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脊椎(せきつい)動物とは、どんな生き物なのでしょうか。またどんな種類があるのでしょうか。

中学受験理科の定番問題ですが、大人でもよくわかっていない人が多いです。

例外も少なくありませんが、基本的な仕組みを理解すると、わかりやすいかもしれません。

参考「動物とは何か?動物の特徴と定義、分類という概念について

脊椎動物とは

脊椎動物とは、脊椎を持つ動物の総称です。

では、脊椎とは何でしょうか

簡単に言うと背骨です。

体の中心に背骨がある動物を脊椎動物と呼んでいます。

そして、体の中に骨のような支持組織があることを内骨格(ないこっかく)と言います。

なお、脊椎動物に関する厳密な定義は他にもあります。

しかし一般の人には難しすぎるので、興味のある人以外は、このレベルに止めましょう。

特に小中学生であれば、深入りするとよけいに混乱するからです。

無脊椎動物もいる

一方で背骨、すなわち脊椎を持たない動物は、無脊椎動物です。

無脊椎動物の中でも、

  • 昆虫
  • カニ
  • エビ

などの節足動物は身体の外側が硬くなっています

このような支持組織を外骨格(がいこっかく)と言います。

しかし、骨ではありません。

脊椎動物は5つのグループに分かれる

脊椎動物は、5つのグループに分けられます。

以下にその特徴をまとめますが、生物には例外が多くあります

そのため、基本的なことをまず理解することが大切です。

その後に例外を追加していきましょう。

1.魚類

魚類は、魚です。

具体的には

  • サメ
  • ウナギ
  • サケ
  • マグロ

などがいます。

海にいるのが海水魚、川や湖にいるのが淡水魚です。

ただしサケのように両方を行き来できる魚も少なくありません。

(1)呼吸方法

呼吸とは、酸素を取り入れて二酸化炭素を排出する働きです。

魚類は生まれてから死ぬまで一生えら(鰓)で呼吸をします。

(2)体温の変化

魚類は、変温動物です。

つまり、周りの水温に応じて体温が変化します。

淡水魚

そのため湖や川などに住む魚は、冬になり水温が低下すると、体温が下がり動けなくなります。

これは一種の冬眠状態です。

海水魚

一方で海水魚は、暖かい水を求めて回遊することがあります。

もしくは自分の温度に適した場所に定住するようです。

(3)体表面

魚類の体表面はウロコ(鱗)に覆われています。

一部退化した種もありますが、ウナギやサメなどの体表面を覆っているのも細かいウロコです。

ウロコは真皮が変化した物ですが、骨の成分でもあるリン酸カルシウムが含まれています。

だから固いのでしょう。

(4)心臓のつくり

心臓は、血液を受け取る心房と、血液を送り出す心室に分かれます。

魚類の場合は、それぞれ1つずつであり、1心房1心室です。

血液循環の流れは次の通りです。

  1. 二酸化炭素を多く含む静脈血が全身から心臓へ戻る
  2. 心臓は、この静脈血をえらへ送り出す
  3. えらは、酸素を取り込み、二酸化炭素を取り除く
  4. 酸素を多く含む動脈血が身体へ直接向か。
  5. 身体の各細胞は、動脈血から栄養や酸素をもらい、二酸化炭素や不要物を戻す
  6. 二酸化炭素を多く含む静脈血が全身から心臓へ戻る

これを繰り返します。

(5)繁殖方法

卵生

魚類の多くは、卵を産む繁殖方法(卵生(らんせい))です。

水中に殻のない卵を産みます。

基本的に親魚は、卵や子供の世話をしません。産みっぱなしです。

そのため多くの卵を産みます。

一説によるとマンボウは1億個以上産むようです。

タラコやイクラを考えると、卵の数が大量であることがわかります。

体外受精をする

魚類は体外受精です。

つまりメスが卵を産んだ後、オスが精子を振りかけます。

水流で精子が流されてしまうこともあるため、受精効率は低いと言えるでしょう。

だから、たくさん卵を産む必要があるようです。

(6)魚類の例外

肺魚(はいぎょ)

