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はやぶさ2」が、早ければ2018年6月21日に目的地である小惑星のリュウグウに到着する予定です。

小惑星探査機である初代「はやぶさ」は、途中で失敗をしつつもミッションを無事にやり遂げ、日本中に感動をもたらしてくれました。

では今回のはやぶさ2は、どんな成果をもたらしてくれるのでしょうか

その前に、はやぶさ2やリュウグウについての基礎知識を学んでおきましょう。

テレビで観るニュースが、わかりやすくなりますよ。

はやぶさ2プロジェクトとは

1.はやぶさ2のミッション

はやぶさ2は、日本の宇宙航空研究開発機構JAXA(じゃくさ)が打ち上げた小惑星探査機です。

与えられたミッション(任務)は、小惑星リュウグウから土や砂などを持ち帰ることです。

また、備え付けられたカメラを使って、写真を撮影し地球に送ることも、はやぶさ2の大切な任務です。

2.小惑星を探査する理由

宇宙探査と聞けば、火星や金星などの惑星の探査をイメージするかもしれません。

しかし、今回のはやぶさ2は小惑星での探査が目的です。その理由は何でしょうか。

小惑星を知ることで地球の成り立ちがわかる

地球を含めた太陽系は、約46億年前にできたと考えられています。

諸説ありますが、実際にどのようにして太陽系ができたのか、よくわかっていません

また、私たちのような生命体がなぜ生まれたのか、それも明確ではありません。

小惑星も、地球など他の惑星ができた頃からあると考えられています。

そのため、小惑星を調べることで、太陽系、そして地球の成り立ちを知ることができます。

恐竜の化石のように、小惑星には当時の状態がそのまま残っているからです。

地球の場合には大気(空気)があります。そのため雨や風によって地表は常に荒らされています。

しかし、月や小惑星には大気がありません。したがって、それらができた当時と同じ状態が残っていると言えるのです。

もちろん、宇宙人などによって荒らされていないという前提です。

長期滞在するので多くのことがわかりそうです

初代はやぶさが、小惑星のイトカワから持ち帰った資料を分析した結果わかったことは「イトカワは、隕石との衝突により一度砕け、再び破片が集まって形成された」ということです。

これは、月や地球の成り立ちを考える上でも参考になる話です。

今回、はやぶさ2は小惑星リュウグウに長期滞在します。

そのため、前回のはやぶさより多くの成果が期待されます。

たとえば生命体に不可欠な水・アミノ酸などの有機物がどのようにしてできるのか、そうしたことが解明されるかもしれません。

小惑星とは

小惑星とは、惑星になりきれなかった小さな破片の総称です。

ほとんどの小惑星は、火星と木星の間にあります。

これが意味することは、そこにもう一つ惑星ができていたかもしれない、ということです。

小惑星に対する明確な定義はありません。

惑星や衛星ではなく、冥王星のような準惑星でもなく、それでも太陽の周りを規則的に回っている、そうした物体です。

そのひとつがイトカワであり、リュウグウです。

これまでのはやぶさ2

1.はやぶさ2の打ち上げ

(1)打ち上げは2014年12月3日

大型のH-IIA(えいちつーえー)ロケットを使ったはやぶさ2の打ち上げは、2014年12月3日でした。

初代はやぶさが、2010年6月13日に帰還してから4年半ほど経った後です。

はやぶさ2の打ち上げは、最初の予定では2014年11月30日でした。

しかし、天候不良のため翌日に持ち越されたのです。

結局翌日になっても天候が回復しないので、再延期の末、12月3日に打ち上げられました。

■はやぶさ2の打ち上げ予定はもっと早かった?

