スポンサーリンク

大学受験の予備校や進学塾の広告を見ていると、おかしな文章の表現に出会います。

一般の人なら見落とすかもしれませんが、塾・受験業界に長く携わっている者として、その意図を疑ってしまいたくなることが少なくありません。

そこで、誤解しやすい大学受験の予備校・塾の広告表現をいくつか集めてみました。

今の時代は、通っている予備校や進学塾によって合否が決まると言っても言い過ぎではありません。

慎重に塾や予備校を選ぶためにも、広告の正しい見方、見分け方を解説します。

予備校・塾選びで注意したい、広告表現

これから取り上げるのは、あくまでも大学受験の予備校・塾選びのときに注意してほしい例にすぎません。

しかし、一般の人が見ると誤解しやすい表記です。

ここに示した予備校のみならず、どこの塾を見る場合にも注意しておきたい内容について解説します。

1.東進ハイスクール「東大の2.9人に1人が東進生」

一見すると東大生の3人に1人は東進ハイスクールの出身者と思ってしまいます。

しかし、本当にそうなのでしょうか。

広告を詳しく読むと、3月11日現在東進に在籍している現役受験生のうち、東大合格者は724名でした。

これは、2018年の現役東大合格者数2081名の34.7%に該当します。

現役東大合格者数を東進生の現役東大合格者数で割ると、2081÷724=2.874309392265193です。

そこから2.9人に1人が東進生になったということです。

実際は4.2人に1人が東進生

東進ハイスクールは現役合格にこだわっているので、こういう数値が出てきてもおかしくはないでしょう。

とはいえ東大の全合格者は、現役と浪人をあわせて3083名です。

東大全合格者数を東進現役合格者数で割ると、3083÷724=4.25828729281768です。

ならば「4.2人に1人」が東進生になります。

東進は東大生合格数、第三位

東大合格者における東進生の割合が、4.2人に1人でもすごい数字ではあります。

しかし、現役と浪人をあわせると、一番多くの東大生を送り出しているのは駿台予備校です。毎年1400名程度です。

第二位は河合塾で1100名程度です。

そして東進ハイスクールは第三位になります。

東大全合格者数で計算していない点が、誤解を招くかも

もちろん現役合格にこだわることは大切です。

受験生やその保護者にとっても、現役合格の方が経済的、精神的にも安心できるからです。

しかし誤解を招くような表現は、後々のトラブルを生まないか、気になります。

3つの予備校在籍生で既に東大合格者数を超える?

ちなみに、

  • 駿台1400名
  • 河合1100名
  • 東進700名

これをあわせると、既に全東大合格者数の3000名を超えてしまいます。

これは予備校に重複登録している、もしくは水増しされている可能性があります。

そういう意味でも、予備校や塾の広告を見る場合には注意が必要です。

2.臨海セミナー「(東大)驚異の合格率49.2%」

臨海セミナーには「東大プロジェクト」という、東大合格を目指す専門のカリキュラムがあります。

その東大プロジェクトのサイトを見ると、「<倍率約3倍の東大入試>驚異の合格率 49.2%で突破!」と書かれています。

しかし、これは予備校側にとってマイナスに見える、もったいない表現です。

つまり、「臨海セミナーは東大を専門に目指すコースを設けているけれど、東大合格率が49%、半分しか受かっていない」ということだからです。

他の予備校より合格率は高い?

しかしその前文で、東大の倍率は3倍と示しています。言い換えると、全体でみれば合格率は33%です。

つまり割合的に言えば、臨海セミナーの合格率は、他平均よりも高いということです。

しかし、一般の人にそこまで理解されているでしょうか。

3月10日現在、同予備校からの東大合格者は134名です。

駿台、河合、東進などとは比べられませんが、それでも地域密着型の予備校としては健闘していると言えます。

地元公立高校からでも東大へ入れる

東大合格者の出身高校を見ると、

  • 開成
  • 栄光学園

などの有名私立、また学芸大附属など国立もあります。

しかし

  • 都立日比谷
  • 県立千葉
  • 県立湘南 など

現役かは不明ですが、地元公立高校からも合格している点は評価できそうです。

3.メディカルラボ「医系専門予備校合格者数No.1」

医学部の受験は特別と言われ、予備校も医学部受験専門の予備校を選びます。

メディカルラボは医系専門予備校ではNo.1ということです。

実際、2017年の実績でトップだったのがメディカルラボのようです。

では、予備校全体で合格者数を比べるとどうなのでしょうか。

たとえば、メディカルラボの新聞内広告では、2018年3月15日現在で

  • 国公立大学医学部の合格者が74名
  • 私立大学医学部が461名

この数字を見ると、「多くの合格者を出している!」と感じます。

旧帝大への合格者は少ない

では、具体的な合格校と合格者すうを見てみましょう。

旧帝大の合格者数は

  • 北海道大学2名(定員112名)
  • 東北大学が2名(定員135名)
  • 名古屋大学1名(定員112名)
  • 大阪大学2名(定員110名)
  • 九州大学2名(定員111名)