例外を上げればきりがありませんが、代表的なのは、肺を持つ、その名も肺魚と呼ばれる魚です。

肺を持っている理由は、乾季に水が干上がった際に生き延びる手段と考えられています。

幼魚の間はえら呼吸ですが、成魚になると肺が作られます。

サメの一部

お腹の中でふ化させて、ある程度の大きさになった子を産むサメがいます。

こうした生み方は卵胎生(らんたいせい)です。

そのため魚類ではありますが、体内受精をします。

2.両生類

両生類は、

  • 尻尾がない無尾目(主にカエル)
  • 尻尾がある有尾目(イモリとサンショウウオ)

に分類されます。

(1)呼吸方法

両生類という名前は、呼吸方法の違いから付けられたのでしょう。

つまり子供の時はえら呼吸ですが、変態を繰り返し成体になると肺呼吸になります。

オタマジャクシはえら呼吸・カエルは肺呼吸

わかりやすいのがカエルです。

オタマジャクシの間は水中でえら呼吸をします。

成長し、後ろ足が出て、前足が出て、尻尾が無くなった状態、つまりカエルになると肺ができて、陸上でも生活できるようになります。

とはいえ両生類の成体は、肺の機能が十分ではありません。

そのため、皮膚でも呼吸を行うようです。

したがって皮膚が乾燥すると呼吸できなくなり死んでしまいます

ちなみに一時期流行ったウーパールーパーは、メキシコサンショウウオの幼生です。

(2)体温の変化

両生類も魚類と同じ、周りの温度に応じて体温が変化する変温動物です。

そのため冬は冬眠します。

(3)体表面

体表面は薄い皮膚で覆われており、触るとヌルヌルしています。

また常に湿った状態にしておく必要があるので、水辺近くでの生活を強いられます。

(4)心臓のつくり

両生類の心臓は、血液を受ける心房が2つ、血液を送り出す心室が1つ、つまり2心房1心室です。

全身から戻ってきた二酸化炭素の多い静脈血と、肺から来た酸素の多い動脈血が心室内で混ざってしまいます。

そのため呼吸の効率はよくありません。

(5)繁殖方法

両生類の多くは、水中に殻のない卵を産みます。また、体外受精です。

ただしイモリは、オスが出した精子のかたまりをメスが体内に取り入れる体内受精をするタイプが多くいます。

この点が、同じ有尾目のイモリとサンショウウオを分けるポイントです。

一部の種類を除き、基本的に親は子供の世話をしません。

そのため産卵数も多くなります。

(6)両生類の例外

ハコネサンショウウオ

基本は肺呼吸ですが、ハコネサンショウウオは肺がないので、成体になると皮膚呼吸だけになります。

アシナシイモリ

無足類と呼ばれる、ヘビまたはミミズのような外見のアシナシイモリの仲間がいます。

サイレン

さらに有尾目の中には後足のないサイレンと呼ばれる仲間もいます。

3.爬虫類(はちゅうるい)

