
毎日洗濯していますか。その際、洗濯表示を見ていますか。
上手く洗えない、洗濯で失敗した!そんな経験も多いでしょう。
それは表示に従って洗わないことが原因かもしれません。
平成28年12月から、衣類の洗濯表示が変わります。
これを機会に、洗濯の方法を考え直してみましょう。
目次
洗濯表示とは
洗濯機に衣類を突っ込んで、ただ回しているだけの人もいますね。
とはいえ洗濯表示とは何か?
衣類には必ず、裏や下、端などの目立たない箇所に
数センチ程度の小さな布切れが縫い付けられています。
そこに製造会社名、製造国名、素材の種類や割合、そして
「洗い方(温度)」「塩素漂白の可否」「アイロンの掛け方」
「絞り方」「干し方」などの記号が描かれています。それが洗濯表示です。
中には、身体に触れると痒くなる!
そんな理由から、買ったら直ぐに切ってしまう人もいますね。
とはいえ捨てる前に、記号を確かめておきましょう。
下着やタオルにも付いていますよ。
何が変わるのか:改正の概要
消費者庁は、平成27年3月31日にニュースリリースを出しています。
タイトルは、
「家庭用品品質表示法に基づく繊維製品品質表示規定の改正について」
これだけでは、何が何だかわかりませんね。そこでサブタイトル
「-衣類等の洗濯表示が変わります-」
これで何となく、わかってくるでしょうか。
改正の概要は、日本工業規格JISを新しくするので、
それに従い、消費者が扱う衣類の洗濯表示を改めましょう!
注意したいのは、これまでの表示法を単に書き換えるのではなく、
新しい表示に刷新する!実際に記号は22種類から41種類に増えます。
消費者庁はニュースリリースの中で「新しい洗濯表示に変わることによって、
一般消費者の利便性の向上が期待できます」このように言い切っています。
本当でしょうか?とはいえ日本人は慣れてしまえば大丈夫です。
なぜ早く通知を出したのか
ニュースリリースが出たのは、実際に改正される1年8カ月も前です。
当時は新聞紙上などを賑わしましたが、遠い先のこと?
ほとんどの人は見過ごしていたでしょう。
ではなぜ、そんな前に通知をするのでしょうか。忘れさせるため?
ではなく、衣類製造業者や洗濯業者が事前に対処するためです。
明日から変えます!と突然言われても、
消費者にとっては良いでしょうが、業者にとっては困ります。
衣類のラベルを付け替えるのは大変です。
クリーニング屋さんも、急には覚えられないでしょう。
言い換えるとニュースリリースは業界向けという意味があります。
とはいえ年末が迫る12月に改正されると?
自宅でクリスマス用の衣装を洗濯する際に失敗する?
ただし基本的な洗濯の方法は変わりません。安心しましょう。
改正する目的は、国際化の流れです
そもそもなぜ今の時期に洗濯表示を改正するのでしょうか。
改正の経緯としては、国際化の流れがあります。統一するためです。
つまり海外からも衣類は輸入されていますし、輸出もしています。
言い換えると、メイドインジャパンの服はどれだけあるか。
例えば安価な中国や東南アジア製品があります。
とはいえ日本向けであれば、従来通りの表示で良さそうです。
しかし衣類メーカーは、日本だけを相手にしているわけではありません。
一方で欧州などの高級衣類は、製造国の表示を付けているでしょう。
それを日本人が見て理解できるのか?
もちろん高級品ならクリーニングに出すから大丈夫!
ただし衣類業界でもガラパゴスになってしまえば、
日本企業の製品は海外に売れなくなり、デフレから抜け出せない?
世界的な大きな問題があるのでしょう。
これを見れば一目瞭然!改正の詳細:どこに気を付けるべきか
これまで洗濯表示を見たこともなく、今後も見る気のない人は、
我が道を通せばよいでしょう。
これまでも問題がなければ、今後も問題はないかもしれません。
とはいえこれを機会に洗濯表示を見直してみましょう。
せっかく洗濯機も機能的になっています。おしゃれに目覚めるかも?
そこで主なポイント、気を付けるべき点について解説しましょう。
なお以下では、これまでの表示を「旧JIS」以後の表示を「新JIS」と書きます。
1.洗い方が細かくなった
新JIS洗濯表示 洗濯(一部抜粋) | ||
---|---|---|
![]() |
最高洗濯温度 | 95度 |
洗濯機の操作 | 普通 | |
すすぎ | 普通 | |
遠心脱水 | 普通 | |
![]() |
最高洗濯温度 | 40度 |
洗濯機の操作 | 弱く | |
すすぎ | 弱く | |
遠心脱水 | 弱く | |
![]() |
最高洗濯温度 | 30度 |
洗濯機の操作 | 非常に弱く または手洗い |
|
![]() |
最高洗濯温度 | 40度 |
洗濯機の操作 × | 洗濯機で洗わないでください 非常に弱い手洗いのみ 取り扱い注意 |
|
![]() |
家庭での洗濯禁止 |
第一のポイントは、洗い方の表示が細かくなりました。
用語も変わります。つまり旧JISでは「洗い方(水洗い)」でしたが
新JISでは「洗濯処理」となりました。洗濯機が主流になったからでしょう。
なお旧JISでは7種類であり、長方形の中に限界温度が記されていました。
一方新JISでは14種類へと倍増し、洗面器に水を張った記号となり、
中に、使う水やお湯の限界温度が示されるようになりました。
さらに温度設定が細かくなり、かつ
「洗濯機で洗濯ができる」「洗濯機で弱い洗濯ができる」そして
「洗濯機で非常に弱い洗濯ができる」などと細かい指示になります。
これも洗濯機が多機能になったことが関係していそうです。
また旧JISでは「水洗いはできない」これが新JISでは「家庭での洗濯禁止」
細かい指示はよいのですが、そもそも家庭で洗濯する際に、
50度以上のお湯を使うことはあるのでしょうか?
