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アメリカと北朝鮮の舌戦が止まりません。2017年9月の国連総会でも、非難の応酬でした。そこに安倍首相も参戦しています。危険な状態です。

一方で同時期に核兵器禁止条約への署名が始まりました。50か国が署名した段階で発効しますが、核兵器保有国や日本は署名しません。唯一の被爆国と謳う日本がなぜ署名しないのか?

そこで核兵器を将来的に廃絶できるのか?背景を含めて考えていきましょう。

核兵器禁止条約の署名が始まりました

核兵器禁止条約とは、核兵器の使用は当然ですが、開発、実験、製造、備蓄を含めて全面的に禁止することを目指す国際条約です。ただし原子力発電など平和利用は除外する?抜け道になりそうです。

元は2007年、マレーシアとコスタリカが共同提案しました。どうしてこの2国なのでしょうか?そして2017年に122か国・地域の賛成によって採択されました。ただし現核兵器保有国と日本は賛同していません。

2017年9月、署名が始まりました。50か国が批准し、その後90日経過すると、実際に条約が有効になります。すなわち事実上、既に発効したと同然です。小国であれば切に望んでいるからです。

国連で使われた文書は、国連公用語である英語、フランス語、スペイン語、ロシア語、アラビア語、中国語などでも作られますが、同条約の公的な日本語訳はありません。外務省は作製しないようです。かたくなな態度です。

核不拡散条約とは何か

核兵器禁止条約は理想ですが、現実は難しいでしょう。つまり既に持っている国が簡単に廃棄するとは思えないからです。とはいえ核兵器をこれ以上増やさないようにする約束があります。それが核不拡散条約です。

1.目的は核兵器保有国を増やさないことです

「核兵器の不拡散に関する条約」(Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons:NPT)は、核拡散防止条約、核不拡散条約とも呼ばれますが、1963年に国連で採択されました。

その目的は、もちろん核兵器の保有国を現在以上に増やさないことです。ちょっと上から目線の条約です。つまり既に持っている国、具体的にはアメリカ、当時のソ連(現ロシア)、イギリス、フランス、中国の保有は認めるからです。

言い換えると、核保有国を特別扱いすることが、本条約の隠された本当の目的です。

2.加盟国は190か国です

誰が考えても大切な条約であることはわかります。そのため既に190か国が締結しています。イラクも加盟していますし、旧ソ連のウクライナやカザフスタン、そしてベルラーシは、核兵器をロシアに渡して、非保有国として加盟しています。

特筆すべきは南アフリカ共和国です。持っていた核兵器を廃棄して、1991年に加盟しました。持たない方が有利だと判断したのでしょう。英断です。

3.未加盟国は4か国あります

加盟していない国も少数ですが存在しています。つまりインド、パキスタン、イスラエル、そして南スーダンの4か国です。いずれも紛争を抱えている国です。

表向きは明らかにしていませんが、インド、パキスタン、イスラエルは、事実上核兵器保有国と考えられています。また南スーダンは2011年に独立した新しい国です。

一方で北朝鮮は、1993年に核開発疑惑が生じ、国連からの査察に抵抗して同条約からの脱退を表明しています。その時にしっかりとしていれば、今のような事態はなかったと言われますが、後悔先に立たずです。

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米ロ間の条約もある

核兵器の保有合戦は、東西冷戦時代の産物です。そこでアメリカと当時のソ連、今のロシアとの間で、核兵器の削減に関する約束があります。それは戦略兵器削減条約(Strategic Arms Reduction Treaty)通称STARTです。

最初は1991年に調印されました。現在は2002年に調印されたモスクワ条約と名前が変わっていますが、NEW STARTと呼ばれており、内容はほぼ同じです。

戦略兵器とは遠回しな言い方ですが、具体的には大陸間弾道弾、つまり長距離ミサイルのことです。すなわち核兵器があったとしても、相手国まで運ぶ技術がなければ事実上無力だからです。

そのためSTARTでは、核兵器の運搬手段である、大陸間弾道弾、長距離爆撃機、潜水艦発射ミサイルの上限保有数を決めています。以後徐々に減らしていきましょう!そうした協定です。