はやぶさ2の打ち上げは、本当はもっと早くにされる予定でした。

実は、はやぶさが帰還する前に、新しい探査機の打ち上げが計画されていたのです。

しかし、

  • 予算の都合
  • 他の宇宙プロジェクトとの関係
  • 根本的に調査する意味があるのか

などの大人の事情で、計画が遅延しました。

(2)打ち上げ場所

はやぶさ2を打ち上げた場所は、鹿児島県にある種子島宇宙センターです。

液体燃料を使う大型ロケットH-IIAは、種子島から打ち上げます。

なお、比較的小さなロケットで固体燃料を使う場合は、同じく鹿児島県にある、内之浦宇宙空間観測所から打ち上げます。
■鹿児島県に打ち上げ場がある理由

宇宙ロケットを飛ばす際には、地球の遠心力を利用します。

その方が少ないエネルギーで速く、遠くへ飛ばせるからです。

そのためには、なるべく赤道に近い位置から打ち上げるようにします。

だから「日本の最南端」である鹿児島県に、ロケットの打ち上げ場があります。

でも、鹿児島が日本の最南端といわれると、何かおかしいと思いませんか?

現在、日本の最南端は東京の沖ノ鳥島、人が行き来できる範囲にある日本の最南端は沖縄の波照間島だからです。

実は、JAXAの前身である宇宙開発事業団がロケットの打ち上げ場を作ったのが、1969年でした。

この当時、まだ沖縄は日本に返還されておらず、小笠原諸島は返還直後でした

だから、当時の最南端である鹿児島に作ったのです。

■赤道の近くからロケットを打ち上げる理由

ロケットを打ち上げるときに利用する遠心力は、

  • 回転する速さ
  • 回転する物体の半径

これらに比例して、大きくなります。

そのため、地球の中で一番半径が大きくなる赤道で遠心力は最大になり、理論上は北極点でゼロになります。

北半球では赤道に近い、つまり南へ行くほど、遠心力が大きくなります。

日本が当時最南端だった鹿児島にロケットの打ち上げ場を作ったのは、このような理由からです。

2.スイングバイ

(1)スイングバイはいつ

打ち上げからちょうど1年後、2015年12月3日に、地球の重力を使ったスイングバイを実施しました。

(2)スイングバイとは

スイングバイとは、惑星の自転や公転をする力を使って探査機のスピードや進行方向を変える方法です。

探査機にはある程度の燃料を積んではいますが、ここぞというときに使うために、燃料を節約する必要があります

途中で探査機がガス欠になっても、燃料補給ができないからです。

一方で、宇宙空間には空気がありません。

そのため抵抗を受けないので、探査機が一度動き出すと、そのまま動き続けます。

これを慣性の法則と呼びます。

慣性が働いている間は勝手に進むので、探査機は燃料を特に必要としません。

しかし時に、探査機の進路やスピードを変更したい場合もあります。

ただし、動いている探査機が曲がったり止まろうとするには、大きな力が必要です。

すると、探査機がムダなエネルギーを消費してしまいます。

そこで研究者たちは、もっと安く、簡単に得られるエネルギーはないか、と探しました。

そこで見つけたのが、惑星の回転する力です。それを利用したのがスイングバイです。

スイングバイは、一度惑星の重力圏の中に入り、そこから投げ出してもらう力を利用します

この力によって、探査機の進行方向だけ変えたり、スピードを速めたり緩めたりもできるのです。

ただし、スイングバイを成功させるためには、細かい計算をしないといけません。

この計算は難しく、大学で専門的に勉強しないと理解できません。

フィギュアスケートのペアのように、二人で手をつなぎ滑っているとき、一人が止まる・曲がると、もう一人も同じ動きになります。

惑星と探査機をこれに当てはめてみると、わかりやすいかもしれません。

動画の詳細はコチラ→http://site.ngk.co.jp/lab/no197/

3.リュウグウの撮影成功

