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東京への一極集中を危惧したのか?文部科学省は、東京23区内で新たに大学の定員数を増加させない制度を作ります。

これに対してさまざまな方面から異論が出ています。

もちろん大学側ですが、東京都知事も方針の撤回を要請しました。

  • 文部科学省は何を求めているのか?
  • 東京23区内に学生が集まると何が問題になるのか?

各方面の言い分や論点を整理しましょう。

各方面の言い分とは

1.文部科学省の言い分とは

文部科学省は2017年8月14日、私立大学が今後東京23区内で学生の募集定員を増やすことを認めない告示の改正案を公表しています。

そして同年9月12日までにパブリックコメントを行い、正式に決定する予定です。

その理由は、若者が東京に集まってしまうと地方が衰退する!そうした政府の方針を忖度(そんたく)したからのようです。

とりあえず2018年および2019年度は告示によって定員増を認めず、2020年以降は法律で定める意向のようです。

政府が閣議決定したことを尊重する、もちろん文科省の長は大臣です。大臣が集まる会合で決められたことに従うのは組織として当然です。

それでも文科省としての理念はあるのでしょうか?時の政権によって教育が歪められるリスクはあります。

2.東京都知事の言い分とは

2017年9月11日、小池東京都知事は林文部科学大臣に対して、23区内での大学定員抑制方針を撤回するように要望書を提出しました。

都知事の言い分は、若者の一極集中と大学定員増を一緒の問題にしてはいけないということです。

具体的な内容は

  • 地方には地方の魅力がある
  • 地元で学びたい人もいる
  • 大学に魅力があれば地方でも学生は集まるはず、努力が足りない!
  • 東京には人を惹きつける魅力がある!

とのこと。

とはいえ、現都知事が作ったわけではありませんが。小池さんは生粋の関西人です。

都知事という立場で考えると、東京に人が集まれば結果的に税収が増えます。もちろんインフラの整備も不可欠ですが、東京独り勝ちの状態を維持したいのでしょう。

東京オリンピック後の衰退は是非とも避けたい本音はあります。

3.大学側の言い分とは

多くの大学は23区内とは別に、東京西部である多摩地区にもキャンパスを有しています。

一時期、広い土地を求めて多摩地区へ移転する大学が増えました。今でも八王子市には

  • 中央大学
  • 帝京大学
  • 明星大学
  • 東京薬科大学

などが学部を開設しています。

とはいえ同じ東京であっても、多摩地区はちょっと不便かもしれません。

それに、少子化が加速すると学生の奪い合いが始まります。

自然に囲まれた広いキャンパスが売り文句になるか?それならば地方でも同じことです。

もちろん23区とは言ってもさまざまあります。

  • 多摩地区寄りの練馬区や杉並区
  • 埼玉県寄りの北区
  • 千葉県寄りの江戸川区

などは、東京都民にとってもマイナーです。

一方で、23区内は地価も高いです。新たな土地取得は難しいでしょう。

それでも最近は、治安が悪いとされていた足立区が大学誘致を進めています。ターミナル駅である北千住なら交通の便は悪くありません。

山手線沿線から外れる区部に新たなスポットが生まれるか、注目されています。

4.学生の言い分とは

「大学へ入るために上京する!」昔からあったシーンです。「東京へ行きたい!」それを理由に進学する人もいるでしょう。

とはいえ多くの人がイメージする東京は、新宿や渋谷かもしれません。

都会での生活に憧れるでしょうが、現実は厳しいです。

23区内に住もうとすると家賃が高いです。1Kのアパートでも月10万円近くします。家賃が割安なシェアハウスが流行りですが、コミュニケーション下手の若者には難しいですね。

