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今、幼虫が熱い!

チョウのマニアは成虫の標本を作ります。色合いが美しいからでしょうか。

しかし幼虫の標本は?見たことがありません。もちろん技術的な問題もあるでしょう。

とはいえ草むらや木陰に入れば、幼虫に出逢うことも珍しくありません。

幼虫をただ気味悪く思うのではなく、「それが将来どんな美しいチョウに変わるのか?」それを考えるだけでウキウキしませんか?

私たちは幼虫について知らないことが多すぎます。

言い換えると幼虫を知ることで、昆虫の生態に迫れます。

持ち運びに便利な図鑑も売れています。

家庭菜園やガーデニングを楽しみたいなら、逆に知っておくべきでしょう。

幼虫とは

ここで言う幼虫とは、主にチョウやガのこと。いわゆるイモムシです。

1.イモムシとは

チョウやガの幼虫は、通称としてイモムシと呼ばれます。とはいえイモムシとは何か?

明確な定義は難しいでしょう。

諸説ありますが、サトイモなどイモ類の害虫だったから芋虫と呼ばれるようになったようです。

サツマイモのように長細いからではないそうです。

2.幼虫には足が多い?

幼虫の形態は、円筒形で細長くなっています。

そもそも、昆虫の足は3対6本のはずですが、幼虫をよく見ると足がたくさんあります

では、幼虫は昆虫ではないのでしょうか?

昆虫は複数の節からできていますが、一番先頭が頭です。

次の3節が胸です。そこから出ている足が、本来の足であり胸脚とも呼ばれます。

それより後ろは腹です。腹は通常は10節あります。

ただし、第9節と第10節は癒合(ゆごう)しているタイプが多いです。

胸から続く初めの2節は何もありませんが、次からの4節(腹脚)、2節空いて一番後ろの1節(尾脚)に計5対10本(種によって違うこともあります)足のようなものがあります。

これはイボ足と呼ばれ、身体を支えるための仮脚です。

3.イモムシとケムシ・アオムシの違い

ケムシには毛が生えている

イモムシに似たタイプにケムシ(毛虫)もいます。両者の違いは何でしょうか?

こちらも明確な定義は難しいですが、表面に毛のようなものがあればケムシです。

すべてではありませんが、ケムシには毒を持つタイプがあります。注意しましょう。

アオムシはモンシロチョウの幼虫

ちなみに、アオムシとはなんでしょうか?

モンシロチョウの幼虫を指す用語です。

緑色ですがなのに青と呼ぶのが不思議と思うかもしれませんね。

しかし、昔は青と緑に区別はありませんでした。

緑色でも青と表現する単語は今でもあります。たとえば、青葉・青リンゴ・青信号などです。

なお、ミドリムシと言えば、昨今話題の単細胞生物、プランクトンの一種です。

4.完全変態の昆虫はイモムシ様の幼虫になる

昆虫は大きく2つに分かれます。

完全変態する昆虫と不完全変態する昆虫です。

完全変態とは

完全変態とは、卵→幼虫→さなぎを経て成虫になることです。

主に次の4目があります。

  • チョウやガなど羽に鱗粉を持つ仲間(鱗翅目/りんしもく)
  • カブトムシやテントウムシなど甲虫の仲間(鞘翅目/しょうしもく)
  • アリやハチなど大家族を作る仲間(膜翅目/まくしもく)
  • ハエ、カ、アブなど羽が2枚の仲間(半翅目/はんしもく)

