
先週末の4月14日から16日に掛けては、熊本地震からちょうど1年という事でした。
阪神淡路大震災の1.17があって、東日本大震災の3.11があって、熊本の4.14と4.16がある。
これを見ると、正しく住むならここ!震度5以上の地震の少ない都道府県はどこ?で検証したように、北から南まで、大地震の来ないところなどないのだという事を改めて痛感させられます。
目次
春の夜空にもダイヤモンドは輝いている!
という事で、今日は希望の光を照らす冬の星たち ~1.17「阪神淡路大震災によせて」~に続く夜空のお話!恐らく、熊本の人たちに希望の光を与えてくれたであろう春の星たちをご紹介しましょう。
上記の1月の記事の中で、冬の夜空には大三角形があって、ダイヤモンドが輝いているという話をしました。
実は、それと同じように、春の夜空にも大きな三角形があって、ダイヤモンドが輝いているのです。
まずは北斗七星を見つけよう!
春のダイヤモンドを見付けるためには、まず北斗七星を見付けなければなりません。
とは言っても、実はこの北斗七星、星座ではないんですね。
皆さん、今日の今日まで、あの7つの星で構成された北斗七星を一つの立派な星座だと思っていませんでしたか?
北斗七星は星座ではない!!
北斗七星はその名の通り、7つの星で柄杓のような形を作っているため、確かに一つの星座に見えます。
ところが、実際は大熊座という星座の一部!よく見ると、その先には熊さんのボディーがちゃんと描き出されています。
そう、北斗七星は、熊の腰からしっぽに当る部分なのです。
ただ、熊野胴体の部分を構成している星々が全て3等星以下なのにも関わらず、何故かしっぽの部分だけは、6つの2等星と1つの3等星から構成されています。
そのため、その部位だけがやたらめったら目立ってしまうものと思われます。
それにしても、この熊、この広い宇宙の中で、たった60個しかない2等星のうちの10分の1を独り占めして自分のしっぽを作っているのです。
かなり我が儘と言いますか、実に贅沢です。そのため、大昔の北米の先住民たちは、北斗七星そのものが森の妖精によって空に放り投げられた熊。
しっぽが長いのは、その杜の妖精が放り投げる際に、しっぽを掴んでブンブン振り回したからだと考えられていたそうです。
北斗七星のエトセトラ
そんな北斗七星には、アメリカ以外でも沢山の神話や言い伝えがあります。
中でも、車に見立てる国が妙に多いのが大きな特徴の一つだと言えるでしょう。
バビロニアでは荷車。漢の時代の中国では、帝車に例えられました。
さらに、エジプトでは、古代神話に登場する神の一柱「オシリス」の車。
イギリスでは、アーサー王の愛車だと言われていたと言います。
しかし、その一方で、お隣韓国には、歪にゆがんだラインを1軒の家と見立て、その家の息子が斧を振り上げ、家を建てた大工を追いかけているところへ、これはいかんと、慌てて一家の主である父親が息子を追いかけだしているシーンだという民話も残されています。
また、アラビア地方の一部の地域では、北斗七星を棺桶とし、それを引く3人の悲しみに泣き叫ぶ女性に喩えられた事もあるとか・・・。
けれど、その形状から、やはり柄杓やスプーンなどに喩えられる事が圧倒的多数。
そこで、中国語で水量を量る柄杓、「枡」の事を意味する「斗」という字を使い、北の空に浮かぶ枡のような7つの光星で構成された星「北斗七星」という名が定着したようです。
春の第曲線を引こう!
そんなこんなの北斗七星は、1年中見える星ですが、最もよく見えるのが今の時期。
そして、この北斗七星と同様、春から初夏に掛けてが一番美しいとされるのが「乙女座」と「牛飼座」です。
そこで、この3つの星を見つけ、「春の大曲線」を引くのが次なる作業です。
まずは牛飼座から・・・
ネクタイのような形をした牛飼い座は、日本列島が梅雨入りし始める晩春から初夏に掛けてが一番の見頃であるため、そのメインスターである0等星、「アルクトゥルス」には、各地方ごとに露に因んだ呼び名が付けられています。
例えば、東京近郊では“五月雨星”。
愛媛県では“雨夜の星”。
お隣の高知県では、手繰りの網を四丈引いた頃に昇る星という事から、“四丈星”と呼んでいます。
中でも最も特徴的なのが、岐阜県の“狗賓星(ぐひんぼし)”でしょう。
「狗賓」とは、オオカミの姿をしていながらも犬の口を持つと言われるカラカサ松に住む天狗の事。
どうやら岐阜地方では、梅雨の晴れ間にカラカサ松の梢に見え隠れする赤い光を、ちょっと奇妙な天狗に見立てたようです。
さらに、遅い春を迎える東北地方の一部では、“鳩星”と呼ばれ、警告ランプのような役割も担っています。
この星が出始める季節になると、山から山鳩が下りて来て、田畑を荒らし始めるのでご用心と言う訳です。
されど、やはり本州では、麦が熟れる頃に最も美しく輝くところから、“麦星”や“麦熟れ星”、“麦刈り星”などと呼ばれる事が多いようです。
とは言え、本名のアークトゥルスは、ギリシャ語で“熊の番人”という意味。
その名の通り、大熊座の後ろを常にくっついて回っています。
そのお陰で、探すのは至って簡単!北斗七星の柄杓の柄の部分の3つの星を東に延長していくだけです。
オレンジ色に輝く宇宙で4番目に明るい星なので、すぐに見つかる事でしょう。
次に探すは乙女座!
次に、牛飼座から東南にカーブを延長して行き、乙女座に入ります。目印は、メインスターの「スピカ」。
白っぽく輝く星です。
この乙女座には、まるで白雪姫もどきの素敵な伝説があります。
でも、話せば長くなるので、それはまた、後日のお楽しみ。
取り敢えずここでは、青白く輝く女性星だという事だけお伝えしておきましょう。
それに対し、オレンジ色に輝くアークトゥルスは、情熱的な男性の星!
実はこの2つの星は婚約しているらしく、今アークトゥルスは、1秒=3600分の1度移動するペースで、年に2.3秒ずつスピカに迫っています。
これは星の動きとしては非常に大きな固有運動で、5万年後にはスピカのもとに辿り着き、晴れて夫婦となる計算になるのです。
春の大曲線の完成!
空の上でも遠距離恋愛が繰り広げられているなんて、素敵な話ですよね。
でも、今はまだまだ2つの星の間にはそれなりの距離があります。そのお陰で、私たちは美しい天体ショーを楽しめるのです。
出発地点となる北斗七星の湾曲をそのままに、東のアークトゥルスを通り、南東のスピカまで行くと、1本の曲線が繋がります。
そして、さらにそれを伸ばすと、そこにあるのが4つの星が台形状に並んでいる「烏座」。こちらも全て3等星ですから、見つけるのはさほど難しくないでしょう。
この北斗七星から烏座までを結ぶカーブを「春の大曲線」と呼び、これからの季節、夜9時をを回ると北東の空で満喫出来るようになります。
季節事の大三角形やダイヤモンドはありますが、こうした曲線美が見られるのは春だけ!
是非とも大いに楽しんで頂ければと思います。
そして、希望の光を照らす春の星たち ~4.16「熊本地震によせて」(後編)では、いよいよ春の大三角形とダイヤモンド作りに挑戦です。