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2017年9月21日、今年も恒例の「国語に関する世論調査」を文化庁が発表しました。

毎年のように「日本語が乱れている」そんな風にマスコミ等で取り上げられます。

とはいえ、言葉は変わるものです。そもそも正しい日本語などあるのでしょうか?

「国語に関する世論調査」とは

「国語に関する世論調査」とは、文化庁が平成7年から毎年実施している事業のひとつです。

今回公表された内容は、2017年2月から3月にかけて実施された平成28年度調査の結果です。

1.調査目的

本調査の目的は

「日本人の国語に関する意識や理解の現状について調査し,国語施策の立案に資するとともに,国民の国語に関する興味・関心を喚起する」

ことです。

2.調査対象

調査対象は全国にいる16歳以上の男女3,566人です。

個別面接調査ですが、有効回答数(率)は2,015人(56,5%)だったとか。

調査手法としては、どうなのでしょうか。また調査対象の選び方は記載されていません。

調査対象の選び方で、結果が変わってしまう可能性は大です。

3.調査内容

調査内容は多様、各年で変わることもあります。今回は、大きく6分野に分かれます。また下記サイトから調査結果を見ることができます。

  1. コミュニケーションの在り方・言葉遣いについて(7問)
  2. 相手に配慮したコミュニケーション(7問)
  3. 情報化の中でのコミュニケーション(5問)
  4. 書き言葉のコミュニケーション(3問)
  5. 具体的な場面における言葉遣い(3問)
  6. 新しい表現や、慣用句等の意味・言い方(3問)

【PDF:897KB】平成28年度「国語に関する世論調査」の結果の概要

誤用の事例

足をすくわれる

今年テレビや新聞で取り上げられたのは「足元をすくわれる」です。

正しくは「足をすくわれる」です。

落ち着いて考えてみれば、足元ではなく足であることがわかります。

存亡の機

また「存亡の危機」政治家が多用したがるワードです。

まさしく衆議院解散が叫ばれる2017年9月において野党は存亡の危機か?

