
雪とは何か?なぜ降るのか?
子供にとって雪は楽しいですが、現実を知る大人にとっては、電車が遅れたり滑って危ないのでやっかいです。
2017年12月からスタートする冬は、例年以上に雪が多いと予測されています。
気象庁は2017年12月11日「ラニーニャ現象が発生しているとみられる」と注意喚起しました。
早めに雪対策をするためにも、雪が降る原理について考えてみましょう。
※小学生にもっとわかりやすい記事ができました→「どうして雪は降るの?雪が降る条件としくみをわかりやすく解説します」
目次
雪が降る原理
1.まず雲ができます
晴天でも雪が舞うことはあります。天気雨のような状態です。
とはいえ雪の元になる雲がないと、基本的に雪は降りません。そこで雲ができる原理について考えてみましょう。具体的には次の通りです。
- 地上付近の空気が温められて膨張する
(固体、液体、気体に関わらず、物は温まると膨張し、冷えると収縮します) - 周辺の空気より同じ体積で比べた重さが軽く(密度が小さく)なるので上昇する
(気球が浮く原理です) - 上空へ行くほど気温が下がるので空気中の水蒸気が冷やされて水滴になる
- この水滴が大量に集まった状態が雲です
なお詳細は、下記ページを参照してください。
参考「雲とは何か?雲を見分けられれば災害が起こるかどうかもわかりますよ!」
2.地上を漂っていれば霧(きり)や靄(もや)
極端な言い方ですが、雲は液体です。水が浮かんでいます。不思議ですがなぜでしょうか?
お風呂の湯気(水蒸気が冷えて白く見えるとても小さな水滴)と同じです。湯気は目の前を漂っています。
これが地表付近で見られると霧(きり)もしくは靄(もや)になります。
ちなみに視界が1キロメートル未満の状態が霧、1キロ以上先が見えれば靄と分類されます。
そのためちょっと場所がずれるだけで霧と靄が変わります。もちろん日常生活では、両者の違いを厳密にする必要はありません。
では霧雨(きりさめ)とは何でしょうか。
定義としては、雨粒が5ミリメートル以上だと雨、同未満だと霧雨になります。
霧雨と靄、霧の違いは、雨かどうかです。
つまり地面を濡らし降水量として計算できるのは雨、単に漂っているだけなら霧です。
3.雲粒(うんりゅう)が小さければ蒸発して晴れる
雲粒とは、上昇気流によって空高くに運ばれた、とても小さな水滴・氷の結晶です。
上空に溜まった雲粒が小さいと、体積当たりの表面積が広くなります。
そのため、表面張力が弱くなるので蒸発(気化)しやすくなります。
蒸発すると、雲としての状態を保てなくなるので消えてしまいます。雲として成り立つ水滴の大きさは、約0.01ミリメートルです。
水滴が小さいと、冷えた上空でも蒸発して水蒸気に戻ります。これがいわゆる晴れた状態です。
それでも細かい水滴がパラパラ落ちてくることがあります。これが天気雨になります。
ちなみに蒸発は、100℃に達しなくても起きます。これは洗濯物が乾く原理です。
100℃近くでボコボコいう現象は、沸騰(ふっとう)です。
両者を混同してはいけません。とはいえどちらも気体になる、広義の気化という意味では同じです。
4.水滴で落ちてくれば雨
雲粒の水滴が、そのまま地上に落ちてくる、これが雨です。
雨粒の大きさは様々です。特に昨今見られるような大きい積乱雲から落ちてくるゲリラ雷雨などでは、数ミリ程度の粒になります。これだと当たれば痛いですね。
ただし粒が小さいと、落ちてくる途中で蒸発して水蒸気に戻ります。これが上空で繰り返されています。
上述のように、粒が小さいと雨が落ちてくることができません。標高の高い山では雨や雪だけど、麓に降りて来ると降っていない、そうしたことがよくあります。