つまり、住居費を考えれば多摩地区の方が良いでしょう。

それに大学が23区内にあれば、通勤ラッシュが待っています。

岩手県や長野県と比べれば東京は狭いですが、八王子から23区内まで通勤ラッシュで1時間!それに耐えられるでしょうか。

問題なのは大学がどこにあるか?ではなく、付随するキャンパスライフが楽しめるか否かです。

23区内に大学があれば、帰りにアルバイトもやりやすいでしょう。週末の飲み会も楽しいです。やっぱり23区内が魅力的でしょうか。

5.親の言い分とは

地方に住む親であれば、地元の大学へ行ってほしいかもしれません。

なぜなら現実問題として、仕送りは大変です。

子供が2人同時に大学生となれば、収入のほとんどが教育費になります。これこそが少子化の原因でもあります。

とはいえ介護やお墓など、子供に頼らない親も増えています。

子供には子供の人生がある。そう割り切るならば、子供が上京しても問題はありません。世代として考え方が変わる、それを許容する時代です。

一方かつて上京し東京に住み着いた人達が親になっています。東京出身の若者も増えています。逆に地方の大学を目指す子供もいます。

親元から通ってくれた方が何かと便利なのは事実でしょうが、子供を大学へ行かせられる裕福な親なら、あまり違いはないようです。

6.産業界の言い分とは

産業側としても大学が23区内に来ることはウェルカムです。若者が多くなれば東京も活性化するからです。

最近の若者は消費欲が弱いと言われますが、絶対数が増えれば相乗効果も生まれるでしょう。

一方で人材確保の面でも、若者に来てもらうことが急務の課題です。アルバイト要員の不足で困っている飲食店なども多いです。

もちろん就活に関しても、連絡が取りやすい23区内にいてくれた方がメリットはあります。

問題点は何か

1.東京一極集中は悪いことなのか

東京に若者を含めた人が集まることは悪いことなのでしょうか。

「地方が衰退する!」その危惧は当たっているでしょう。

地方は高齢者率が高くなっています。働く人が減ってしまえば、税収も減ります。将来的に消滅する市町村は増えるでしょう。

ただし、一極集中の弊害もあります。

都知事も心配しているのは通勤ラッシュです。身動きとれない非人道的環境で毎日1時間以上も過ごす現状は、先進国での生活とは言えないでしょう。この解決は急務です。

一方でいい人ばかりが集まるわけでもありません。犯罪が増えるリスクもあります。

東京は本当に治安が良いのでしょうか?地震も多いし、一雨降れば洪水の心配もあります。都民の安全を守れるのか?都知事の手腕が問われます。

2.集中することで大学の質は上がるのか

都知事が触れている点として、大学の定員増を制限すると大学の質が低下する?これは正しいのでしょうか。

実際問題として東京大学であっても世界的な地位が低下しています。日本の科学技術が衰退する危機が指摘されています。

とはいえ大学の質が低下している現状は、人口集中や定員とは無関係です。

逆に、定員増こそ質が低下する元凶です。そもそも学力的に来てはいけない人も大学に入れるようになっているからです。

たとえば、東京大学には毎年3000名ほどの学生が入学します。

東大生は天才!そんなイメージもありますが、天才は毎年3000人もいるのでしょうか?単に記憶力が良いだけです。

そんな人たちが集まったところで、大学の質は向上しません。

本気で大学の質向上を目指すなら、考える政策は逆です。現在800もある大学を減らし、本当のエリート養成機関に戻すべきでしょう。
  • 今の大学が高等教育機関なのか?
  • 学費に見合う知識や技能が得られるか?

そちらの方こそ検証すべきです。

3.大学の独立性が失われていることこそ問題

大学は、文部科学省の意向に従わなければならないのでしょうか?

もちろん法律になってしまえば従う義務があります。

とはいえ、なぜ定員数を勝手に増やせないのでしょうか?増やしても学生が来なければ同じことです。

そこには補助金という大きな魔力があります。

定員を勝手に増やす、定員以上の学生を受け入れると補助金をカットされるのです。

大学運営は、私立大学であっても国からの補助で成り立っているのが現状です。

これこそ問題の根源です。大学の独立性が失われてしまうからでです。

それで学問の自由を訴えるのはこっけいです。文科省に逆らってでも我を通す!そうした大学こそ現れてほしいし、そうした大学に通う学生こそ、日本を変えてくれるはずです。

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誰にとっての定員増なのか

最終的には誰が決めるのか?閣議決定しているならば、ひっくり返すことは難しいでしょう。

一強内閣が続く間は、23区内の定員増を認めない!決まりです。現都知事が定員増を訴えるなら、首相になるべきでしょう。

そこまでしてでも定員増を要望する根拠があるのか?誰にとっても自身の立場上から求めているだけです。

国民全体にとっての正解はあるのでしょうか。とはいえ、利害関係者が増えるほど論点はぼかされます。

そもそも今の大学に行く価値はあるのでしょうか。

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