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電磁波とは何か。なんとなくわかっているようですが、
直接見ることができないので、適当に扱ってしまいがちです。
とはいえこの世から電磁波がなくなったらどうなるのか?
そんなことはありえるのでしょうか。
良くも悪くも電磁波について知っておきましょう。

電気が流れると磁場が現れる

小学校の理科で、電磁石のことを習います。電流が流れると、磁力が発生する!
科学でありがちですが、これも意外な方法で発見されました。
1820年、電流を流す実験をしていたら、近くにあった方位磁針の針が動いた?
そこから電流が流れると磁場が現れることが見出されました。
この原理を応用したのが電磁石であり、モーターが代表例です。
見方を変えると、磁場が変化すれば周りの空間において電場が生じます。
この原理を応用したのが発電機です。
磁石を回転させるという機械的エネルギー電気的エネルギーに変換します。

電磁波とは光速で伝わる波である

1864年にマックスウェルは予言しました。つまり、
電場磁場の変化が横波として光の速さと同じくらいの速さで伝わる!
これをヘルツが1888年、実験によって確かめました。
すなわち電気磁気は同時に発生し、同時に波として伝わる。
そこで両者を合わせて電磁波と呼ぶことになりました。
光速で伝わるのならば、電磁波は光の一種なのでしょうか?
というか様々な電磁波を調べることにより、
光、言い換えると可視光線は電磁波の一種であるということがわかりました。

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波長や周波数について

電磁波の話をする際に必要な用語は、波長や周波数です。
電磁波は波なので、グラフにすると波形、いわゆるサインカーブを描きます。
サインとは、高校の数学で習った三角比のサイン(sin)です。
しかしここでは難しい話をしません。素直に波の形をイメージしましょう。
波にある山の頂点、そこから隣の頂点までの直線距離を波長と呼びます。
そして頂点から頂点まで1往復した時、1回振動したと考えます。
1秒間に振動が何回あったか、その数が振動数または周波数です。
ちなみに周波数の単位はヘルツ(Hz)です。
さっき出てきたヘルツさんの名前からとっています。
例えばFMラジオの周波数80メガヘルツは、メガが100万を意味するので、
8000万ヘルツ、すなわち1秒間に8000万回振動が起きることを意味します。
もちろん光ですから、とんでもないスピードで飛んでいきます。
これくらいの揺れがあっても問題はないのです。
なお波長は、光の速さを周波数で割れば求められます。
つまり80メガヘルツであれば、光速が30万km、3億メートルなので
300,000,000÷80,000,000=3.75(メートル)になります。

電磁波は光の一種です

さきほど光は電磁波の一種だと述べました。
では他にはどんな電磁波があるのでしょうか。

1.電磁波の波長による分類

波長が長い方、つまり周波数が小さい方から見ていくと、
次のように分類することができます。
超長波(VLF)  波長10000~100000m 周波数3千~3万Hz
長波(LF)  波長1000~10000m 周波数3万~30万Hz
中波(MF)  波長100~1000m  周波数30万~300万Hz
短波(HF)  波長10~100m  周波数300万~3000万Hz
超短波(VHF)  波長1~10m、  周波数3000万~3億Hz
極超短波(UHF)  波長0.1~1m  周波数3億~30億Hz
センチ波(SHF)  波長0.01~0.1m  周波数30億~300億Hz
ミリ波(EHF)  波長0.001~0.01m 周波数300億~3000億Hz、
サブミリ波  波長0.0001~0.001m 周波数3000億~3兆Hz
赤外線   波長0.00000077~0.0077m
可視光線  波長0.00000038~0.00000077m
紫外線   波長0.0000000001~0.00000038m
X線   波長0.000000001~0.000000000001m
ガンマ線  波長0.00000000001m以下
注1)極超短波からサブミリ波までをマイクロ波と呼びます。
注2)周波数は、赤外線より波長が長い電波に対してだけ表示されます。
注3)紫外線より波長が短い波に、明確な境界線はありません。