爬虫類は、

  • ヘビ
  • トカゲ
  • ワニ
  • カメ

の4種類に分かれます。

トカゲの仲間

このうちトカゲの仲間は、

  • ヤモリ
  • カメレオン
  • イグアナ

などです。

ワニ・カメの仲間

ワニは、

  • アリゲーター
  • クロコダイル
  • ガビアル

に分かれ、カメは

  • ウミガメ
  • リクガメ

がいます。

(1)呼吸方法

爬虫類は、生まれてから死ぬまで一生肺呼吸をします。

ウミガメや水の中に潜んでいるワニも、同じく肺呼吸です。

(2)体温の変化

爬虫類も魚類や両生類と同じく、周りの気温に応じて体温が変わる変温動物です。

そのため多くの爬虫類は冬眠します。

(3)体表面

爬虫類の体表面はさまざまですが、基本はウロコに覆われています。

ただしカメが覆われているのは、肋骨が大きく変化した甲羅です。

(4)心臓のつくり

爬虫類の心臓は中途半端です。

なぜかというと、外から血液を受ける心房は2つですが、血液を送り出す心室は不完全な壁によって2つに「分かれて」います。

そのため一部の血液は混ざってしまいます。

本によって、2心房1心室、2心房2心室、など表記が違います。

(5)繁殖方法

体内受精
爬虫類は、体内受精です。

そして陸上に殻のある卵を産みます。

基本は産みっぱなしですが、ワニなどの一部は子育てすることもあるようです。

殻がある卵を産む理由
なお爬虫類や後述する鳥類が殻がある卵を産む理由は、卵の内部を乾燥から守るためです。

一方で魚類や両生類は水中に卵を産むので乾燥を考える必要はなく、からを作る必要がありません。

ふ化時の気温で性別が決まる
爬虫類は、ふ化する時の気温で性別が決まることが多いです。

たとえばワニは、32~33度だとオス、それ以外の温度だとメスになります。

カメも高温だとメスになるとの研究結果があり、将来的な地球温暖化でオスがいなくなる可能性があると危惧されています。

(6)爬虫類の例外

今いる生物ではありませんが、最近の研究によれば、恐竜は変温動物ではなく恒温動物だった、と言われています。

また羽毛が生えた化石が見つかっているため、鳥類の直接的な祖先であると考えられています。

言い換えると「鳥類は、現代に生き残った恐竜である!」そう主張する研究者も少なくありません。

4.鳥類

鳥類の外見上共通した特徴は、前足が翼になっていることです。

(1)呼吸方法

鳥類は、生まれてから死ぬまで一生肺で呼吸をします。

(2)体温の変化

鳥類には羽毛があるので、体温を一定に保つことができます。

こうした動物を恒温動物(こうおんどうぶつ)または定温動物と呼びます。

鳥類の体温は、一般的に40度前後です。

(3)体表面

鳥類の体表面は羽毛で覆われています。

羽毛布団やダウンジャケットでわかるように、保温機能があります。

また個々の羽毛は、航空力学的に効果的な形となっているようです。

ただし、足はウロコ状の物質で覆われていることが多いようです。

ここから恐竜との近縁性が指摘されています。

(4)心臓のつくり

鳥類の心臓は4つに分かれています。

つまり血液を受ける心房が2つ、血液を送り出す心室が2つ、すなわち2心房2心室です。

二酸化炭素の多い静脈血と酸素の多い動脈血が混ざらないので、効率的な気体の交換ができ、かつ新鮮な血液を身体中に送り出すことができます。

これが渡り鳥などのような長時間に及ぶ運動を可能にしているようです。

(5)繁殖方法

鳥類は体内受精であり、陸上に殻のある卵を産みます。

種類によりますが、1回当たり数個から10個程度の卵を数日かけて産み、それを一度に温めてふ化させます。

ふ化後も親がエサを与えるなど、十分な大きさになるまで世話をするのが一般的です。

(6)鳥類の例外

鳥類と言えば翼を使って飛ぶのが特徴ですが、ペンギンやダチョウなど飛べない鳥もいます。

ニワトリも積極的には飛びませんが、高いところから滑空できます。

また自分ではヒナを育てず、他の鳥の巣に卵を産んで世話を任せるカッコウなどがいます。

このような行為を托卵(たくらん)と呼びます。

5.哺乳類

哺乳類の定義は、名前の通り、母親が母乳で子供を育てることです。

(1)呼吸方法

哺乳類は、生まれてから死ぬまで一生肺を使って呼吸をします。

完全に陸上生活に適応したタイプの動物です。

(2)体温の変化

哺乳類は鳥類と同様に恒温動物です。

種が持っている特有の体温を一定に保つことができます。

一般的に37度前後です。

(3)体表面

哺乳類の体表は、毛でおおわれています。

人間は例外ですが、イヌやネコをイメージするとわかるでしょう。

毛があることによって体温を一定に保つことができます。

(4)心臓のつくり

哺乳類の心臓は、鳥類と同じ2心房2心室です。

効率的に酸素と二酸化炭素の交換ができます。

(5)繁殖方法

哺乳類は体内受精で直接子を産む胎生です。

大型動物では1回の出産当たり1頭です。

しかしイヌやネコは5匹前後、ブタは10匹など多く生む種類もあります。

(6)哺乳類の例外

ハダカデバネズミ

ハダカデバネズミは、名前の通り裸です。体表面に毛はありません。

地中に穴を掘って集団生活をしています。

カモノハシ・ハリモグラ

またカモノハシやハリモグラは、卵を産みます。

ナマケモノ

さらにナマケモノは、最近の研究によれば変温動物のようです。

そのため動きが遅いと考えられています。

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生物は例外も多いです

ここで示した脊椎動物の特徴は、中学受験にも出るような基本的な内容です。

生物を学ぶ上では大枠を掴むことが大切であり、余裕のある範囲で、雑学的に例外を追加していきましょう。

そもそも生物の分類は、人間が考えたことです。変なこだわりは捨てましょう。

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