しかし、正しくは「存亡の機」だとか。

生死を決する場面という意味では「機」が正しいとわかります。

著名人が間違えている

とはいえ過去に、時の首相だった村山富市氏、そして小泉純一郎氏も誤用していたようです。

そんな「えらい」人達でも間違えるのですから、庶民が間違えてもよいのでしょう。

もちろん今でも問題発言を繰り返す現蔵相は、漢字が読めなかったですね。一国の首相として恥ずかしかったです。

まさに足をすくわれた?政権交代を許しました。口は災いのもとです。

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古典をスラスラ読める人はいない

言葉は変わります。その典型例は、誰もが学校で習う古典です。

たとえば「源氏物語」の原文をスラスラ読める人は、研究者を除けばほとんどいないでしょう。

言葉が乱れている?そういうレベルではありません。

古典は極端かもしれませんが、明治の文豪である夏目漱石の小説だって、スラスラ読むのは難しいです。

第二次世界大戦時でも「ワレ奇襲ニ成功セリ」カタカナを交えた漢文調が一般的でした。

たかが100年であっても大きく変わります。

専門用語も読み方は違う

世間と違うという意味では、専門用語の読み方は特殊かもしれません。

先日ちょっと話題になったのが「農作物」です。

NHKでは「のうさくぶつ」と発音するように決まっているようです。

原理として農作業によって得られた物だからとか。

しかし農業の分野で学んでいると、あくまでも農業によって作り出された作物(さくもつ)です。だから「のうさくもつ」と読みます。

私はNHKアナウンサーの発語に違和感を覚えます。

実際に、この原稿を書いているパソコンは「のうさくもつ」で変換してくれます。

立場によって違っていることはあります。もちろんどちらが正しいかは立場の違いです。

また農業分野で恐縮ですが、山林の傾斜地を利用した酪農を山地酪農(やまちらくのう)と言います。「さんちらくのう」ではありません。

山地(さんち)と言えば、九州山地など地理用語になります。

定義が変わる

一方で用語の定義が変わることもあるでしょう。

もちろん典型例は、古典用語と現代用語の意味が違うことです。

をかし

たとえば「をかし」があります。

古語辞典によると

  • おもしろい
  • 風情がある
  • こっけいだ

という現代の「おかしい」に通じる意味がある一方で、

  • かわいらしい
  • 愛らしい

の意味もあります。受験生にとって悩ましい点です。

スポーツ

また外来語という面もあるのでしょうが「スポーツ」の定義が変わりそうです。

一般的には運動を意味すると思われますが、最近はテレビゲームをeスポーツとして取り入れようという風潮があります。将来的にはオリンピック種目になるのでしょうか?

ちなみに英英辞典でsportを調べると、physical activity done, esp outdoors(特に屋外で行われる肉体活動)と記載されています。

もちろんバドミントンなどのように屋内スポーツもあるでしょうが、定義が変わってくるのは時間の問題かもしれません。

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言葉の意味が変わる原因

言葉は時代の流れで変わるものですが、そもそものきっかけや原因は何でしょうか。

1.著名人が使い間違える

上述したように時の総理大臣が間違えたら、それが一般化する可能性は高いでしょう。

そもそも首相の演説などは、本人のアドリブではないはずです。

もちろん小泉元首相は、その場での発言が多かったですが、上述の話は、頭の良い官僚が書いた文章を読んでいたはずです。

ならば何か意味があったのでしょうか。

2.若者言葉が定着する

むずい

個人的に気になっているのは「むずい」です。

50歳代である私の感覚として「むずい」は

  • むずがゆい
  • むずむずする

といったイメージです。

とはいえ、今の若者は「難しい」の意味で使っています。

やばい

また誰もが気になっているのが「やばい」です。

私が中高生の頃も「やばい」を連発していましたが、当時は「危険」など悪い意味で使っていました。

しかし今は

  • おいしい
  • おもしろい

の意味でも用いられます。

聞いている方が混乱します。

3.方言が一般化する

標準語という言い方もどうかと思いますが、方言が一般化することもありそうです。

めっちゃ

たとえば若者が多用する言葉に「めっちゃ」があります。

  • めちゃくちゃ
  • たくさん

の意味がありますが、元は関西の言葉だったようです。

関西芸人が全国放送で口にするようになったこと、またシドニーオリンピック水泳の銀メダリスト田島寧子選手が「めっちゃ悔しい」と言って流行語になりました。

嫁・しんどい・うざい

また「嫁(よめ)」や「しんどい」も西日本の言葉であり、「うざい」は東京多摩地区の方言だったとか。

多くは若者発信ではありますが、ネットが普及するにつれて、言葉が広まる、変わるスピードも速くなりそうです。

辞書はどう対応すべきか

日本語が変わって一番困るのは辞書かもしれません。

もちろん意味がわからない時に使うのが辞書です。

とはいえ、辞書は本当に正しいのでしょうか。

古くから続く辞書、たとえば岩波書店「広辞苑」であれば、昔からの意味を残しておけばよいのでしょう。

とはいえ適宜現代風の意味を追加する。新しい用語を加える必要があるかもしれません。

しかし、死語となったものも載せておく必要はありそうです。そのため必然的に辞書は厚くなります。

だからこそ電子辞書が重宝されるのでしょう。

ちなみに辞書界に革命をもたらした?三省堂「新明解国語辞典」があります。

もちろん正当な辞書ですが、ちょっと奇抜な意味が記されている点で、一部のファン?から好評を得ています。

辞書も多様であって良いのかもしれません。

正しい日本語とは何か

「正しい日本語」とは何でしょうか?

その当時における大多数が認めた意味なのかもしれません。

つまり半数以上の人が誤用していれば、その誤用の方が、以後「正しい日本語」にすべきなのでしょう。

言葉は、あくまでもコミュニケーションツールです。文法なども研究者による後付けにすぎません。

ならば、共通して理解しあえる意味に変えていくことこそ、正しい言語理解なのです。
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