
北日本を直撃し、多数の死者まで出した大型の台風10号が立ち去り、今日は全国的に高気圧に覆われています。今朝の天気図をみると、等圧線が長く、気圧も1,000hPa以上のところが続出!
つまり、安定した高気圧状態にあるのですが、それについては、前回の台風教室1時間目 ヘクトパスカルと気圧を知ろう!でお勉強した事から容易に想定出来る事でしょう。正に台風一過です。
ならば何故、高気圧なら天気が良く、低気圧なら天気が悪いのか?
その答えは至って簡単、空気だって、少しでも余裕を求めるからに他なりません。
目次
高気圧と低気圧の鍵を握るのは?
高気圧と低気圧の鍵は、風・地上の温度・雲の3つが握っていると言っていいでしょう。そこで、これらの関係が分かれば、自然と天候との関係も分かって来ます。
1つ目の鍵を握るのは、風
気圧が高いという事は、空気が沢山詰まっているという事です。この状況は私たち人間には快適ですが、当の空気たちにしてみれば、実に窮屈な状態です。そこで、少しでも密度の低い低気圧地帯に集団移動しようとします。その空気の動きこそが、風。気圧が低いと風が強いのは、高気圧地帯からどんどん吹き込んで来るからなんですねぇ!!
基本的に、空気は少なくなると、まるで補充するかのように、どんどん送り込まれる仕組みになっています。そして、その原理に伴い、風は気圧の高いところから気圧の低いところに吹くものである、と思ってもらえれば分かりやすいでしょう。つまり、北から南へと北風が吹いていれば、北の方が高気圧で、南の方が低気圧であるという訳です。そして、風こそが、低気圧と高気圧を左右するのです。
2つ目の鍵を握るのは、地上の温度
実は空気という物質、目には見えませんが、多量の水分を含んでいます。そのために、地上の温度によって、低気圧地帯と高気圧地帯を作ってしまいます。
地表や海面の温度が高ければ、その周辺の空気は暖められます。すると、空気中の水分は水蒸気になってどんどん上空に押し上げられて行きます。結果、私たちの住むエリアの空気は少なくなり、低気圧状態になるという訳です。
ところが、地表や海面の温度が低いと、水蒸気が作られませんから、空気が減る事もありません。そこは、いつまでたっても高密度状態!空気は自主的に低気圧地帯に移動して行くという訳です。
ただし、先述の通り、空気は少なくなると補充される仕組みになっているいます。なので、地上に空間が出来れば上空から新しい空気が降りて来て、再び埋め尽くします。この上から下へと動く大気の流れを下降気流(かこうきりゅう)と呼びます。このシステムのお陰で、高気圧状態になると天気は安定するのです。
3つ目の鍵を握るのは、雲
その代わりに、低気圧状態になると天気はどんどん不安定になります。そして先の水蒸気が上空に押し上げられます。その流れを上昇気流(じょうしょうきりゅう)と呼びます。その気流に乗って天高く舞い上がった水蒸気はどうなるでしょうか。
そう、雲になります。つまり、私たちが見上げている雲は、正しく地上から押し上げられた水蒸気の塊なのです。
低気圧になると天気が悪くなるのは何故?
では、地上の温度が高い低気圧地帯に、高気圧地帯から移動して来た風が蓄積したらどうなるでしょうか?当然、水蒸気は増える一方!上空の雲は大きくなり、分厚くなります。しかも、地上からの高度が高くなればなるほど気温は下がります。すると、今度は水蒸気の塊が冷やされます。
さあ、昔習った理科の授業を思い出してみましょう!
水は温められると気体になり、軽くなるので上空に上がります。これが気化、もしくは蒸発と呼ばれる現象です。
しかし、その気体が冷やされると、再び水になります。これを液化、もしくは凝縮と言います。
そして、その水がもっともっと冷やされると氷になります。これが凝固です。
これを空に当てはめると・・・?
空気が地上で暖められ、気化して天空に上ります。そして、雲が出来ます。
その雲が冷やされ、液化して地上に落ちて来ます。これが『雨』です。
さらに、もっともっと冷やされると凝固し、雪・ひょう・あられとなって降って来るという訳です。
という事で、低気圧になると、自然と風が吹き込み、水蒸気が出来て雲が増え、雨や雪が降ります。いわゆる、悪天候というものです。そして、この状況を更に悪くしたとが台風だという訳!
しかし、流石に台風というのは、そう簡単に発生するものではありません。そこで次回は、台風のメカニズムと、雨や風の強さをお勉強しましょう。
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