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2017年9月12日、司法試験の合格者が発表されました。

司法試験は医師免許と並ぶ最難関国家資格のひとつであり

  • 弁護士
  • 検察官
  • 裁判官

になるための資格です。

本来は法科大学院を修了して試験に臨む制度のはずですが、今回も予備試験組が増えました。そのため法科大学院の不要論が消えません。

そこで法科大学院が失敗した理由について考えてみましょう。

2017年司法試験の概要

まず司法試験合格者の内訳について、簡単に説明しましょう。

1.合格率は26%

受験者数 5967人(前年より932人減)
合格者数  1543人(同40人減)
合格率  25.86%(同2.91ポイント増)
合格者男女人数  男性:1228人・女性:315人
合格者平均年齢  28.8歳
(最年長71歳、最年少21歳)

受験者数は減りましたが、合格率は上がっています。合格率から考えると4人に1人しか受かっていません。ここからも難関資格であることがうかがえます。

2.国立大学の方が合格率は高い

法科大学院別に合格者数と合格率を比べます。

順位 大学名 合格者数 合格率
1位  慶応大学  144人  45.43%
 2位  東京大学  134人  49.45%
 3位  中央大学  119人  26.15%
 4位  京都大学  111人  50.00%
 5位  早稲田大学  102人  29.39%

合格者の絶対数でみると私立大学の方が多いようです。

とはいえ、合格率だと東大・京大は約半分です。

また、

  • 6位の大阪大学は合格者66人だが、合格率40.74%
  • 7位の一橋大学も合格者は60人だが、同49.59%

となっています。

合格率で比べると国立の方が高いようです。

3.予備試験組が合格者数だと最多

法科大学院を修了せずに受験する人も増えています。

つまり、予備試験に合格して司法試験を受験した場合の合格者数は290名(前年より55人増)で合格率は72.50%です。

人数的にはトップである慶応大学の2倍です。この合格率は、非常に驚くべきことです。

ただしこの数字には裏があります。
※予備試験に関しては後述します。

法科大学院とは

法科大学院とは、専門職大学院のひとつであり、将来弁護士などになる人に対して相応の知識を得させる目的で2004年4月からスタートしました。

修了すると、

  • 司法試験への受験資格
  • 法務博士の学位

が与えられます。

それまで司法試験を受けるには、独学もしくは専門学校へ通うのが一般的でした。

とはいえ、何十年も受からない司法浪人がいたり、受験テクニックだけを教える専門学校に対する批判があったりしました。

さらに
「将来は日本もアメリカのように弁護士が身近になる!そのためには弁護士を増やすべし!」
弁護士養成機関としての役割も期待されていました。

しかし現実は、司法試験に合格しても就職先がない?

「弁護士需要が増えなかった」
「将来予測が甘かった!」
批判を浴びています。

これが加計学園獣医学部はいらない!の根拠になったりしています。

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予備試験に対する誤解

そもそも予備試験とは、法科大学院へ経済的もしくは時間的な理由から進学できない人たちに対する救済措置として始まった制度です。

あくまでも例外扱いだったはずですが、大学生から見れば、
「こちらの方が合格率は高いし、費用も安い!」
ある意味で主流になっています。

なお、予備試験組の合格率が高い!これだけが注目されています。

とはいえ、予備試験に合格した人の司法試験合格者という意味です。予備試験自体の合格率は4%弱にすぎません。

つまり予備試験は、司法試験の受験資格を得るための試験です。

  • 短答式
  • 論文式
  • 口述式

の3段階で試験が行われます。

2016年の予備試験の結果は以下の通りです。

2016年度・司法試験予備試験:合格率3.90%
短答式試験 論文式試験 口述試験
出願者 12,767人
受験者 10,442人 2,327人 429人
合格者数 2,426人 429人 405人
ここから本番の司法試験を受けた人の合格率が72%になるということです。

それだけ絞られた精鋭ぞろいなので、そこだけの合格率で判断すると状況を見誤ってしまいます。

総出願者に対する割合でみれば、たったの2.27%です。

法科大学院が失敗した理由とは

法科大学院は合格率で考えると失敗だったと考えられています。既に多くの大学が撤退しています。そこにはどんな理由があるのでしょうか。

1.見えで作ってしまった

一番大きな理由は、法科大学院の乱立です。

中には、見えで作ってしまった大学もあります。
つまり、法学部があるのに法科大学院がないと、学生が学部に来てくれない心配がありました。
法学部へ行っても司法試験を受けられないなら意味がないからです。

