
「アフリカを除けば最古と考えられる人類の化石がイスラエルにある洞窟で発見された!」
そんな報道が2018年1月26日にありました。約18万年前のものと推定されています。
人類の起源はアフリカと言われていますが、そこから人類が全世界への移動したのは、意外と早い時期に起きていたようです。
そこで、「人類とは何か?」を考えながら人類の歴史を概観し、
- いつからヒトになったのか?
- ヒトの特徴とは何か?
考えてみましょう。
なお、進化の定説はありますが、さまざまな俗説もあります。研究が進むに従い、定説が逆転する可能性もあります。
また、ラテン語で属名と種名を現わし、これを学名と呼んでいます。私たち現在のヒトは、ホモ・サピエンスHomo sapiensという学名であり、これは「賢いヒト」という意味です。なお分類に関しては、下記を参照してください。
目次
ヒトの歴史
他の動物と区別する意味で、ヒトを人類と呼ぶことが多いようです。
ではなぜ、私たちヒトが誕生したのでしょうか。
後述しますが、ヒトの特徴でもある直立二足歩行する種は、約700万年前に出現したと考えられています。
名前はサヘラントロプス・チャデンシスです。アフリカのチャドで頭蓋骨の化石が見つかっています。
その後、現生ヒトにつながると推定されている代表的な種の生存年代、学名、その脳容量で比べていくと次の通りです。
ただしそれぞれは、直列的につながっているわけではありません。具体的なつながり方も、よくわかっていません。
年代 | 種類 | 脳容量(cm3) |
---|---|---|
約400~300万年前 | アウストラロピテクス・アファレンシス | 400 |
約250~200万年前 | ホモ・ハビリス | 600 |
約180~5万年前 | ホモ・エレクトゥス | 950 |
約20~3万年前 | ホモ・ネアンデルターレンシス | 1500 |
約20万年前から現在 | ホモ・サピエンス | 1400 |
現在はホモ・サピエンスだけが生き残っており、ホモ・ネアンデルターレンシス、通称ネアンデルタール人は絶滅したとの説が一般的です。
私たちヒトとネアンデルタール人も直接的なつながりはなく、約100~50万年前に共通の種から分かれたと考えられています。
いつからヒトになったのか
1.アフリカ起源説
「ヒトの起源は、アフリカにあり!」これはほぼ確実なようです。
とはいえ約400万年前にいたとされるアルディピテクス・ラミダス、通称ラミダス猿人は、未だ樹上生活に適応していたようです。
そのうち樹上生活を選んだブルテレ系は絶滅し、直立歩行に進化したアウストラロピテクス・アファレンシス、通称アファール猿人からホモ属に続くと考えらえています。
2.アフリカから脱出します
その後、ヒトは移動します。放浪の旅に出ます。
これこそヒトが現在まで生き延びた大きな理由かもしれません。
他の動物は、その場で生息域を広げるだけです。そのため、環境の急激な変化があれば絶滅しやすいでしょう。
しかし、ヒトは思い切った行動に出ます。
アフリカ大陸からの脱出は、ある意味で寒さとの闘いです。なぜ温暖なアフリカから、寒い北国を目指したのでしょうか。
移動する過程で、絶滅した種もありました。大胆な行動にはリスクが伴います。
ホモ・エレクトゥスとは
なお上述した歴史を見ると、ホモ・エレクトゥスが長い期間生き延びていました。絶滅したのは「たった」5万年前です。
直接ホモ・サピエンスとの対立はなかったようですが、結果として生存競争に負けたのは事実です。
3.ネアンデルタール人の方が賢かった
上述したように、脳容量を比べれば、ホモ・サピエンスよりもネアンデルタール人の方が大きかったようです。
もちろん脳容量イコール賢さとは違いますが、考える能力は長けていたはずです。
賢いから生き残ったのか?
生き残ったから賢いのか?
逆に賢すぎて絶滅したのか?