であり、

  • 東京大学(定員110名)
  • 京都大学(定員107名)

の合格者数はありません。

もちろん東大は、医学部としての募集ではありません。

理科Ⅲ類など、必ずしも医学部への進学が保証されているわけではないのです。

そのため、そうした記述になるのかもしれませんが、業界トップでこの数字です。

他の予備校からでも医学部へ入れる

ちなみに東進ハイスクールでは、医学部医学科に3月11日現在で1009名が合格しています。

うち

  • 東大37名
  • 京都大学24名
  • 北海道大学12名

などとなっています。

本当に医学部専門予備校へ通うメリットはあるのか。疑問が生まれます。

4.四谷学院「一般生が損をする無料特待生制度は採用していません」

四谷学院が出す新聞内の広告で合格体験記が記載されていました。

そこに書かれていたのが「四谷学院では、一般生が損をする無料特待生制度は採用していません」です。

塾業界に対して、ちょっと不信感を抱く表現です。

無料特待生制度とは何か

詳しく同予備校のウェブサイトを見ると、「よくあるご質問」に、

元々成績が優秀な生徒を集めて合格実績をあげる「特待生制度」はありません。

と記載しています。

かつて、成績優秀者を集めて著名大学を受験させ、合格実績を作る、そんな戦法が塾や予備校業界にありました。

もちろん今でも一部の塾や予備校では行われているでしょう。

とはいえ四谷学院では

そうした優秀者の囲い込みをせず、オリジナルな手法で、成績の低い人でも東大を筆頭にした高偏差値大学へ入学できる

それを暗にうたっています。

表現が露骨すぎないか

しかし「一般生が損をする」との表現は気になります。露骨すぎないでしょうか。

真面目にお金を払っている生徒が損をする、結果的に合格しないこともあるのでしょうか。

もしくは、そうした業界的な風潮を批判しているのかもしれません。

5.河合塾「新・チューター制度の導入」

生徒の個性に合わせた進路指導「新・チューター制度」を始めるようです。

しかし、予備校はどこまで受験を助けるべきなのでしょうか。

そもそも進路指導は高校の守備範囲ではないのでしょうか。

高校は何をしているのか

こうした個別指導は、他の塾や予備校でも既に行われています。

とはいえ個別の進路指導は、高校がやるべきことです。

大学受験に関しても、高校がしっかりとした授業をしていれば、予備校に通う必要はないはずです。

そもそも、高校へ通う必要はあるのでしょうか。

単に大学受験資格を得るためだけの存在になっているとしたら、本気で教育改革をすべき時代にあるのでしょう。

個別指導できる予備校が生き残る

集団塾でも個別に見てくれる予備校が、今後は生き残ります。

東大合格率が毎年1000名を超える大手の河合塾であっても、油断はできないということです。

合格保証をして問題はないのか

塾や予備校の広告を見ていると、合格や成績アップの保証をうたうケースもあります。

たとえば「成績に納得できなければ返金します!」という宣伝です。

これは問題ないのでしょうか。

たとえば金融業界では「この株は絶対に上がります」的な宣伝は法的に禁止されています。

投資にはリスクがあり、損をすることもあるからです。

100%儲かる話はありません。100%合格もないはずです。

ならば、塾で合格保証をしてよいのでしょうか。

  • 成績アップ
  • 合格保証
こうした表現は、ある意味では無責任です。

入試ではトラブルが起きがちです。精神面も含めて指導しないと、100%の合格はありえません。

一方で、不合格だった場合「塾の指導に従わないからです」と突っぱねられることもあります。

また、合格や成績アップの保証条件が結構厳しいこともあります。

合格保証をうたう塾で相談する際には、カリキュラムを確認しましょう。

スケジュール的に無理はないか、冷静に考えるべきです。

スポンサーリンク

広告を見るには、数字や文章を読み解く力が必要

広告はあくまでも宣伝です。自塾にとっていいことしか書きません。

条件や免責事項などはクレジットカードの約款のように、本当のことは小さい文字でしか書いてありません。

それでも書いてあるだけ偉いですが、しっかり読まないと、塾選びに失敗する可能性があります。

合格率の分母は?全合格者数は?

たとえば合格率は、何を分母にしているのか?それによって意味が変わります。

合格者数を述べた場合も、全合格者は何人なのか?基本的な数値も示していなければ、本当に親切な表現とは言えません。

広告の宣伝を読み解く力が必要

ただし、そうした点を読み解く力、そして注意力が、入試には大切なのかもしれません。

塾・予備校選びから受験が始まっている!

そう言われる理由がここにありそうです。

スポンサーリンク