もちろんこれまで司法試験のトップ校だった、

  • 中央大学
  • 慶応大学
  • 早稲田大学
  • 国立旧7帝大など

は、設置するのが当たり前と考えられていました。

一方で「法科大学院を新たな集客ツールとして使おう!」そう考えた大学もあったでしょう。

成功すれば「法曹界への近道!」
全国に大学の名を知らしめられるからです。もちろん現実は甘くありません。

2.教員が不足していた

上述の乱立と関係しますが、教員が不足していたようです。

専門学校批判から始まったので、より学問的・実務的な教員を集める必要がありました。とはいえ、司法試験対策として適した人材だったのか?疑問があります。

法学部はあくまでも学問として法律を学ぶべきであり、実際に弁護士として働くための知識と異なる点は多いでしょう。

大学が学問に固執したのであれば失敗するのは当然です。

3.コネをうまく活用できなかった

逆の論理も成り立ちます。

そもそも、司法試験の問題はだれが作るのでしょうか?学者さん達です。その人たちは法科大学院の教授も務めています。

そうしたコネを本来は有効活用すべきでした。ポイントを押さえた指導ができたはずです。

もちろん禁じ手です。

実際に2015年、事件が起きました。元教え子に熱心な指導をしてしまったようです。ただ、やり方がお粗末です。もう少しうまくできなかったのでしょうか。

裏技を推奨してはいけませんが、完璧な答えを教えてはいけません。学生らしい間違い方を含めた指導をすればばれなかったはずです。

模範解答に限りなく近い答案があれば、不正を疑われても仕方ありません。

4.学費が高い

予備試験を残す理由ともなったのが、法科大学院における学費の高さです。

例えば今年のトップである慶応大学の法科大学院は、年間授業料が106万円、初年度納付金の合計は何と164万円です。

国立大学の東京大学でも年間授業料が80万円です。これは医学系大学院の同52万円よりも高い金額です。

一方で司法試験予備校の中でも有名な伊藤塾では、司法試験(予備試験)コースの場合、最も安い場合で105万円です。

こちらも高いですが、合格率を勘案したコスパで考えたらどうでしょうか。

5.予備試験を残したから

隠れた最大の要因は、予備試験という形態を残してしまったことでしょう。

機会の均等という意味では、貧困世帯であっても受験のチャンスを与えることは重要です。国家資格であれば必然的な措置だったのでしょう。

また大学卒業後も司法試験を目指す人がいます。
仕事をしていれば大学院に通う暇がありません。一部の大学院は夜間も開設していましたが、スケジュールを合わせるのは難しいでしょう。

職業選択の自由がある以上、救済措置は必要です。

とはいえ、職業選択の自由とは何か?司法試験は最難関資格ではありますが、プロ野球選手の方がもっと狭き門です。事実上、小学生くらいで将来が決まってしまいます。

このように、なりたくてもなれない仕事は多いでしょう。司法試験だけ優遇するのはいかがなものでしょうか。

ノウハウは専門学校にある

司法試験に限りませんが、資格試験に対するノウハウは専門学校にあります。

受験テクニックに偏る傾向はありますが、試験に特化したポイントを突いた勉強をします。言い換えると、司法の現場では使うけれど試験に出ない内容は勉強しません。

それが良いか悪いかは別として、法科大学院は専門学校のやり方を参考にすべきだったのでしょう。

理想論ばかりが先走ると、本当に弁護士として働きたい人にはデメリットです。

試験というものが存在する限り、傾向と対策は不可欠です。それに特化した塾が生まれるのも必然です。そうした現実を見誤ったことに最大の原因があるのでしょう。

文科省や法曹界はそれで大丈夫なのでしょうか。そちらの方が心配です。

法科大学院は存続できるのか

文部科学省は今後、法科大学院の選別をしていくようです。

「合格率が低い大学には補助金をカットする!」税金ですので当然の措置でしょう。

合格しない人を支援する必要はありません。そもそも法科大学院制度は正しかったのでしょうか?

すぐに制度が変わることはないでしょうが、法科大学院の数は今後も減るでしょう。
そうして厳選され、専門学校すなわち予備試験組と切磋琢磨(せっさたくま)すればよいのです。
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