なお雨には2種類あります。冷たい雨と温かい雨です。
冷たい雨は、上空で水滴が凍り、氷晶(ひょうしょう)が作られます。これが落ちてくる過程で温められ液体になって地上に届くものです。日本で降る一般的な雨は冷たい雨です。
温かい雨は、熱帯地方などで起きる雨であり、上空で氷晶ができません。そのため高い雲となる前に重力の働きで落ちてきます。冷やされていないので、ぬるいシャワーのような雨になります。
5.氷の粒で落ちてくれば雪
落下の途中で氷晶がぶつかり合い、くっついたり壊れたりを繰り返します。こうしてできるのが雪片(せっぺん)です。雪片とは、落ちてくる雪のひとひらのことです。
雪は、某乳業会社のロゴみたいな結晶構造が見られます。これは雪片ができる過程で何が起きるかで決まります。
とはいえ結晶のでき方について、詳しい仕組みは解明されていません。
6.雪と雨が混じった状態が霙(みぞれ)
固体のまま落ちてくれば雪ですが、地上近くの気温が高いと、落ちてくる途中で温められ液体になります。これは上述の冷たい雨です。
雲の位置、途中、そして地表付近、それぞれの気温によって雪になるか雨になるかが決まります。
とはいえ現実にはもっと複雑であり、落ちるスピードや湿度、氷晶の大きさなどによって異なります。
地表付近はマイナスなのに雨が降る、逆に5度以上あるのに雪が降る、などもありえます。だから天気予報は難しいのです。
7.塊が大きくなれば霰(あられ)や雹(ひょう)
最近は、東京でも雹(ひょう)や霰(あられ)が降ることが増えました。これも地球温暖化による異常気象のひとつなのでしょうか。どちらも雪の粒が大きくなったものです。
雹は直径1センチ以上のものも珍しくありません。はっきり言って氷の塊なので、ガラスが割れたりします。当たり所が悪ければ怪我をします。また直径5ミリ未満なら霰になります。
大きなくくりで、固体が落ちてくれば雪、ここには霰や雹(ひょう)も含みますが、全体として雪と言う場合があります。
また六角形のような、いわゆる結晶構造をしていれば雪、単なる氷の塊なら霰、そうした分類法もあります。そのため5ミリ以上で舞っている雪もあります。
雪あられは、結晶構造を持つ雪の周りに水滴が凍りつき白くて不透明なものです。
氷あられは、単純に氷の粒であり、半透明なものです。
雪質は気温で変わる
北海道はパウダースノーと呼ばれます。一方で本州はべた雪です。このような雪質の違いは何が原因でしょうか?
北海道では日中でも氷点下のことがあります。すると雪が肩や頭に積もっても、融けません。つまり液体にならず固体のままなのでサラサラです。
家に着いた時、手で払えば、衣服も濡れません。だから北海道の人は雪でも傘をさしません。
一方で本州の雪は払わないと服が濡れます。傘をささないとビショビショです。
何かに触れると、その温度によって直ぐに融けて液体になるからです。路面に溜まった場合も融けるので、これが滑って転ぶ原因になります。
もちろん北海道でも春先に降る雪は、気温が高いので湿っています。服に着くと濡れることがあります。春スキーなどでは注意しましょう。
逆に本州でも標高の高い場所では気温が低いのでサラサラの雪が降ります。こちらは雪崩に注意です。
ケガに気を付けよう
雪の降り始めは、雪国の人でも滑ります。そのためゆっくりと歩きましょう。特に受験生は!
車の運転も気をつけましょう。
屋根の雪下ろしなども注意が必要です。
すべりにくいゴム長靴を履き、必ず携帯電話を持って、2人以上でやりましょう。除雪機のメンテナンスは、エンジンを切ってから行いましょう。
小さな油断が、大きなミスにつながります。
※小学生にもっとわかりやすい記事ができました→「どうして雪は降るの?雪が降る条件としくみをわかりやすく解説します」