さまざまな解釈はあります。絶滅する理由は種によって様々でしょう。
本当にネアンデルタール人はもういないのでしょうか。
中国やアメリカ大陸で報告される雪男やビッグ・フット系のUMA(Unidentified Mysterious Animal :未確認動物)は、私たち以外のヒト、その生き残りである可能性は否定できません。
4.最終的にホモ・サピエンスが生き残った
分類学的にホモ・サピエンスは、「動物界・脊椎動物門・哺乳動物綱・霊長目・ヒト科・ヒト属・ヒト」に属する生き物です。
進化は偶然の産物ですが、最終的に現在は、ホモ・サピエンスだけが生き残りました。
もちろん賢く、さまざまな道具を生み出したからでしょう。その能力が現在の私たちにも伝えられています。
食料を安定的に作り出し蓄えることができるようになり、定住生活ができ、人口を増やすことができました。効率的な分業も進みます。戦いに際しても、数が多いほうが絶対に有利です。
5.ホモ属の祖先がわからない
上述のように、人類は進化し、現在の私たちヒトにたどり着きました。
アウストラロピテクスはホモとは違う属です。どこかで分岐したようですが、つながっている具体的な証拠はありません。
まったく違った道筋で別れた可能性も否めません。ホモ属の最もさかのぼれる先祖はホモ・ハビリスです。
しかしホモ・ハビリスも、私たちの直系先祖なのか、これも謎のままです。
ヒトとは何か
現生の人類、ホモ・サピエンス、つまりヒトとは何でしょうか。具体的な特徴をあげれば、以下の通りです。
1.直立二足歩行をする
- チンパンジー
- ゴリラ
- クマ
- レッサーパンダの風太くん?
これらのように、一時的に二足歩行をする動物はいます。
しかし、常時二足歩行で生活する生き物は、ヒトだけです。
直立二足歩行のメリット
細かく手の指も動かせます。指を動かすとボケ防止になる?進化上も大切なことだったようです。
直立二足歩行のデメリット
一方で失ったこともあります。
たとえばチンパンジーの場合、足の指も、手と同じく親指が他の四本と向かい合うようについています。
もちろんヒトが草原で生きるという選択をした時点で、捨てた特徴です。
また二足歩行によって痔(ぢ)や腰痛になりやすくなったといわれています。
さらに現代人は特に、重い頭を支えることで肩や首がこるようにもなっています。
進化にはリスクを伴います。
2.言語を使って情報を伝える
共通言語があると、さまざまなことを伝えあい、それを後世に残すこともできます。
いわゆる文字を持たない未開民族であっても、口伝えで残った文化があります。他の霊長類とは大きな違いです。
また、言葉によって記憶できます。
もちろんヒト以外の霊長類にも、敵や味方の違い・エサのありかなど、個体ごと・グループ・種として記憶しているのかもしれません。
しかしヒトのような記憶力、そこから生み出される創造力は、他の霊長類にはありません。
3.分化せずに生息範囲を広げる
現在ヒトは、熱帯から極寒の極地まで世界中に散らばっています。これほど生息域を拡大している生物種はありません。
逆に亜種などの分化をしていません。これも生物学上の不思議です。
一般的に動植物は、生息地域の環境が変わったり、地域的に隔離されると亜種が生まれます。さらに両亜種間の交配が長期間行われないと、種として確立されることになります。
とはいえヒトは、どこに住んでいても、民族が違っていも、その違いにかかわらず交配して子孫を残すことができます。
変なたとえですが、イヌやネコのように外見が多様化していろいろな品種が作られているけど、同じ種として止まっているのと同じかもしれません。
ヒトは本当に賢いのか
ヒトの学名であるホモ・サピエンスの意味は「賢いヒト」です。
とはいえ現生人は本当に賢いのでしょうか。「ヒトは生態系の頂点に立っている」そんな誤解があります。
ヒトだけが同種同士争い、地球を破壊する能力を持っています。
特殊な能力を賢く使えるか否か?
それによって新たな種が生まれるかもしれません。
愚かな人、そんな名前を持つ種に進化しないことを期待します。