(1)リュウグウとは

今回のはやぶさ2の目的地である小惑星リュウグウは、直径が約900メートル、1999年に発見された小惑星のひとつです。

前回のイトカワはリュウグウよりもっと小さい、535メートルでした。

広大な宇宙空間の中にある小さな場所へ、探査機がどうやってたどりつくのか不思議ですね。

■リュウグウが選ばれた理由

数ある小惑星の中からリュウグウが選ばれた理由は、私たちの体を作っている水や有機物があると考えられるからです。

そのため、生命体が生まれる理由の解明に役立つと期待されています。

ちなみに前回のイトカワは、岩石しかありませんでした。

■リュウグウは地球の近くを回っています

小惑星の多くは火星と木星の間にあります。

そのため、はやぶさ2は火星を超えて行くと誤解されているかもしれません。

しかし、地球の近くを飛び回っている小惑星もあります。

また、太陽の周りをまんまるの軌道で回っているのではなく、かなりの楕円軌道(だえんきどう)を作っています。

つまり、地球に近づいたり、遠ざかったりしながら回っているのです。

参考「彗星(すいせい)とは何か?太陽系外から来たと思われる天体が観測されました

前回のイトカワ、そして今回のリュウグウも火星と地球の間あたりを回っています。

そういう意味では、アタックしやすい小惑星です。

(2)はやぶさ2、リュウグウの撮影成功

JAXAのウェブサイトでは、適宜リュウグウに関する情報が更新されています。

最新の写真は、2018年4月23日現在で同年2月26日の画像です。

「はやぶさ2」がリュウグウの撮影に成功しました | トピックス | JAXA はやぶさ2プロジェクト

今後は、はやぶさ2がさらにリュウグウへ近づくので、多くの写真、時には動画も見られるでしょう。

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はやぶさ2が2018年6月21日にリュウグウに到着予定

1.地球からリュウグウまでの距離

地球からリュウグウまでの距離は、明確には言えません。

なぜなら、お互いが常に動いているからです。

天体同士の距離を計算するのは、簡単ではありません。

特に、天体の距離が近づいたり離れたりする楕円軌道を回っている場合は、難しくなります。

しかし、最も離れても火星の軌道近くなので、リュウグウと地球は最大約4億キロメートルくらい離れているといえるでしょう。

なお、リュウグウは、地球が太陽の周りを回る公転軌道とも交差するので、地球の隣にあるとも言えます。

可能性は限りなくゼロに近いですが、地球に衝突しないとは明言できません。

参考「2018年7月、望遠鏡がなくても火星大接近が簡単に観測できます

2.地球から月までの距離よりも近くなりました

はやぶさ2が、リュウグウまでどれくらいの距離にいるのかは、JAXAのウェブサイトでわかります。

JAXA Hayabusa2 Project(ジャクサ はやぶさ2 プロジェクト)

カンマ(,)を打っていないので、ちょっと数値が読みにくいですが、小数点以下が1秒ごとに減っていくので、ちょっとしたカウントダウンが楽しめます。

本記事執筆時点では、リュウグウまでの距離があと約22万キロメートルでした。

ちなみに、地球から月までの距離が約38万キロメートルです。

つまり現時点で、はやぶさ2とリュウグウの距離は、地球と月の距離より近いのです。

かなり近づいている証拠です。

なお、地球との相対速度で言うと、はやぶさ2は秒速約46キロメートルのスピードで進んでいます。

相対速度とは

相対速度とは、どちらかを固定した場合にみた、片方の速さを現しています。

たとえば同じ方向へAが時速30キロ、Bが時速20キロで走っていると30-20=10、Aの方が10キロ速いので、Bから見たAの相対速度は時速10キロ、Aが時速10キロで離れていくように見えます。

