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スポーツ大会で配布されたTシャツを着用していた人達が、皮膚に異常をきたしました。何人かは重傷と診断されたようです。

原因は、インクに含まれていた薬剤でした。

有害な殺菌剤や消毒剤に触れることで皮膚に炎症を起こすことがあります。

これを化学熱傷と呼びます。

身近な場所で起きている可能性もあります。身の周りの製品を今一度確かめてみましょう。

熱傷とは

熱傷(ねっしょう)とは、やけど(火傷)と同じことです。その原因によっていくつかのタイプに分かれます。

1.熱によるやけど

日常的に起きるのが、熱い物に触れた際に生じるやけど、この原因は熱です。

人間の細胞は熱に弱いので、溶けます。特にタンパク質は形が変わってしまいます。

肉を焼くと固くなるのと同じ現象です。

もちろん日焼けもやけどの一種です。

適度であれば小麦色で健康そう?焼きすぎるとヒリヒリして痛みます。

紫外線は悪影響の方が大きいと考えらえていますので、ほどほどにしましょう。

2.低温やけど

高温のてんぷら油が跳ねた!これはわかりやすいやけどですが、低い温度でもやけどになります。

最近ありがちなのは、使い捨てカイロを直接皮膚に貼り付けた場合です。

皮膚の細胞がじわじわと熱によってダメージを受けます。

そのため自覚症状のないことが多いようです。

湯たんぽや電気毛布、こたつに入っているだけでも可能性があります。特に子供や高齢者は注意すべきです。

3.化学熱傷

結果は一般的なやけどと同じです。皮膚の表面や組織が溶けてしまいます。

その原因として化学物質があります。この場合が化学熱傷です。

強い酸性またはアルカリ性の物質には注意すべきです。

さらに人体用以外の消毒剤、農薬なども直接触れないようにすべきです。

化学熱傷に陥る事例の多くは工場や建築現場の作業員です。特殊な薬剤を多用するからです。

とはいえ、後述するように、身近にも危険な物質があります。気を付けましょう。

熱傷のレベル

熱傷にはいくつかの段階があります。

第1度

紅斑(こうはん)、赤くはれることです。日焼けなどでありがちです。

第2度

水泡、びらん、潰瘍(かいよう)。水ぶくれになります。痛いです。

第3度

壊死。早急に医療機関で治療しましょう。皮膚移植などが必要です。

第4度

炭化。既に燃えカス状態なので回復不可能です。

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接触皮膚炎

化学熱傷と似た症状に接触皮膚炎があります。

こちらは主にアレルギーが関係していると考えられていますが、結果的に化学熱傷との明確な違いはありません。原因物質が異なるだけです。

具体的には、

  • 金属やゴムによるアレルギー
  • 化粧品や塗り薬によるかぶれ
  • 山芋やマンゴーに触れた際にも異常をきたす

といった事例が少なくありません。

最近は日光過敏症などもあります。

具体的な化学熱傷の事例

1.塩素系

(1)塩素

塩素は水道などの消毒剤として使われます。

たとえばプールにも入っていますが、手がかゆくなったりした経験はないでしょうか。

体質にもよりますが、塩素は皮膚に刺激を与えます。

もちろん塩素ガスになった場合も危険です。こちらは毒ガスと同じです。

体内の活性酸素と反応して塩酸が生じ組織を溶かします。吸引した際も、気道を傷めます。

まぜるな危険」と書かれた製品の取り扱いには注意しましょう。

参考「春でも油断できませんよ。風呂場に潜む7つの危険

(2)次亜塩素酸ナトリウム

次亜塩素酸ナトリウムは漂白剤として一般的に使われる薬剤です。

洗濯に使用している分には問題ないでしょうが、決められた用量を超えたり、すすぎが不十分の場合には、衣服を着た際に皮膚炎を起こすことがあるようです。

また2013年、首にぶら下げて使う空間除菌剤で被害が出ました。

中に含まれていた次亜塩素酸ナトリウムの錠剤が汗と反応して皮膚を刺激したようです。

症状として赤くただれてしまいました。同製品は早急に回収されました。

2.石油系

(1)ドライクリーニング

ドライクリーニングから返ってきた服が、石油臭いことはありませんか。

この場合は、直ぐに着用してはいけません。

石油系溶剤を使っているため、皮膚に触れると炎症を起こすことがあります。特に人工皮革系に多いとされています。

できれば、クリーニング屋さんにお願いし、除去してもらいましょう。

もしくは、ビニールから出した後、風通しの良い場所に1週間程度置きましょう。揮発性なので抜けてしまいます。

(2)灯油

ストーブに使われる灯油でも化学熱傷の可能性があります。