2.電磁波の用途

電磁波は波長に応じて様々な用途に使われています。

(1)電波

赤外線よりも波長の長い電磁波を、総称して電波と呼びます。
長波(LF)は、船や飛行機の無線に使われます。
中波(MF)は、国内のAMラジオ放送に使われます。
短波(HF)は、遠距離のラジオ放送、いわゆる短波放送に使われます。
超短波(VHF)は、テレビやFMラジオ放送に使われます。
極超短波(UHF)は、テレビ放送、携帯電話、電子レンジに使われます。
センチ波(SHF)は、レーダーや衛星放送に使われます。
ミリ波(EHF)は、レーダー、衛星通信、電波望遠鏡に使われます
サブミリ波は、近くの無線、電波望遠鏡、医療用画像などに使われます。

(2)赤外線

赤外線は、赤外線写真や映像、そして暖房器具などに使われます。
一般的に温度の高い物体、例えば太陽などから放射されます。
赤外線が物体に当たると吸収されて熱に変換されます。
そのため赤外線のことを熱線と呼ぶこともあります。
これを応用すると、誘導ミサイルなどを作ることができます。

(3)可視光線

可視光線は、私たちが目で実際に感知できる光です。
赤外線に近い方、つまり波長が長い可視光線は赤色です。
逆に紫外線に近い方、すなわち波長が短い可視光線は紫色です。
その間の波長は、いわゆる虹のように様々な色として認識されます。
人によっては多少見える波長、周波数帯が違うようです。
また女性の方が、波長の違いを見極める、
言い換えると色を識別する能力が高いと言われています。

(4)紫外線

紫外線は、いわゆるウルトラバイオレットUVのことです。
勘違いしている人も多いですが、赤外線同様に見えません。
ただし一部の動物や昆虫などでは紫外線を使って物を識別しています。
日焼けに代表されるように、
人間の皮膚などへの悪影響が指摘されるようになっています。
それを応用して、殺菌や化学反応などに使われています。

(5)X線

X線は、いわゆるレントゲン写真で使われる光線です。
透過力が強い性質を利用して、医療分野で利用されています。
ただし大量に浴びすぎると、細胞を破壊することもあります。

(6)ガンマ線

ガンマ線は、放射線の一種でもあり医療、食品分野に使われています。
X線と同様に透過力の非常に強い電磁波です。
そのため鉛などでできた厚い板ではないと進行を止めることができません。

3.応用分野は

電磁波は、もちろんラジオや携帯電話などで使われています。
さらに今後は、次のような分野における応用が期待されています。

(1)天文学

人間の目で見ることができる範囲、いわゆる光学望遠鏡には限界があります。
しかし最近の研究では、星が様々な電磁波を発していることがわかっています。
太陽などを考えれば、明らかです。一部には宇宙人の痕跡か?
そのため今後は様々な電波を利用した天文学が発展すると考えられています。
実際にX線を使った衛星などが打ち上げられ活躍しています。

(2)医療

既にX線としての利用はありますが、今後はさらに細かい波長を持つ
ガンマ線などの放射線治療が医療分野で期待されています。
とはいえ上述したように、人体への影響も少なくありません。
そのため被曝量を限りなく減らしつつ効果のある方法が
研究開発されています。

(3)通信機器

電磁波のうち電波は有限資源です。
言い換えると周波数帯をどうやって利用するか。
今後は人間を介さない機械同士の通信なども増えてきます。
そうした時に、正しい電波の活用が可能なのか、
違った視点からの検討が求められるかもしれません。

電磁波は無限なのか

人間は視覚情報に頼りすぎています。
だからこそ見えない電波について理解が進みません。
禅問答ではありませんが、見えないものを見る力を身に着けると、
これまで以上に電波を有効に利用できるかもしれません。
ちなみに人間が生きている限り、電磁波はなくなりません。
そういうあなたも、赤外線を発しながら生きているからです。

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