AとBが逆方向へ走っていれば30+20=50になり、相対速度は時速50キロ、Bから見ると、Aが時速50キロで遠ざかっているように感じます。

3.早ければ6月21日に到着予定です

2018年4月19日にJAXAがはやぶさ2を予定を発表しました。

早ければ2018年6月21日にはやぶさ2がリュウグウに到着するそうです。

これからはやぶさ2はスピードを少しずつ緩め、微調整しながらリュウグウも近づいていきます。

総飛行距離30億キロを超える旅なのに、目標であるリュウグウの大きさはたった900メートルしかないためです。

到着するのは、まさに奇跡です。

4.はやぶさ2が一直線でリュウグウへ向かわない理由

スイングバイもそうですが、はやぶさ2は実際のリュウグウまでの距離(約3億キロメートル)よりも、飛行する距離は約10倍長く飛行して到着します。

これは、はやぶさ2がリュウグウまでの直線距離を進むのではなく、グルグル回りながら目標へ向かっているからです。

では、なぜそんな面倒、ムダに思えるようなことをするのでしょうか。

初めから直線距離を計算して、真っ直ぐ進んだ方が時間も燃料も節約できるような気がしますが、宇宙空間を進む際は、とても速いスピードで飛びます。

これが重要なポイントです。

すなわちリュウグウに着陸するためには大きく減速する必要があります。

その際には、逆噴射をします。

今ある、前に進むスピードと同じだけの力を逆方向へ加えないと止まれないからです。

それに使う燃料は、とてもたくさん必要です。

また一歩間違うと、猛スピードでリュウグウに衝突する危険もあります。

そのため、はやぶさ2はリュウグウに徐々に並走するように近づいて、ゆっくりと着陸した方が確実です。

だから回り道のように考えられますが、大回りして進むのです。

まさに「急がば回れ」。行きは、安全第一が最優先なのです。

ちなみに、はやぶさ2が地球へ戻る際は、大気圏で燃え尽きるので、超高速で進んできても問題ありません。

だから、帰りはより短い期間、距離を進んできます。

はやぶさ2の帰還

1.帰還はいつ

無事にリュウグウでのミッションが終了し、何事も起きなければ、2020年の12月頃に地球へ戻る予定です。

現状における計画は、2018年6月にリュウグウへ到着し、その後18カ月ほど滞在して試料収集に励みます。

リュウグウから飛び立つのは、2019年11月頃を想定しています。

ただし初代はやぶさように、いつどんなトラブルが起きるかわかりません

そのため、はやぶさ2がいつ帰還するのか、それは明確には誰にもわかりません。

2.帰還する場所はどこ

はやぶさ2の帰還を待ちたいとこですが、意外なことに、はやぶさ2の本体は地球に戻りません

はやぶさ2は、はやぶさのときのように、大気圏近くでリュウグウで集めたサンプルの入ったカプセルを投下します。

その後はやぶさ2は、宇宙空間に戻り別のミッションが与えられるようです。

またカプセルがどこに落ちるか?これも未定です。

はやぶさ2が地球に近づいてから決めるのでしょう。

具体的に決めず、目標が近づいてから考える方が現実的なようです。

カプセルが落ちる場所は、人がいない・建物などもない安全そうな陸地、砂漠などを探します。

はやぶさ2は今どこにいる

では、はやぶさ2は今どこにいるのでしょうか。

リアルタイムではやぶさ2の場所がわかるは、先に紹介したこちらのサイトです。

JAXA Hayabusa2 Project(ジャクサ はやぶさ2 プロジェクト)

ここを開くと、いきなりリュウグウまであと何キロメートルまで近づいているか、数値がリアルタイムで示されています。

なんだか、ワクワクしますね。

ちなみに、はやぶさ2が進んでいると同時にリュウグウも動いています。

そのため両者のスピードの差、つまり相対速度も示されています。

早退速度は、秒速120メートル(0.12km/s)です。

すなわち、1秒当たり120メートルで、はやぶさ2はリュウグウへ近づいている計算です。

はや2NOWとは

はや2NOW

はやぶさ2とJAXAは、地上局にある大きなアンテナを使って電波で通信しています。

その状況がリアルタイムでわかるウェブコンテンツが、「はや2NOW」です。

このサイトは、自分がはやぶさ2の指令室にいるような、カッコよさがあります。

通信シミュレーション画面では、はやぶさ2へ信号を送信する疑似体験ができます。

はやぶさ2へ地球から信号を送信するには、こんなに時間がかかるのか、と実感ができるでしょう。

詳しいはや2NOWの説明は、下記のリンクを参照してください。

「はや2NOW」公開| トピックス | JAXA はやぶさ2プロジェクト

宇宙探査をすれば自分を知ることができる

はやぶさ2がリュウグウへ近づくにつれ、写真など多くの情報を送ってくれます。

リュウグウへ到着すればもちろん、周りの状況も見えます。

さらにリュウグウから持ち帰る試料を分析すれば、地球の成り立ちも理解できます。

私たち生物がどこから来たのかが、わかるかもしれません

時間はかかりますが、少しずつ宇宙のこと、そして私たちのこともわかります。

宇宙探索をしても直接的な利益は得られない、そう考えることもできますが、自分のことを知ることができると思えば、今やる価値はあるでしょう。

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