核兵器とは

禁止すべき核兵器とは、実際にはどんな兵器なのでしょうか。

1.大量破壊兵器

大きな概念として大量破壊兵器があります。ここには核兵器(Nuclear)、生物兵器(Biological)、化学兵器(Chemical)が入ります。併せてNBC兵器と総称されます。生物兵器とは病原菌などをまき散らします。化学兵器は毒ガスです。


このうち核兵器とは、核分裂または核融合反応によって生じるエネルギーを利用した兵器と定義されます。具体的には原子爆弾、水素爆弾、中性子爆弾に分かれます。さらにそれを搭載する弾道ミサイルを含めることがあります。

2.原子爆弾

広島と長崎に落とされたのが原子爆弾、いわゆる原爆です。これはウランやプルトニウムの原子核が分裂する際に生じるエネルギーを利用した爆弾です。基本的に原子力発電と同じ原理です。

爆発の威力としても脅威ですが、放射線による後遺症の方が重大と考えるべきでしょう。それが、規模で言えば東京大空襲とも変わらないにもかかわらず、原爆が特別視される理由です。

3.水素爆弾

原理としては原爆の逆、つまり水素原子同士が融合する、くっつく、核融合する際に生じるエネルギーを利用する爆弾です。太陽が光り輝く仕組みと同じです。破壊力は原爆の10倍以上です。東京の中心に落ちれば、日本は壊滅的です。詳細は下記を参照してください。

4.中性子爆弾

あまり聞かない名前ですが、中性子爆弾もあります。基本的な構造は原爆や水爆と同じです。何が違うのか?爆発後の中性子の数です。殺傷能力はこちらの方が強いと考えらえています。

中性子とは、原子核にある粒子の一種です。陽子や電子とは違い電荷を持たないので様々な物質に対する透過力があります。そのため金属や人体に対するダメージが強くなります。

核分裂(原爆)によって生じた中性子よりも核融合(水爆)によって生じた中性子の方がスピードは速いとされています。そのため中性子爆弾の元は水爆になります。

北朝鮮が核兵器の開発に励む理由とは

なぜ北朝鮮は核兵器開発に励むのでしょうか?その理由は、核兵器が百万人もの兵士に代わる盾(たて)の働きをするからです。

核兵器は攻撃用のイメージかもしれませんが、現実問題として核兵器を実際に打つことはできません。しかし大国アメリカといえども、核兵器を持つ国へ先制攻撃できません。アメリカ本土のみならず、同盟国の日本や韓国が被害を蒙るからです。

イラクのサダム・フセインが攻められた理由は?表向きは「大量破壊兵器を保有しているから」と言われました。しかし実際はありませんでした。だから問題?ではなく、アメリカは「イラクに大量破壊兵器はない」と知っていたから攻撃できたのです。

もしイラクに核兵器があれば、アメリカ、そして同盟国のイスラエルは無傷でいられなかったはずです。同様にシリアもミサイル攻撃を受けました。毒ガスがあるだけではアメリカに逆襲できません。北朝鮮は賢く先例を研究しているのです。

日本はどうするのか

日本は、核不拡散条約には加盟していますが、核兵器禁止条約には参加しません。その理由は、アメリカが持つ核の恩恵を受けているためです。

日本には非核三原則があります。つまり核兵器を、持たず、作らず、持ち込ませずです。とはいえ最後の「持ち込ませず」は事実上無実化しています。つまり日本に寄港するアメリカの軍艦に積まれている?沖縄の米軍基地にあると言われているからです。もちろん表立っては否定しています。

また「持たず」「作らず」も、原子力発電所を有している以上、言い訳にすぎません。つまり原爆の原料と作成能力を持っていることとほぼ同義だからです。

唯一の被爆国!そう謳うならば、率先して核兵器禁止条約に加盟すべきです。非現実的と非難する人たちもいますが、日本が本当の意味でアメリカから独立しない限り、日本は世界的に信用されません。日露交渉も当然進展しません。

核兵器廃絶!はお題目にすぎない

米ロ、米中対立、または新たな冷戦?そんな構図もありますが、連合国(国連常任理事国)といった第二次世界大戦の勝者優位、そうした構造は今も変わっていません。朝鮮半島の緊張も、第二次世界大戦後のつながりです。朝鮮戦争はまだ終わっていないからです。

国連が本当の意味で、英語の名称も含めて国際連合にならない限り、つまりUnited Nations(連合国)ではなくInternational Union(国際連合)に変えないなら、核兵器廃絶はお題目にすぎません。

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