灯油が皮膚にかかってしまいかゆくなることはありませんか。また知らない間に衣類へ付着し、長時間皮膚に触れることで炎症を起こす事例があります。

燃料系で言えば、ポケットに入れていたガスライターから漏れ、これも皮膚炎を起こすことがあります。

特にお尻のポケットに入れる人は注意しましょう。ライター自体が破損しやすくなります。

3.接着剤

(1)ホルムアルデヒド

まつげエクステ用に使われていた接着剤にホルムアルデヒドが含まれていた事例があります。

ホルムアルデヒドは有害物質であり、皮膚に触れると炎症を起こすことが少なくありません。

参考「【注意情報】まつげエクステ用接着剤からホルムアルデヒドが出た?

なお2009年、東京都の調査によれば、縮みやシワを防ぐ目的から、ホルムアルデヒドを使用した衣服や帽子、毛皮付き髪留めなどがあったようです。

安い製品ほど気を付けた方が良さそうです。

(2)瞬間接着剤

危険防止のために軍手を履いて瞬間接着剤を利用した人が、やけどを負いました。

こちらは純粋な熱によるやけどの可能性が大です。

企業側の説明によれば、瞬間接着剤は空気中の湿気と反応するようです。

そのため軍手などの繊維に接着剤の成分が急速に吸収され、空気と触れる面積が広がることにより高熱を発したと考えられています。

瞬間接着剤を使用する際には、ゴム手袋など吸収性が弱いものを使いましょう。

また衣類など皮膚に触れやすい場所に塗布してもいけません。

4.アルカリ性薬剤

(1)アンモニア

学校の理科実験を除き、日常生活において直接アンモニア水に触れることはないでしょう。

しかし、アンモニアは有毒物です。

もちろんアンモニアを主成分にした虫刺され薬で違和感を覚える人は、注意しましょう。

参考「夢の燃料?アンモニアは再び救世主となれるのか

また園芸用の肥料や衣類の染色剤に含まれていることがあります。

使っていて手が荒れたり赤くなった場合には、直ぐに使用を止めて医師の診察を受けましょう。

(2)石灰

2017年4月、川崎市の河川敷を走っていた人達が化学熱傷を訴えました。多量の石灰が水たまりに含まれていたようです。

学校でもライン引きに使われている消石灰、水酸化カルシウムは強いアルカリ性です。皮膚に長時間触れていると炎症を起こすことがあります。

ただし石灰が皮膚に着いた際、水で洗ってはいけません。

水と反応すると高温になります。そこから熱性やけどになることもあります。

なお、海苔やお菓子の袋に入っている乾燥剤で石灰が主成分のタイプは、水気のある場所に捨ててはいけません。

最悪の場合、火事になる可能性もあります。

5.消毒薬

(1)過酸化水素水

消毒薬は、傷口に塗るものです。とはいえ見方を変えれば有毒です。

病原菌を殺す働きがあるということは、人体にも少なからず影響はあります。

使用上の注意に従って、用量用法を間違えないようにしましょう。

参考「毒と薬の違いは何か?人間に役立てば薬!有害なら毒

昨今ではあまり使われなくなりましたが、過酸化水素水は現在でもオキシドールとして消毒目的で売られています。

基本的な作用は、酸化です。健康な皮膚に触れると炎症を起こすこともあります。取扱いには注意しましょう。

(2)ヨード系

こちらもかつてよく使われていたのがヨード系消毒薬です。

その代表は褐色のヨードチンキです。

また刺激性を弱めたポビドンヨードがうがい薬などで利用されています。

ヨードは細菌のタンパク質合成を阻害するので強力な殺菌作用があります。

そのため濃い液体が皮膚に着くと同様に腐食作用を示します。決められた用量を守りましょう。

予防と対策はあるのか

化学熱傷を予防する方法は、化学薬品を使わないことです。

とはいえ現代社会では、どんな物質が使われているかわかりません。

上述したTシャツの事例では、本来使ってはいけない物が使われていました。これでは防ぎようがありません。

そのため何らかの異常が生じたら、可及的速やかに使用を止めることです。

化粧品や洗剤などでもまれではないからです。とはいえどれが原因かわからないことも多いでしょう。

そういう意味でも、早めに医療機関で受診しましょう。

その際には、思い当たる物をリストアップしましょう。医師なら関連情報を持っているので、原因特定に近づきます。

化学熱傷は身近な問題です

化学熱傷は、身近な製品によって起きることがまれではありません。

もちろん肌質など個人差もありますので、皮膚が弱い人、アレルギーがある場合には注意しましょう。

自覚症状がないことも多いので、日頃から鏡をよく見てチェックしましょう。

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