ですが、直接有害性を示すわけではありません。そのためベクレル表示の報道があったとしても、言い逃れができると考えているのかもしれません。

3.シーベルトとは

現実的な話として人間に影響する単位はシーベルト(sievert:Sv)です。こちらは等価線量とも呼ばれます。ただし一般的には千分の1を意味するミリシーベルト(mSv)または百万分の1を意味するマイクロシーベルト(μSv)を使います。

なおシーベルトの算出に際しては、放射線を人体が吸収する量、吸収線量と呼びますが、それをあらわす単位であるグレイ(gray:Gy)が必要です。グレイの定義は、物質(体重)1キロ当たりに受けるエネルギーが1ジュールの場合、1グレイと言います

グレイの算出には微分式を用います。そのため素人にはわからなくなる、曖昧にされる理由です。このグレイに、放射線の種類や吸収される臓器に応じた修正係数を乗じることによって、シーベルトが求められます。

報道によれば最も重篤な作業員の被ばく量は年間1.2シーベルトに相当するようです。つまりミリの単位が付きません。基準を4桁上回っている状況です。長期的な健康被害が懸念される?などと報道されていますが、悠長なことは言えないでしょう。

旧動燃の体質は変わらない

今回の事故自体も深刻ですが、もっと問題視すべきなのは組織の体質です。現在は日本原子力研究開発機構と呼ばれていますが、源流にあるのは動力炉・核燃料開発事業団(動燃)です。
参考「夢破れた「もんじゅ」の廃炉が決まる?

これまでも度々トラブルを起こしています。
たとえば、

  • 1995年、福井県にある高速増殖炉もんじゅにおけるナトリウム漏れ事故
  • 1997年、茨城県の東海再処理工場における爆発事故

そもそも、もんじゅをどうするのか?

トラブルの度に組織改革が行われていますが、名前を変えても中身は変わりません。根本的にすべてを入れ替えないと、今後はもっと重大なトラブルが起きるかもしれません。想定外を想定しているのでしょうか?ちなみに同施設は文部科学省管轄の研究施設です。

今後の報道に注目です

核燃料系のトラブルが生じると、原発反対派に追い風が吹きます。もちろん原発を使わない方が環境や人体にはよいのでしょうが、経済的、科学的に考えると難しい判断です。

豊洲市場問題とも関係しますが、科学的に考えるのか、感情論が重要なのか?国民の判断が求められます。そのためには科学的なデータも必要です。とはいえ隠蔽(いんぺい)体質があるならだれを信用すべきか?今後の報道に注目です。

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