クリーニング業者などを対象にしている部分ですね。
2.タンブル乾燥の表示が追加された
新JIS洗濯表示 タンブル乾燥 | |
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![]() |
タンブル乾燥可能(排気温度条件80度) |
![]() |
タンブル乾燥可能(排気温度条件60度) |
![]() |
タンブル乾燥禁止 |
新JISでは「タンブル乾燥」の表示が追加されました。
とはいえタンブルとは何か?いわゆる乾燥機のことです。
こちらも家庭用乾燥機の普及が要因でしょう。
記号の種類は3つです。「タンブル乾燥ができる」
「低い温度でのタンブル乾燥ができる」「タンブル乾燥禁止」
乾燥まで全自動になる洗濯機の場合は、チェックしておきましょう。
セーターが縮んだりしたら、ショックですよ。
3.絞り方の表示がなくなった
追加されるのがある一方で、なくなる表示もあります。
それが「絞り方」です。
旧JISでは2種類、「弱く絞る」か「絞ってはいけない」です。
新JISでは、必要に応じて「弱く絞る」などと付記されるようです。
また後述の「自然乾燥」にある「ぬれ干し記号」が含意します。
4.干し方(自然乾燥)の表示が細かくなった
新JIS洗濯表示 自然乾燥 | |
---|---|
![]() |
つり干しがよい |
![]() |
日陰のつり干しがよい |
![]() |
ぬれつり干しがよい |
![]() |
日陰のぬれつり干しがよい |
![]() |
平干しがよい |
![]() |
日陰の平干しがよい |
![]() |
ぬれ平干しがよい |
![]() |
日陰のぬれ平干しがよい |
※ぬれ干しとは、洗濯機での脱水や、手でねじり絞りをしないで干すこと |
洗濯の方法も大切ですが、干し方によって違ってきます。
天日干しが衛生的なように思えますが、色褪せたり縮んだりします。
とはいえ自然乾燥は日本独自の洗濯習慣なのだとか?
ちょっと高級な輸入衣類なら、天日干しはご法度ですね。
ではどのように表示が変わるのでしょうか。
(1)用語を「干し方」から「自然乾燥」に変更します。
(2)記号が4階から8段階に増えます。
つまり単なる「つり干し」に「ぬれつり干し」が加わります。
上述した「絞り方」がなくなった分が、ここに現れています。
具体的に見ると、旧JISでは服を実際に干している絵でした。
新JISでは正方形に棒が数本引かれたパターンです。
パッと見ただけでは、意味不明です。気を付けましょう。
詳細は、ウェブサイトのPDFファイルを見てほしいですが、
簡単に言うと、縦棒1本が「つり干し」、横棒1本が「平干し」
縦棒2本が「ぬれつり干し」、横棒2本が「ぬれ平干し」
そして日陰に干す場合は、左上に斜め棒が1本あります。
5.ウエットクリーニングの表示が追加された
一般の人には関係ないでしょうが
ウエットクリーニングの表示が追加されました。
こちらは注として記載がありますが、
「クリーニング店が特殊な技術で行うプロの・・・洗濯です」
あまり気にすることはないでしょうが、一応確認しておきましょう。
6.その他の表示(漂白・アイロン)
新JIS洗濯表示 漂白 | |
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![]() |
塩素系及び酸素系の漂白剤を使用して漂白ができる |
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酸素系、非塩素系漂白剤の使用可(塩素系漂白剤使用禁止) |
![]() |
塩素系及び酸素系漂白剤の使用禁止 |
新JIS洗濯表示 アイロン | |
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![]() |
底面の最高温度 200度 |
![]() |
底面の最高温度 150度 |
![]() |
底面の最高温度 110度 スチームアイロンの使用は危険です。 |
![]() |
アイロン掛け、スチーム処理できない。 |
服が長持ちしますよ
いちいち衣類の洗濯表示を確認するのは面倒ですね。
とはいえ洗濯で失敗したくないなら、チェックしましょう。
もちろん今まで通りの衣類を使うなら、特に問題はありません。
ただし新しい素材の服にチャレンジする際は、気を付けたいですね。
洗濯機が進化して、家庭でスーツが洗える時代ではありますが、
ちょっとした気遣いで、お気に入りの服が長持ちしますよ。
参考:Youtube 新しい洗濯表示 ~これさえ覚えれば大丈夫!~