これら完全変態するグループの幼虫は、イモムシのような形状をしています。

また、完全変態する昆虫は、成虫と幼虫とがまったく異なる形をしていて、エサも違います

そのため、見た目では同じ種の幼虫と成虫であるか、わからないことが多いでしょう。

不完全変態とは

一方で不完全変態をする昆虫は、さなぎの時期がありません。

そのため、幼虫も成虫とほぼ同じ形をしています。エサも同じです。

  • カゲロウ
  • カワゲラ
  • トンボ
  • バッタ
  • ゴキブリ

などが、これに該当します。

幼虫と成虫の違い

では、幼虫と成虫の違いは何でしょうか。

羽化とも呼ばれるように、羽が生えたら成虫です。

幼虫の魅力

幼虫に人々が魅了される理由は何でしょうか。

幼虫に秘められた魅力を語ってみましょう。

1.成虫と生態がまったく異なる

先にちょっと触れましたが、幼虫と成虫ではまったく生態が異なります。

エサが違う

幼虫と成虫の違いは、第一にエサが違います

チョウで考えればわかりやすいですね。

チョウの成虫は花のみつを吸います。そのためストローのような口を持っています。

一方で、ほとんどのチョウの幼虫は葉を食べます。

もちろん、植物を食べているという点で言えば、成虫と同じです。

とはいえ、幼虫は葉を噛むための口を持っています。

どうして、幼虫と成虫でこんなに形を変えることができるのでしょうか。不思議ですね。

幼虫は飛べない

幼虫と成虫の違いの第二は、飛べないことです。

だから、お母さんチョウがエサの豊富な場所に産卵する必要があります。

一部の種のチョウは卵をまとめて生むこともあります。

しかし、後述するような旺盛(おうせい)な食欲を考慮すれば、エサがなくならないようしなくてはいけません。

そのため、モンシロチョウのように1個ずつ別々に卵を産むのが合理的です。

2.驚異の食欲

食欲旺盛なアオムシ

幼虫を飼育する、もしくは庭などで常時観察してみるとわかりますが、幼虫の食欲は驚異的です。

小さな葉っぱであれば、1時間程度で完食します。

モンシロチョウを育てる場合は、大量のキャベツを用意すべきです。

フンも多い

もちろん食べれば、排泄もします。

なので、フンの量も半端ない多さです。

飼育しているとわかりますが、ケースがすぐにフンで一杯になります。

野外で観察していても、幼虫の周りに多くのフンが落ちています。

アオムシがたくさん食べる理由

どうしてこんなに食べるのでしょうか。

葉っぱの栄養量を考えれば、たくさん食べないといけない理由がわかるでしょう。

栄養の少ない葉っぱを食べて、栄養を体に蓄えなくてはいけないからです。

もちろん、たくさん食べるのでチョウの幼虫は成長が早いです。

セミは成虫になるまで7年、カブトムシも1年を要しますが、チョウは1か月ほどで成虫になります。

日々観察していてもどんどん大きくなります。

「食べる子は育つ!」を体現するチョウの幼虫は、見ていて気持ちいいです。

3.幼虫こそ虫の人生そのもの

「セミの成虫は1週間で死ぬ」塾で生徒たちにそう説明すると、「かわいそう!」と一斉に声が上がります。

とはいえ、人間を含めた脊椎動物の方が例外なのかもしれません。

大多数の無脊椎動物は、幼虫期こそが生きている期間のほとんどを占めるのです。

そもそも、成虫になる理由は何でしょうか。

子孫を残すためです。それ以外の役割はありません。

だから口が退化した成虫もいます。エサを食べている暇はないのです。

成虫は子孫を残すために、すぐに相手を見つけて交尾・産卵しなければならないからです。

これは植物も同じです。花は生殖器官であり、一生の最期に、パッと咲いてパッと散る!そうした潔さが生物にとって大切なのかもしれません。

生物相互にバランスをとるしくみが、自然界にはあるようです。

4.チョウとのギャップが萌える?

幼虫が楽しい一つの理由に、成虫とのギャップもあります。

一種のツンデレです。イモムシのような異様な姿から、カラフルで美しいチョウに変わるのです。

これに萌える人が少なくないようです。

最近は、若い女子にも幼虫の愛好者が増えています。

かういう私も、幼虫を毎日眺めています。

ネコの額にも満たない我が家の庭にも、幼虫がたくさんいます。それが大きくなるのが毎日楽しみです。

姿が見えなくなると、「鳥に食べられた?」と心配してしまいます。

それに、羽化の瞬間を見ると、自然の神秘に心を打たれます。

幼虫が成長していく過程は、子供の教育には良い教材にもなります。

5.毒に注意

こちらも上述しましたが、幼虫には一部有毒のタイプもあります。

特にケムシ系は、安易に触ってはいけません。

死ぬことはありませんが、痛さやかゆみで七転八倒する事例も珍しくありません。

ケムシたちはそうやって動きの遅い自分を守る術を持っています。

たとえば、黄色に黒い点々が目立つ体長1センチほどのタケノホソクロバは、その毛に触れると一週間以上激痛とかゆみに苦しむようです。

また、こげ茶で目立ちにくいですが、コンクリートを好むと言われるヤネホソバも、激痛を伴う毒があると考えられています。

突然上から落ちてくることもあるので、注意しましょう。

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幼虫図鑑が豊富になりました

これまで昆虫図鑑と言えば、成虫の写真しか載っていませんでした。

しかし、最近は幼虫に特化した図鑑も登場しています。

今回はそんな幼虫図鑑の中でも使いやすい、新書サイズの本を紹介しましょう。

1.SBクリエイティブ「イモムシのふしぎ」

2014年初版、本体価格1,200円、同社サイエンス・アイ新書の一冊です。

イモムシの入門的な本として使えます。

主要な幼虫について、詳しい解説が掲載されています。

その一方で専門書ではないため、初心者でも完読できるのでおすすめです。

2.文一総合出版「イモムシハンドブック」

薄くて手軽に読める本です。

最初は1冊だけでしたが、好評だったか、いまでは同2、同3まで出てシリーズ化しています。

2010年初版、税別1,400円、幼虫・イモムシでは先駆的な本でした。

一番の特徴は、目次に幼虫の写真を使っていることです。

そもそも名前を知らないから調べるのに、昆虫名の目次では調べようがありません。

その不満を目次に幼虫の写真を使うという、逆転の発想で解決しました。

出版当初から個人的に注目していた本です。

3.学研「ライブポケット4 幼虫」

学研から出版されている幼虫図鑑です。

漢字にルビが付けられており、小学生でも使えます

2016年初版、税別980円なので手頃なお値段です。

この本には成虫の写真も載っているので、このイモムシが将来どんなチョウやガになるのか?それも学べます。

こちらも目次に幼虫の写真が使われています。

また植物別に、その植物にいそうな幼虫は何か?そうした観点から調べることも可能です。

子供が小さいうちから虫嫌いになるのを防ぐのに使えそうな一冊です。

幼虫には人生が凝縮されています

先に説明したとおり、昆虫の生きている期間は、幼虫である期間がほとんどを占めています。

つまり、幼虫こそ昆虫の生活そのものです。

幼虫の多くは生育過程において病気になったり、鳥などの天敵に食べられる?ハチに寄生される!

前途多難なできごとがたくさん起こります。

病気はともかく、天敵から逃れるために毒々しい色や目玉のような模様をつけて、彼らなりに自然とたたかっています。

そのため、幼虫は弱肉強食の教材としても使えます

  • 自分が生まれてきたこと
  • 無事成長できたこと

幼虫を観察することで、これらのありがたみを実感します。

小さなことで悩んでいる人は、ぜひ幼虫を探してみましょう。

まさに人生が凝縮されています。

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