
夏は、なぜ暑いのでしょうか。
その理由は、日本の周りにある気圧配置が関係しています。
たとえば夏を代表する気圧配置は、南高北低(なんこうほくてい)です。
では、南高北低とはどういう意味なのでしょうか。
今回は、南高北低や夏型の天気と気圧配置について、わかりやすく解説します。
目次
南高北低とは
(出典:気象庁ウェブサイト日々の天気No.188【PDF】より)
南高北低(なんこうほくてい)とは、日本の南側に高気圧があり、北側に低気圧がある典型的な夏型の気圧配置を、四字熟語として表した気象用語です。
気圧配置とは
気圧配置とは、低気圧・高気圧・前線などの位置関係のことです。
季節によって、だいたい決まった気圧配置が生まれます。
気圧配置の違いが季節によって天気が変わる理由です。
たとえば、冬型ならば西高東低の気圧配置です。
これは西側に高気圧、東側に低気圧がある気圧配置であるという意味です。
南高北低の天気の特徴
南高北低の気圧配置になると、晴れが続きます。
南高北低とは言いますが、日本の周りはほとんど高気圧でおおわれます。
北海道の北側に小さな低気圧が時々通過する程度です。
高気圧の中は下降気流が起きているので、雲が発生しません。(※)
そのため南高北低になると、晴れるしかありません。
どうして南高北低になるの?
どうして南高北低になるのかを、順をおって解説していきます。
1.陸地の方が海面より温度が変わりやすい
日本の北西にはユーラシア大陸(中国やロシア)があり、逆側の南東には太平洋があります。
一般的に陸地の方が気温の変化が大きい、反対に海は温度が変わりにくい特徴があります。
ここでいうと、ユーラシア大陸側は気温の変化が大きく、太平洋側の気温は変わりにくいということです。
2.夏になると大陸(北)で気温が上がり低気圧が生まれる
夏になると、ユーラシア大陸側で気温が上がります。
すると、暖かくなった空気は上昇するので、低気圧を生み出します。(※)
これが北側で低気圧が生まれるしくみです。
3.太平洋側から暖かい空気が流れてくる
大陸で空気が上昇すると、その空いたスペースに向かって太平洋側から暖かく湿った空気が流れ込みます。
4.太平洋(南)で下降気流が起きるので高気圧になる
ユーラシア大陸で上昇した空気は、対流によって循環し、太平洋側で降りてきます。
つまり、太平洋では下降気流が起きています。
これが、南側で高気圧が生まれるしくみです。
この高気圧を、太平洋高気圧と呼びます。
5.夏は南高北低で落ち着く
夏になると、1~4で説明した循環が続きます。
そのため、日本の北側に低気圧・南側に高気圧がいる南高北低の気圧配置で落ち着くのです。
南高北低になると日本はどうなる?
1.暑くなる
南高北低の気圧配置になると、太平洋高気圧が日本全体をおおいます。
高気圧による下降気流が起きるので、晴れの日が続きます。
太陽がほぼ真上から輝いていることもあり、暑くなります。
2.南風が吹く
気圧の高い太平洋から、気圧の低い大陸へ風が吹きます。
この風は南東から北西へ吹きます。
天気予報でよく聞く、暖かく湿った南風が吹きます。
3.ムシムシする
ただ暑いだけではなく、ムシムシします。
これは、太平洋から暖かく湿った空気が流れ込んで湿度が上がるためです。
4.台風は来ない
夏と言えば台風をイメージするかもしれませんが、南高北低の気圧配置が続くと、台風は日本に来れません。
台風は自分で動くことができず、高気圧が噴き出す風によって動くからです。
南高北低の天気の注意点
1.熱中症に気を付けましょう
南高北低の気圧配置になると、晴天が続き暑くなります。
湿度が上がるので、熱中症が起きやすくなります。
こまめに水分をとり、クーラーを上手く使って体温の上昇を避けましょう。
2.ゲリラ豪雨が起きます
晴れが続くと、太陽が照りつけます。
すると、太平洋の海水が蒸発して水蒸気に変わり、雲を作り出します。
雲が急激に発達すると、積乱雲になります。
積乱雲が南風に流されて日本上空に来るとゲリラ豪雨が起き、急激に強い雨が降ったり、落雷に遭う可能性があります。
夏が暑い理由は南高北低になるからです
夏が暑くなる理由は、南高北低の気圧配置になるからです。
2017年8月は雨が続き、異常気象になりました。
南高北低の気圧配置にならなかったせいです。
太平洋高気圧にがんばってもらわないと、夏らしい夏になりません。